3-5話 命響式
3話がいつになっても終わらない()
「ほら、早く立て。この2人を送り届けるぞ」
「誰のせいでっ! こんな事になってると思ってんですかっ!」
シオンは泣きながら叫ぶが、その言葉はメトルの心には響かない。
「お前が悪い。ほら、早くしろ」
▽▽▽
「あとで学長先生に言いつけますからねっ!」
そう吐き捨てると、シオンは魔法を使う。転移魔法独自の紫の魔法陣が広がり4人を包むと、光と共にその場から消える。そして、気づいた時には賑わい栄えるローリエ中心街に立っていた。
「さて、あとは君たち2人だけで大丈夫か?」
「は、はい! ありがとうございますメトルさん!」
「あ、あ、ありがとう、ございます!」
メトルは口元を弛めて2人を撫でる。
「先輩ばっかりずるいですよー! 誰のおかげで帰って来れたと思ってるんですかーっ!? 私ですよ私、私が優秀だから……」
メトルはシオンに無言で腹パンすると、シオンはその場に崩れ落ちる。
「すまんな、うちの馬鹿が。では、私達は職務があるのでここらでお暇させてもらおう」
そう言い残し、メトルはシオンを担いで群衆の中へと消えていった。
「じゃあ、マギアさん探そうか?」
「そ、そうだね…… 」
2人はマギアを探し始めるが、さして時間もかからず見つけることに成功する。というのも、最初に来た場所へ向かうと、そこにはより一層の人だかりができており、その中心には魔法によって縛られている男性とマギア達が立っていたのだ。マギアはその男性を烈火のごとく問い詰め、時には魔法でもっていたぶっていた。
「てめぇ、うちの子供達を何処へやったんだい! 早く吐きな!」
「けっ、誰が……」
強がろうとする男性だが、マギアが魔法でもって火で出来た槍を複数生成したのを見るや、意気消沈して言葉を失う。
「マ、マギアさん! そ、それはやりすぎだよ!」
イズモがそう話しかけると、マギアをはじめとしたその場にいる多くの人がイズモの方を向く。マギアはイズモとマシロの姿を見つけるや否や、涙を流しながら2人をらハグする。
「イズモ、マシロ! 良かった、大丈夫だったかい!?」
「う、うん大丈夫だったよ。マシロは泣いてたけど」
「いや、だ、だってそれは、イズモともはぐれちゃって……」
マギアは魔法で炎を出すと、縛り上げている男性に向けて魔法を放つ。
「てめぇ、何うちのマシロに不安な思いさせてんだぁ?」
「ちょっ、マギアさん落ち着いて! その人、もう白目だよ!?」
「いいんだよぉ、そいつはお前達に転移魔法を使った犯人なんだから」
「え、じゃ、じゃあ、その人が《怪盗》さんですか?」
マシロがマギアに聞くが、マギアは首を横に振る。
「こいつは《怪盗》クロックの名を騙った偽物だよ。本物はこんな程度じゃ捕まらないからねぇ」
「そ、そうなんだ……」
「さて、悪いがイズモ、マシロを頼んだよ。あたしゃ、これからあいつを連行することになってるんだ」
□□□
そんなことがあった後、マシロとイズモはローリエ観光を楽しんでいる。
「ほら、イズモ。 射的しよーよ!」
「いいけど…… マシロ、お金もってるの?」
「あっ……!」
イズモの指摘に、マシロはハッとする。そのことを予想していたイズモは、マジックバックから財布を出し、射的屋に二人分のお金を渡す。
「ご、ごめんイズモ……」
「いいっていいって。この日のためにお小遣い貯めてきてるからさ。ほら、やろ?」
イズモは射的用の銃をマシロに渡す。
「あ、ありがと……!」
「この銃は魔法銃で、引き金を引くと風で出来た弾が飛んでいく仕掛けだよ。ほら、やってみ?」
「う、うん! やってみる!」
マシロは正面に3つある景品棚の中から、1番低い棚の中央、熊のぬいぐるみを狙って引き金を引く。しかし、風の弾は見当違いのところへと飛んでいく。それにめげずに、続けて何回も撃つが、全く当たらない。
「むぅ~ まだまだ!」
さらに続けて撃つと、風の弾は熊のぬいぐるみに当たる。
「やった!」
「あー、お嬢ちゃん残念! 落ちてないからGETならず!」
「えっ!」