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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される【WEB版】  作者: 夕立悠理
一章

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23/65

あり得ない

「……死んだ、だと?」

「ええ」


 だって、私は毒薬だと思ってあの薬を飲んだのだ。結果がどうであれ、死にたいと思っていたのは事実。そして、実際、私は生まれ変わった。エドワード陛下に恋をしていない私に。


「……っふ」

「陛下?」


 エドワード陛下は、俯いて肩を震わせた。どうしたのかしら。


「ははっ、面白い——冗談だな」


 顔を上げると、エドワード陛下は私を見つめた。


「冗談……?」

 私の恋心が死んだことがそんなにおかしいのかしら。

「あぁ、冗談だ。君が、私に対する執着心を手放すなんて、あり得ない」

「!」


 それは、以前の私の態度は凄まじかったかもしれないけれど。今の私は、過去とは違う。


「……私も驚きですが、あり得たようですの」


 まぁ、薬のおかげなんだけどね!


 私はご馳走様の礼をして、立ち上がった。

「信じるか信じないかは、陛下次第ですが——」

 これで失礼します、と退出しようとした時だった。


 エドワード陛下も、立ち上がったのだ。そしてかつかつと、踵を鳴らしながら、私の方に近寄る。


「……陛下?」

 こんなに距離を詰めて何をしたいのかしら。

 話すだけなら、引き止めればいいのに。


 疑問に思いながら、その名を呼ぶと、更に距離を詰められた。

「?」


 えっ、なに、なんなの? 

 無言の圧が怖いんですけど!


 仕方がないので、一歩下がると、二歩分距離を詰められる。そうしたことを繰り返した結果、ひたり、と冷たい感触が背中に当たる。つまり、壁際まで追いやられたのだ。


 ……まさか、逃げ道を塞いだつもり?


 そんなことして何になるのかしら。

 


「リュゼリア」


 翡翠の瞳を見つめる。けれど、その瞳からは、感情を読み取れない。


「……はい」

「——覚えておけ」


 ……何を?


「君の夫は、誰なのか。そして、君が恋い慕うべき男は誰なのかを」

「私の夫は陛下ですが、恋い慕うべきなんて、決められている人なんて、誰も——!」


 言葉の途中で、顎を掴まれる。

「なに、を……」

「覚えておけ、リュゼリア。君の夫は、そして、君が恋い慕うのも。未来永劫この——私だ」


 そう言って、顔が近づけられる。

 まさか……?

 いえ、でもそんなはずないわよね。


 ただ、自分のものだと思っていた相手が、違って怒っているだけ。


 エドワード陛下は私のことなんとも思ってないはずだもの。


 そうこう考えている間にも、距離はどんどんと近づいてくる。


 顔を背けようにも顎を掴まれているせいで、上手くできない。


「……いや!!!」


 私は思いっきり、右手を振りかぶった。

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される
お読みいただき有難うございます!
運命は、手に入れられなかったけれど
連載中です!
― 新着の感想 ―
[一言] 例えば陛下はEDで実は薬師だったり治癒師だったりするアイリは治療してるだけ。的な裏背景はありそうですが、そんなの関係ない! 振りかぶった右手を陛下の左肩へ、そして左手で右肩を掴んで、吸い込…
[一言] や、マジで陛下の心内がわからな〜い! 続き期待しております!
[良い点] パーなのか!?グーなのか!?はたまたアタマなのか鳩尾なのか… 個人的に、 ①パーでバチコーン!→手形付きほっぺでしばらく公務、周りからヒソヒソ ②グーで鳩尾にナイスヒット→しばらくお腹の調…
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