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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される【WEB版】  作者: 夕立悠理
一章

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40/65

目標

「……星、ですか?」

 ゆっくりと瞬きをしたアキルに、頷く。

「私が陛下の婚約者に正式になって、この城に来る前日に、父が星をくれたのよ」

 私は、椅子から立ち上がると、引き出しを開けた。

 

 そこには、青く光る星形の宝石が入っている。

光にかざすと、星はより輝きをまし、遠い記憶を呼び覚ます。

「星は、温度によって色が変わるのですって。青い星は、最も温度が高いらしいわ」

――いいかい、リュゼリア。

 お父様は、私に星を握らせると、囁いた。


――お前は、お前だけの星を必ず見つけるんだ。

「お父様は青い星を探せと、言ったの。一番熱を持っていて、私が一生追いかけ続けられる高い目標を」

 

――だけど。

「私は、その目標を見失ってしまった」

 エドワード陛下に恋をしていた当時の私は、エドワード陛下こそ、私の星……生涯の目標だと考えた。


 エドワード陛下を傍で支え、国の繁栄に尽くし、そしていつかはエドワード陛下との未来を繋いでいく。

 ……そんな目標。

 けれどその願いは叶わなかった。

「ねぇ、アキル殿」

「なんでしょう?」

「あなたには、本当に感謝しているの」

 私は、ずっと見失った星に手を伸ばし続けていた。

 でも、一度見失ったものは、もうどこにあるのかわからなくて。

 ただ、宙を掻くだけだった。

「あなたのおかげで、私は新たな星を探しにいける」

 アキルに微笑む。

 私がかつて焦がれたあの星には、もう届かなかったけれど。

 新たな道は示された。


「……王妃殿下」

「改めて、ありがとう。私、今度こそ見つけてみせるわ」

 私だけの星を、必ず。

「アキル殿……?」

 眩しそうに目を細めたアキルに首を傾げる。

「……いえ。では、王妃殿下と私は、探し物仲間ですね」

「ふふ、そうね」

 仲間、と言われるとくすぐったい感じもするけれど。

「では、王妃殿下」

「待って」


 立ち去ろうとした、アキルを引き止める。

「いかがなさいました?」

 案の定、アキルも不思議そうな顔をしていた。

「あなたの……あなたの好きな色も知りたいわ」

 そもそも、この質問に答える時間は、アキルへのお礼として設けている。それなのに、私が質問してどうするの、とも思うけれど。


 なぜだか、何かを聞きたくなったのだ。

 咄嗟に色が出てきたのは、昨日された質問だからだろう。


「紫……でしょうか」

 まっすぐ私を見つめながら放たれたその言葉を残して、アキルは恭しく礼をし、今度こそ退出した。

「……紫、ね」

 そういえば紫の星って、何か意味があったような気がするけれど。なんだったかしら。


 私の目も紫だから、お父様が何か言っていたような。


「まぁ、いっか」


 それよりも、明日ね!

 この面会に全てがかかっているといっても過言ではない。

 今日は、どこも出歩かず、明日に備えて早く寝ましょう。


いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される
お読みいただき有難うございます!
運命は、手に入れられなかったけれど
連載中です!
― 新着の感想 ―
[一言] アキル…紫を選ぶとは…意味深な…(笑)
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