表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される【WEB版】  作者: 夕立悠理
一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/65

私は君を

「……陛下」

 って、いやいやいやいや。なんで、エドワード陛下がこの部屋に無断で入ってきたの?


 ちらり、と扉に視線をやると、顔を真っ青にした衛兵がいた。

 ……なるほど、そういうことね。


 エドワード陛下は、この国の主人であると共に、この城の主でもある。

 彼に開けろ、と言われて開けられない部屋はない。

 ……でも。

「女性の部屋に無断で入られるのは、いかがなものかと」


 まっすぐエドワード陛下を見つめる。もう、私がおみまいした手形は、消えていた。


「ああ、それは悪かった」

 全く悪く思ってなさそうな顔でエドワード陛下は鼻を鳴らした。


「それで? 体調が悪いのか?」

「はい。たった今悪くなりました」


 無断で部屋に入ってくる誰かさんのせいでね! なーんて、ことは流石に不敬罪になるので言えないけど。


「……そうか」


 エドワード陛下は、どかっと私と向かい合わせのソファに座った。


「……陛下?」


 えっ、なになに。何がしたいの?

 怖いんですけど。体調悪いって言ってるんだから、帰ってくれないかしら。


「いや、私の妃の見舞いでもしていこうかと思って」


 本当に私の体調を気遣う気とかゼロよね、これ。そもそもエドワード陛下が来たのは、きっと何かしらの用件があったのよね。それが終わるまでは、帰る気なんてないってことかしら。


 ……仕方ない。


 私はため息がつきたくなるのを抑えて、メイカにエドワード陛下用の紅茶を淹れるように頼んだ。


「……それで」

「それで?」


 メイカが紅茶を持ってきたのを確認して、エドワード陛下に話しかける。


「どういったご用件でしょうか?」

「妻を訪ねるのに、理由が必要か?」


 まさかの、特に意味はないけど来たってこと? わざわざ部屋に入ってきてまで?


 エドワード陛下の考えがさっぱりわからないわ。

 それとも、やっぱりビンタの件かしら。


 頭の中で様々な考えが浮かんでは消えていく。


「一度もいらっしゃったことはなかったと記憶しておりますが」

 婚約者だった頃はそれなりに行き来もあったけれど、結婚してから一度もなかった。


「……っ、それは」

 エドワード陛下は言った。私の夫も、私が恋い慕うのもエドワード陛下だけだと。


 でも、そもそも夫としての役割を今まで果たして来ずに、なんで今更私に構うの? というのが、私の気持ちだ。


「それとも、何か、理由がおありですか?」

 今更、私を気にする理由。そして、今まで私を放っておいた理由。


 まぁ、今更知ったところで、もう私はエドワード陛下のことなんとも思わないけれど。

 あ、でもこのままだと一年後に復活するのだったっけ。


「私は——リュゼリア。君を愛しているんだ」




 

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

もしよろしければ、ブックマークや☆評価をいただけますと、今後の励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

下記Amazon様の書籍リンクです
恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される
お読みいただき有難うございます!
運命は、手に入れられなかったけれど
連載中です!
― 新着の感想 ―
[良い点] 王様だけ未だに呑気に考えてそうなところ。 まだ何とかなると思ってそう……。 じゃなきゃ愛してるなんて今さらどの面下げてというか、申し訳なくて言えないよぉ。 リュゼリアに離婚を切り出されて初…
[一言] やっと言ったか。 さてさてどうなりますやら(笑)
[一言] もうこの王様のことはコイツっていいますけど、コイツってほんと自分の都合ばっかりだな…そう言うとこがキモいんだぞ…リュゼリア様は早く物理的に離れましょう…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ