無意識は人を貫く
一人の少年が椅子に腰かけ言い放つ。
「なんで、なんで.......イラつくことばかり怒るんだ!」
少年は頭を抱え掻きむしる。
それ程、ストレスにここが蝕まれている証拠だ。
「人が生活していている中で当たり前だろうが!」
「何が、独り言やめて欲しいだ!」
「咳払いがいやらしいから聞きたくないだ!」
「共同生活してんだから、そんくらい我慢しろよ!」
「俺だって、不満なんて数え切れないほどあるんだよ! それを抑えて生活してんのになんなんだよお前らは!!」
少年は大きく息を吸って、思い切り叫んだ。
「ふっざけんじゃねぇーよ! このクソ共がー!!」
少年息を切らしながら再び呼吸をする。
すぅ、はぁ。
すぅ、はぁ。
落ち着いたのか、先程までにあった怒りの表情は薄らいでいるのがわかる。
「まぁ、気にしても仕方ないか」
少年は諦めている。
今まで他者から省かれ続けたことから、他者共に理解されないと分かると直ぐにその他者共を切り捨てる。
これは、少年が自身の心をまもるために取った最大の手段。
上辺で上手く取り繕って接しても、やがて限界が来て続けることが困難になる。
それなら、しない方がマシだーーそう思った。
「最近も嫌なこと続きで、気が全然休まらないからな.......どうしたものかねー」
取り敢えず、旅に出よう。
少年はそう決めた。
ゴールなんて見えない、果てしなく長い度に出よう。
そうすればーー見つかるかもしれない。
「俺の求めている何かが」
そう呟くと少年は灰となって消えていった。