騎士団長は好意にも(ストーカー)行為にも気付かない
更新が遅れた割に、あんまり進展しない回です。
ヨルナスはアマリアの婚約者(※夫)──ここは自然に出ていって、素知らぬ顔で挨拶をしてしまえば、相手はイキナリ失恋が確定し、おそらくアマリアはアマリアで頬を染めつつ紹介したりして、無意識に男の傷口に塩を塗るはずだ。
そしてヨルナスは溜飲が下がると共に、『まだ秘密なんですが』と言いつつドヤ顔で『婚約者』と言える。
なんならアマリアの恰好を褒めたり、嫉妬を口にすることで、更に恥じらう彼女を見たり、そのままデートに漕ぎ着けたりもできたところ。
──そう、彼が冷静ならば。
或いは、正面から向かっていくタイプならば。
残念ながら、彼はどちらでもなかった。
しかもご存知の通り、『超ハイスペックヤンデラー腹黒ショタもどき』である。
最早そんな爽やかに出ていって、解決される案件ではないのだ。
当然隠れて様子を窺う。
彼の冷静さはR15では作者のアカウントが危険で表記できない方向の思考のみに振り切っていた。具体的には書けないので端的にいうと、どう秘密裏に、どのように始末するか、である。
既にキグナスはヨルナスの脳内で、表記できない感じで何度も冷たくなっている。
そんなヨルナスのヤヴァイ思考に振り切った冷静さを、マトモ側に引き戻したのは思いも寄らない人物だった。
★★★
「いや～いい食べっぷりでしたね！ 団長！！」
「ふっ……イランドローネ家はガワだけでなく内臓も強いのが自慢でな」
アマリアは、淑女らしからぬ言葉をドヤ顔で言いながら定食屋から出てきた。
満足気な彼女にキグナスはこの上ない幸福と、アマリアへの恋心を順調に深めている。
団長、歳上、美人と三拍子揃ったアマリアは、いくら第二騎士団とはいえヒヨッコの自分にはあまりに高嶺の花だった。
だから、憧れの気持ちはあれど、どうこうなろうなんて夢など見てはいなかった。……今までは。
女性不信である彼だが、エリート部署である第二騎士団に入ると大いにモテたので、押し切られてお付き合いをしたこともある。
だがそれより前にナタリアと『ルーナ』によって女性が苦手になってしまった彼に、女性の扱いなどわかる筈もなく……
彼女が今日のアマリアのように『貴方のオススメの店に連れて行って♡』と言った初デートで、似たような店に連れて行って、速攻フラれ、あまつさえ『アイツはしみったれ』という悪評を振りまかれて彼の女性不信は更に加速した。
勿論キグナスは、純粋に『オススメの店』に連れて行っただけである。
残念な出来事だが、最初に引っかったのが手練手管に長けた女であったなら搾取されていた可能性は高い。身を持ち崩さなくてすんだだけ、幸いだったのかもしれない。
そんな過去を持つ彼だ。
もりもり食べて「なかなかの味だった！ 王都は奥が深いな！」と爽やかに褒め称え、気を良くした店主に引く程サービスされたが、残さず全て平らげたアマリアには感動すら覚えた。
「……とはいえ流石に腹一杯だな」
そう呟くアマリアの惣菜の脂に光る唇を、ドキドキと盗み見ながら
（ずっと諦めていたけれど……団長はまだ未婚！ こんな麗しい女性がまだ未婚なのは……運命なのかもしれない！！）
などと非常にお花畑で乙女な妄想に支配されたキグナス。
「だっ団長！ ならば公園で散歩しませんか？！」
食い気味にアマリアを公園に誘った。
（普段ならば演習に参加してもいいのだが、この恰好だしなぁ～）
「……そうだな～。 そうするか！」
気軽に誘いを受けるアマリアには、当然男女の意識は皆無である。彼女は『腹が重い』くらいの意識しかない。
『超ハイスペックヤンデラー腹黒ショタもどき』は
鷹羽飛鳥様の感想から頂きました！
鷹羽さん、今回もパワーワードをありがとうございます！！
°+♡:.(っ>ω<c).:♡+°
↓鷹羽飛鳥様マイページはこちら↓
https://mypage.syosetu.com/799749/
面白い感想からネタやヒントを頂くことが多いです！
是非とも愉快な感想、お待ちしております♡
