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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される【WEB版】  作者: 夕立悠理
一章

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30/65

あなたを愛した

「……………………は?」


 思わず、間抜けな声を出してしまった。

 愛してる、って、私が知っている意味以外に意味、あったかしら?


「だから、私は君を愛しているんだ」

「いえ、聞こえておりますが」


 愛してる。以前の私なら飛び上がって喜んだ言葉でしょう。その言葉だけで、今までの行動全てを、なかったことにできたかも知れない。


「では、アイリ嬢は?」

「言っただろう、アイリと私はそんな関係ではない」

「いいえ。アイリ嬢を城に呼び寄せ、足繁くその部屋に通う理由です」


 エドワード陛下が、アイリをこの城に迎えた時に再三尋ねたことだった。それでも、エドワード陛下は理由を教えてくれなくて、いつか、理由を聞くことさえ諦めてしまった。


「ぐっ……それ、は……」

「言えませんよね。だって、いつも教えてくださらなかったのですもの」


 つまり、エドワード陛下の語る愛は、その程度なのではないかしら。

 まぁ、もう全ては過去のことだ。

 私の中で恋心は消えて、執着心も同時になくなった。同様に私の恋心も薬で消えるその程度、だったのかもしれないけれど。


「だが、私は本当に——」

「陛下のお気持ちはよくわかりました。ありがとうございます」


 もう少し早くその言葉が聞きたかったし、その言葉が聞けなかったとしても、愛されている、と感じられる行動が欲しかった。


「ですが陛下、質問です。私とアイリ嬢が泣いているとします。陛下はどちらを助けますか?」

「そもそも君は泣かないだろう」


 泣かないのではなく、あなたの前で泣けないのだけれど。

「仮定の話です」

「それは、アイリに決まっているだろう。彼女の方が、立場が弱いのだから——」


 なるほど、弱きを助ける。王らしい回答かもしれない。実際、今までアイリを優先していたものね。


「……そうでしょうね、わかりました」


 つまり、エドワード陛下の愛、とは、私が離れていきそうになったから、それを惜しんだだけだ。


 私はベルを鳴らして、マーサを呼び出した。

「お客様のおかえりよ。お見送りしてちょうだい」

「かしこまりました。では、陛下こちらへ」

「まだ、話は——」

 エドワード陛下をまっすぐ見つめる。

「それは、どちらのあなたの話ですか? 王として、それとも夫として?」


 翡翠の瞳も、私を見つめ返した。


「夫としてだ!」

「でしたら、それこそ話すことはもうございません。愛しているとのこと、ありがとうございます。ですが——」


 私は出来うる限りの最高の笑みを浮かべた。


「あなたを愛したリュゼリアはもう、死んだのです」

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

もしよろしければ、ブックマークや☆評価をいただけますと、今後の励みになります!!

ようやく話が少しずつ動き始めました!

ここまで書けたのも読者様がたのおかげです!!

ありがとうございます。

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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される
お読みいただき有難うございます!
運命は、手に入れられなかったけれど
連載中です!
― 新着の感想 ―
[一言] まだ粗大ごみは捨てられないの? ええ、男として夫として底辺だから、呼び名はゴミで十分ですよ。これを覆せる理由ってどんなんだ。しょぼい理由だったらチベスナになりそう。
[良い点] いつも更新が待ち遠しいです [一言] 愛しているとか意味がない言葉を今更告げられてもね 残念な男 そこはせめて妻を助けると何で言えないのかな 泣かないだろう?からして間違ってるもんね…
[一言] 気持ち悪いというか情け無い男やなぁ、愛を囁いた口で他の女を優先するって言えちゃうあたり無神経を通り越してるな。
感想一覧
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