4-4話 命響式(後編)
諦めの境地にいる2人。だが、2人はすぐに気を持ち直すと、イズモに色々と聞きながら練習を始めた。丁度いい機会だったので、イズモは目的地に着くまでの間、マシロに魔法のいろはを教えつつ、2人の練習に熱心に付き合った―――
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「ほら、3人とも。そんな暗い顔しないでいこう?」
ローリエ、カンラン、オレア・コラン学園を繋ぐ魔道列車、そのカンラン駅にて。イズモ含む、マシロ、ミラノ、ルーの4人はかの地へと降り立った。が、イズモ以外の3人は浮かない顔をしていた。
「魔法……ぜ、全然覚えられなかった……」
「マシロは他の子より覚えるの早いですわよ。それより、魔法凝縮出来る気がしないですわ」
「おじょーはまだいいですよ、凝縮自体は出来てるんですから。俺なんかピクリとも動かなかったですよ」
マシロは魔法の取得について、ミラノとルーの2人は魔法凝縮について、それぞれ壁にぶつかり、暗くなってしまっていた。
「マシロは…… ミラノの言う通り、他の子より魔法技術の成長速度は早いよ。それに、学園に通う前の時点で魔法を覚えてる子は少ないから、気にしなくても大丈夫」
「で、でも……」
「忘れたの? マシロの魔法適性は高いって、マギアさんにもお墨付きをもらったじゃない。それに、これからもできる限りサポートするよ」
イズモの励ましにより、マシロは暗い顔を辞め、元気が出てきた。実際、マシロの成長速度は高く、魔法という概念に触れてきていない世界に住んでいたにも関わらず、イズモが少し教えただけで魔力を感じ取り、操作する事に成功していたほどだ。ちなみに、この世界の子供であったら、この段階になるまで早いもので数時間、遅いものでは5日以上はかかるのだから、マシロの成長速度の高さがありありと分かる。次にイズモはまだ元気がない2人の方を向くと。
「2人も、魔法凝縮は慣れないと難しいからさ、これから時間かけて覚えてこうよ」
「それはそうなんですけど、他にも魔力制御に核?の作成もあるって思うと先が遠すぎますわ……」
「俺は魔法凝縮だけ覚えられればいいけど、おじょーより魔法下手だから、いつになったら覚えられるか……」
「大丈夫だよ、できるまで付き合うから。それに、学園には俺より上手く教えられる人もいると思うからさ」
「そんな事はないと思いますわ……」
イズモの「もっと上手く教えられる人がいる」という発言には否定したものの、イズモの言葉によって2人とも元気が出たようだ。
「ちなみにイズモは、魔法凝縮覚えるのにどれくらいかかったんだ?」
「俺は10日くらいかなぁ」
「10日!? 大人でも使える者が少ないこの技術を、10日で覚えたのか!?」
「うん、師匠が教えるの上手かったからね」
勿論、マギアが教えるのは上手だったというのは正しい。とはいえ、そのマギアが教えても覚えられないものは多いのだ。つまり、ここまで魔力制御が上手く、魔法凝縮が得意になったのは、マギアの教えの部分以上に、イズモの資質が高かったからだといえる。