『伝説の竜の倒し方』
強力な敵を倒すには複雑な手順が必要なのがお約束です。
二千年の眠りより目覚めし伝説の暗黒魔竜。
その巨体は天を覆い、一夜にして文明を滅ぼしたという。
伝説の村の長は大陸駐在の自衛隊司令官に言う。
「暗黒魔竜を倒すには伝説の剣が必要です」
「伝説の剣」
「まず世界各地にある伝説の祠から、伝説の素材を集めます」
「伝説の素材」
「そしてそれを伝説の錬金術で合成し、伝説の剣にします」
「錬金術で合成」
「伝説の剣を暗黒魔竜の喉元深くに突き刺します」
「喉元に突き刺す」
「狙う場所は、逆鱗から十二枚目と十三枚目の鱗の間の拳一つ分の隙間です」
「狙いは拳一つ分」
「伝説の勇者は、伝説の剣で暗黒魔竜を倒したと記されています」
「何それ伝説の勇者凄くない?」
「伝説の英雄の子孫は現在行方をくらましており、暗黒魔竜討伐を自衛隊の方々に頼みたいのです」
「剣道経験者くらいしか居ませんが」
「お願いします。暗黒魔竜が暴れまわれば、いずれ日本の皆様にも大きな災いが……」
「日本の存立危機事態かもしれない」
「――という事なのですが統幕長。害獣駆除? やはり災害派遣ということになるんですね?」
――自衛隊は奮闘した。
自衛隊と各地の有力者が血眼になって探した伝説の英雄の子孫は遂に見つからず。
伝説の剣を暗黒魔竜の逆鱗から十二枚目と十三枚目の鱗の間の拳一つ分の隙間の喉元深くに突き刺す事は叶わず、世界は滅びへの道を辿るのである。