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7-6話 命符

「……ん、こっち空いてますわよ。ほら」


ミラノの先導について行き、なんとか4人並んで座る事が出来た。4人が座ったあともひっきりなしに学生達が教室へと訪れる。しかし、流石は人気授業、授業開始5分前に差し掛かった所で座れる席がなくなった。


▽▽▽


「うぇ…… 今年も多いなぁ……」


心底ダルそうな顔を浮かべた男性…… イズモ達4人は見覚えのあるその男性は、教室へ入ると拡声器を懐から出す。


「はい、今日の授業担当を押し付けられました体術教師のメトルでーす……」


メトルの顔色は普段より二段階ほど悪く、少々やつれ気味だった。


「座れてない人は他の授業に行ってくださーい…… 命符の授業は、午後にも、明日も、明後日も、明明後日もやりますから急がなくて大丈夫でーす……」


そのやる気のなさっぷりは、昨日会ったイズモ達に本当に同一人物かと疑わせるほどだった。


「ほ、本当にあれメトルさんか……?」

「姿形は間違いない。が、テンションは全く別物だな」

「余程こってりと絞られたようですわね……」


そんな事を話していると、やる気の欠片すら見られないメトルは、教壇へと何とか辿り着く。するとすぐに、イズモ達4人を見つけ、みるみるうちにテンションが高ぶる。


「んっ、そこに見えるはイッッッズモ君!」

「はっ、えっ、ちょ、なにしてんの!」


得意の空を駆ける魔法でもってイズモの目の前へと瞬時に動くと、イズモを掴んで教壇へと戻る。


「はーい、皆さん注目~ この子はイズモ君、今日は私の手伝いをしてくれます」


メトルはイズモに有無を言わせないまま講堂内に宣言するが、突然連れてこられたイズモは状況がのみ込めない。


「メトルさん!? えっ、何してんの、何してんの!?」


メトルの耳元で声を最大限殺しながら叫ぶイズモに対し、メトルは神妙な顔つきで返す。


「イズモ君…… 手伝ってくれ。俺は…… これっぽっちもこの授業にやる気が湧いてこないんだ……!」

「いや、知りませんよ!? なに真剣な顔で子供みたいな事言ってんですか!?」

「俺はまだ大人になったつもりは無い……」

「屁理屈こねないでくださいよ!」


イズモの反撃に、メトルはため息をつく。


「まぁまぁ聞くんだイズモ君。俺がこの授業をしてるのも君たちのせいと言えなくもないんだぞ」

「えっ、どーいう事です?」

「昨日の警備さぼりの罰として、アレンにこの授業をするよう命じられたんだよ」

「いやそれ100%あんた達のせいだよね!?」

「正論は聞きたくないんだイズモ君。まぁいいじゃない、ちょこっと手伝って貰えればそれでいいんだ」


メトルの態度に何を言っても無駄だと悟ったイズモは、渋々ながら頷く。


「メトルさん、昨日とキャラ違いすぎですよ」

「世間一般的に大人と言われる歳になっても、授業というのは面倒なものなんだよイズモ君」

「答えになってないですよ……」

「まぁまぁ。とりあえず授業始めるよ」


メトルは手に持っていた拡声器を使って「静粛にー静粛にー」と受講者達に呼びかける。


「助手のイズモ君の同意も得られたので授業を始めます。まず命符とは何か、という事を皆さんに問います。誰か分かる者はいますか?」


メトルの問いに対し、受講者の一部がちらほらと手を挙げる。


「イズモ君、好きな子指名していいぞ」

「は、はぁ……」


指名権を投げられたイズモは、最前列でこれでもかと手を挙げていた栗毛の少女を指名する。


「命符は、その人の才能が表象したものだと考えられており、命符を手に入れる事でその才能の恩恵を受けることができます。自分の能力値が上がる者もいれば、特殊な技能・魔法・力に目覚める者がいたりと、その恩恵は様々です」


栗毛の少女は得意げにそう語ると、メトルは頷き拍手を送る。


「素晴らしい、その通りだ」

やっと授業に入れました

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