4.思いの外いけるかも。
手を引っ張っていた少女ことオプスキュリテも先生の指導の元、魔法を使うことが出来た。
彼女は自分の魔法の出来に少し残念がっていたが、先生は素質がいいって言ってたので将来はいい魔法使いになれるのかもしれない。
「では、皆さんの魔法体験が終わりましたので、本日の授業は終わりです。」
「個人での魔法の練習は自由ですが、くれぐれもマナ不足に注意してね。特にリュミエール。」
僕は少しドキッっとしたが、こっそり自己練習したいって考えてたのが先生にバレてました(汗
そして授業が終わり、ようやくこの世界のことについて調べることが出来るのかな?まずはオプスキュリテと話をして徐々に情報を聞き出していくことにした。
「ようやく、授業終わったね〜。魔法使うの楽しかったね!」
「るみのように面白く魔法使えなくて残念だったよー。」
「そーいえば、魔法棟に来るまでに急に止まったり驚いたりしてたけど、どうしたの?」
やはりオプスキュリテはこのことが気になっていたようだった。
現段階ではこの世界で頼れる人がこの少女しか今はいないため、話せる事だけ正直に話してみることに。
「実は魔法授業の前あたりからなんだけど、昨日までの記憶がないの。。。」
「えっ?!記憶喪失??まさかウソでしょ?!」
少女はかなり驚いているようだが、すぐさま真剣な眼差しに変わった。
「親友の言ってることだし、間違いないよね!あと、私が信じてあげなきゃ他の誰が信じるっていうのさ!」
肩をそっと寄せ合って慰めるようにヨシヨシとしてくれた。
うぅ…なんて良い子なんだ。と僕は涙が出るような感じだった。
「記憶喪失ってどこまでわかってないのか知らないけど、覚えてることはあるかしら?」
んー、手を引っ張られる前は会社員の38歳のおじさんでした!なんて言えないから、ここは全く記憶がない前提で話を進めて少女に心配かけすぎないようにしよう!
「ここがどこで私が何なのかすらわからないの・・・。名前はリュミエールかな?先生が授業で言ってたので・・・」
「うん、全く覚えてないってことね!私と昨日までのるみとは、ものすごくイチャイチャラブラブだったのよ〜♪」
?!
少女は急に抱きついてきた。
「えぇえっ?!そ、そうだったの?!」
僕は顔を赤らめ、少女を振り払う形で仰け反り、地面に尻餅した。
「ご、ごめん!今のは冗談だから!冗談!!というか大丈夫?ちょっと悪ふざけが過ぎちゃった。。。」
少女は本当に反省しているようで、手を差し出して立たせてくれた。
「この反応は確かに昨日のるみとは全然違うから、にわかには信じがたいけど確かなようね。」
「まずは記憶が戻るまでの間は極力私が側にいるから頼ってよね!」
少女はドヤ顔にドヤポーズに任せなさい!って感じのオーラを出して、親友としてなのか非常に頼りになりそうで僕はこの世界に来て少し心が安らいだ感じだった。
「るみ、まずはこの場所とか見覚えはないよね?どこから説明しようかなー??」
彼女は本当に親身になって考えてくれており、とりあえず僕はこ子で生きるための情報を先に収集することにした。
「まず名前なんだけど、君はオプスキュリテさんで良かったかな?」
とりあえず、親友?の少女の名前が間違っていないか確認することは大事だよね。これからどれだけ頼りにすることになるかわからないし・・・。
「そうだよ!あーでも、君とか、オプスキュリテさんじゃなくて呼び捨てでオプスでいいわよ。」
「貴方の名前はリュミエール。昔から'るみ'って呼んでるわ。別にいいよね?」
「全然問題ないです!本当に迷惑とか頼りまくるかもだけど宜しくお願いします。」
と僕は丁寧に少女に頭を下げてお願いした。
「ちょ、ちょっと!頭まで下げなくていいから!あと敬語っぽいの禁止で!昔のるみはもっとガッツリだったし(笑)」
「じゃあ、お言葉に甘えてタメ口でいくね。」
「タメ口?とりあえず敬語じゃなければいいわ!ひとまずここで立ち話もなんだし、一旦ハウスに帰りましょ」
またもや少女に手を引かれるのであった。