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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される【WEB版】  作者: 夕立悠理
一章

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31/65

ご存知でしたか?

 そう、私は死んだ。

 あなたに愛されたくて、愛されなかった私はもう、どこにもいない。


「では、陛下。ごきげんよう」

「……っ、まだ話は終わってない」

「そのやりとりは、先ほどしたはずでは?」


 そして、夫としてのエドワード陛下には、もう話すことなどないと、はっきり伝えたはずだわ。


「リュゼリアは、私を……!」

「はい、もう愛しておりません」


 私は、ふふ、と微笑み、エドワード陛下を見つめた。


「私、ずっと苦しかったのです。苦しくて苦しくて、死にたかった」

「!」

 エドワード陛下が目を見開いた。それに構わず、私は続ける。


「いつになっても白い結婚のまま、放っておかれるのも、何度理由を尋ねてもただの幼馴染だから、と他の女性をおそばに置かれるのも。視線さえ、一度も合わなくなったのも。全部、全部苦しかった。……だから」


 まるで、水の底にいるような気分だったから。

 そんな私を、私は殺した。


「だから、私は死ぬことにしました。そして、エドワード陛下が求められている、『あなたを愛する私』は、死んだのです」


 ……と、ここまではっきり言えば、伝わるかしら。

「これ以上、夫としてのあなたに話すことはございません」


「待ってくれ、リュゼリア。君がそこまで追い詰められていたなんて、私は、何も……」

「あら、伝えれば何か変わりましたか?」


 そうだ、伝えれば何か変わったのなら。

「お願いしても、食事の間に今までいらっしゃらなかったのは、なぜですか?」

「っ、それは……」


「何度もアイリ嬢を呼び寄せた理由を尋ねても、教えてくださらなかったのは、なぜですか?」

「……っ」

「そして、今もこれらの疑問に答えてくださらない。それらすべてが私が死んだ理由です」


「私は……私、は」



 呆然と立ち尽くすエドワード陛下に、あぁ、それから、と付け加える。



「先ほどの質問の答えで、アイリ嬢は私より弱いから、とおっしゃいましたが、私の城での立場が今やアイリ嬢より弱いこと——知っていましたか?」


「!」


「白い結婚かつ公務しか顔を合わせない私と、足繁く通うアイリ嬢。家臣たちにとって、どちらを優先すべきか、なんて決まっておりますもの。ご存知でしたわよね!」


 ぱん、と手を叩く。

「……では、話は今度こそ終わりです。さぁ、お客様、お帰りになって」


 マーサに視線をやると、マーサが頷いて、ふらふらしているエドワード陛下を部屋から出してくれた。


 ……ふぅ。


 それにしても、言いたいことを言いすぎちゃったかしら。


 ふと、窓に目線をやる。

 幼い頃、エドワード陛下と何度か散策した中庭が見えた。


 でも、そこに植えられているのは、あの頃とは全く違う花ばかり。

「そうよね、時間は過ぎるわ」


 過去に戻りたいと思っても、もう、戻れない。

 前に進むしかないのだ。


 薬師に言われた言葉が蘇る。

『そんな相手から離れることですね』


 もう、あんな苦しい思いはしたくない。


 そのために、私はどうすべきかしら。


  


いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される
お読みいただき有難うございます!
運命は、手に入れられなかったけれど
連載中です!
― 新着の感想 ―
[良い点] スカッとした~! ムカムカさせてからのスカッとターンが素晴らしいです。 [気になる点] この後どうやったら離縁できるのか気になってしょうがない! [一言] 元妻が幸せになる様を指咥えて見る…
[一言] 正論パンチいいですね〜 どんな扱いをしててもリュゼリアはずっと自分のこと好きでいてくれると思ってたんですね。 興味なくした瞬間に歩み寄ろうとするこの手のキャラはよく見ますが、おそらく?元サ…
[良い点] リュゼリアがようやく思いの丈を言えたこと [一言] 落ち込むな殿下! 君にはお似合いのア○ズレ幼なじみちゃんがいるじゃないか(笑)
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