幸せにしてあげる(エドワード視点)
アイリは、私を不思議な力で救ってくれた。
だから、きっと、アイリなら。
まず、アイリに手紙を書いた。
私の現状や、リュゼリアのこと、そして私の悩みのこと。
アイリは、すぐに返事をくれた。
私で力になれることなら、喜んで、と。
一つだけ条件を提示された。私が即位したら、アイリも城に住まわせて欲しいというのだ。
確かに、彼女の実家である男爵家の領地は、王都から遠く、治療のために通ってもらうのは、手間だろう。
それに、アイリはそもそも私の恩人だったのだから、無下にする理由もない。
私は了承の返事を出した。
そうしているうちに、三ヶ月が経ち、リュゼリアと結婚すると同時に、即位した。
「エド、久しぶり。元気だった?」
そう言って、はにかむアイリはあの頃の幼さを残した顔立ちをしていた。
「すまないな、私の都合で呼び寄せて」
「ううん! わたしもエドに会いたかったの! だって、エドは……」
「? 私がどうかしたか?」
ううん、なんでもない、と首を振ったアイリは、そういえば! と笑った。
「エドの奥さん、とっても綺麗だったね」
「あぁ。リュゼリアは、私の女神だからな」
「っ! そっか」
しばらく、他愛もない話をした後、アイリに改めて私の悩み、つまり子種がないことを打ち明けた。
「うん、わかったよ。頑張るね! ……でも」
「アイリ、どうした?」
私が首を傾げるとアイリは、背伸びをして、私の頭を撫でた。
「アイリ……?」
「エド、よくがんばりました。一人で悩んでつらかったね」
「……っ!」
これも全てはリュゼリアのため。そう思っていたからこそ、今まで治療を受け続けたし、わざわざアイリも呼び寄せた。
ロイズにだってまだ言えてない。
だから、一人で抱えていた。
そんな私に、アイリは、頑張ったね、と言ってくれたんだ。
本当は、ずっと。
他でもないリュゼリアにそう言って欲しかった。
事情を知らないリュゼリアから聞けるはずのない言葉を、私はずっと求めていた。
「……ありがとう」
「ううん。エドは頑張り屋さんだから……心配だったんだ。でも、でもね、もう大丈夫だよ。私が幸せにしてあげる」
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