ゆりえの浮気3 - 真夜中と昼と
僕は15日からずっと飲んでいたゆりえがどんな事をしていたのか、詳細な事実の確認をする事にした。事実がぼんやりしたままでは、話し合いの際に言い返されてしまうし、それに何も知らないままだと不安になってしまう。
それに何があったのか、好奇心も会った。普通なら聞きたくないはずの事柄だけれども、浮気、その事でおかしくなっていたんだろう。
だが、いざとなると、誰に聞けばいいのか分からず、LINEの友達リストを、ぼんやりとスクロールして、思案に暮れていた。
そして、一人の名前を見つけた。
(みき)
そうだ、みきは、浮気をした時も一緒にいたし、ずっと一緒に飲んでいたし、どんな状況だったかも分かるはず。
早速、僕はみきに、LINEからメッセージを送った。
”おつかれ。ちょっとさ、確認したい事があるんだ。ゆりえが浮気した経緯と、ゆりえの行動の経緯が知りたいんだよね"
“お疲れ。レンにさっきも言ったけれど、ゆりえは、マジでやばかったよ。行動的にはこんな感じ。
ゆりえは最初はバクにいたんだけど、私が妖怪バーに居るって言ったら来てくれたの。で、一緒に妖怪バーで飲んでたんだ。
だけどその後、何となくテルマー湯に行きたくなって、ゆりえとお風呂に入りに行ったんだけど、本当最低だた。
ゆりえさ、ふらふらしてて、支えないと倒れそうになるし、2人でお風呂から上がって、私は体を拭いて、服を着たんだけど、ゆりえはフラフラして何もできないから、私が着替えさせたんだよ!
テルマー湯の人にも、ちゃんと見張っていて下さいって、注意されたし、本当に大変だた"
"そうだったんだ。酔っ払ったゆりえの世話とか、大変そうだな。人の事は言えないけど。その後は?"
”その後はポピンに行ったよ!"
"ゆりえは、ポピンではどうだったの?"
”酔ってたけど、普通だったかな。"
”そうなんだ?その後は?"
"はっぴに行った。そこでも、酔ってはいたけど、普通だた"
”へー、そうなんだ。次はどこに行ったの?"
”バクに行った。その時マジで大変だた。ホストを指名してアフターをしてる女の子と、そのホストがいたんだ。けど、ゆりえがさ、そのホストとずっと喋っていて、その指名してた子が可愛そうだった。空気を一切読まないで、ずっと話してるからさ。
しかも、ホストにテキーラローズや、クライナーを奢ってもらってたし。自分でも少しはお金を払ってショットを飲んでたけどさ。その、指名の子が、心が広い子で良かったよ。じゃなきゃ殴られててもおかしくなかったよ。本当に最低だった"
頭がくらくらする。でも、酔ったゆりえならやりかねないなと、僕は思った。
”てかさ、そのショット祭りをしたのって何時頃なの?"
”朝方だよ。バクが閉まるくらいかな"
"6時近く?"
"そう"
”私はその時から少しねむかた"
そうなのか。そんな時間にショットを飲んでいたのか。確かにTwitterの画像に、クライナーとかが写っていたし、そうなんだろう。
”その後はどこに行ったの?バクは閉まるよね?時間的にさ"
”グリーンプレイスってバーだよ"
”知らない。バクとかの近くなの?"
"そう。そこでゆりえが浮気した、アキさんと会ったの。ナッツを食べながら、お酒を飲んでいたよ。かなり意気投合してた。正直、私のタイプだったから、やりたかったんだよね"
僕は笑ってしまった。みきもやりたかったのか。
"アキさんはイケメンだったの?てか、どんな人だったの?"
”爽やかな人だった。でもイケメンとかじゃなく、普通の人だったよ"
そうなのか。ゆりえのタイプでもないのに、どうして、やったんだろう。みきから話を聞けば聞くほど、悲しみと憂鬱が、僕を支配していた。
どうして?セックスレスがと言っていたけれど、一体どうして。浮気をするくらいなら、俺だってSEXくらいするのに。
”てか、アキさんはどうしてバクに付いてきたの?"
“グリーンプレイスで、ゆりえと仲良く話してた。意気投合ってやつかな。それでゆりえがバクに誘ったんだよね。で、アキさんがバクに着いてきたの"
”だからアキさんはバクに行ったんだ"
"そう"
”バクではゆりえはどんな感じだったの?
というか、なぜホテルに行くことになったの?
アキさんがホテルに誘ったの?"
これは、僕の中で1番重要な事だ。ゆりえが誘っていたなら、それはもう終わりに近い。
"ゆりえと、アキさんは、ずっと喋ってたよ。イチャイチャはしてなかったよ。普通に話してた。
ホテルを誘ったのはね、ぶっちゃけ、レン傷つかないでね。
ゆりえの方から誘ってたよ。で、アキさんが、2時間半後に仕事があるから、時間短いけどいいかって感じで聞いてた。ゆりえがうんって頷いて、そのままホテルに行った。
私はバクでずっと待ってたよ。”
“ホテルに行ったの何時頃なの?”
“9時くらいじゃない?”
“何時に帰ってきたの?”
“11時半から12時の間ぐらいだったと思うよ”
そうか。僕はみきに、ありがとうといい、LINEを閉じた。
そして僕は恐ろしい事に気付いた。
僕は朝にLINEでメッセージを送っていた。帰ってこないの?と。
メッセージを送った時間、ゆりえは浮気相手とホテルにいたのだ。
頭がぐるぐると回る。
ゆりえはまだ帰ってこない。