3.魔法って素晴らしい!
魔法。
この世界で自分の身を守るためには覚えておいて損はなさそうなので、気になることばかりではあるけども、まずは使ってみないことには前には進まないし、それよりも魔法が使えるんだよ?!今まで生きてきてこんなチャンスは絶対にないからワクワクが止まらない。
「一人一人が見て教えていきます。呼ばれたら前まで来てください。」
「まずはクリス。みんなはまずクリスがうまく出来るか見ているように。」
先生がクリスという少女を呼び、先生の机の上にはいつの間にか丸いガラス玉が出ていた。
「クリス、あなたの魔力量をまず計ります。手をガラス玉にかざしてみて。」
そう言われてクリスは手をかざし、数秒が経過したところガラス玉に何かが表示されたようだ。
「マナ量は16ね。では手をガラス玉から離して、今度は向こうにある木の標的にファイアボールを当てるイメージで魔法を唱えてみましょう。」
「まずはイメージ。このガラス玉と同じ大きさ火の玉を思い浮かべながら、手を前に突き出してファイアボールと唱えてみましょう。」
クリスの手の前にガラス玉のサイズよりも小さいがモヤモヤした火の玉が突如現れ、標的にゆっくり火の玉が進んでいた。
「やった!」
「なかなか素質いいわね。じゃあこのまま標的に当たる前に消えるイメージをして消してみましょう。」
火の玉は徐々に小さくはなっていったが、消えずそのまま標的に当たって消えた。
「すぐに出した魔法を消せるようになるためには、いっぱい経験を積まないとできないので最初にしては素晴らしいですね。」
クリスは喜んで、先生にお辞儀をした。
「ではクリスは席に戻ってください。次に〜」
一人一人ずつ先生に呼ばれて、最初のクリスと同じ手順で魔法の実技が進んでいった。
〜 10分後 〜
「では次、リュミエール。前に出てきてください。」
「るみ!あなたの順番よ。」
ぼーっと考え事をしていたところ、オプスキュリテに突かれ、僕の番ということを教えてくれた。
30歳までDTなら魔法使いになれるっていう都市伝説があったけども、実際に魔法が使えるなんて夢のようだ。いや、これは夢なのかもしれないけど。
僕は先生の前まで移動して、先生を近くで見れば見る程、素敵な女性だなぁと見惚れてしまった。
「リュミエール。私に見惚れるのもいいけど、まずはガラス玉に手をかざして。」
今までの少女がやってきたように僕もガラス玉に手をかざして、ガラス玉に何か文字が表示されたようだ。
「マナ量は12ね。他の子よりも少ないけど、まぁ問題ないわ。」
もう少しあってもいいんじゃね?!と落胆してしまったが、魔法が使えるのならノープロブレム!って感じ。
「ではあの標的目掛けてファイアボールを使ってみましょう。」
さぁ僕の初魔法。どんな感じで出来るのかな?!ワクワクが止まらないな!
お化け屋敷とかにある火の玉をイメージしながら、僕は詠唱した。
「行けっ!ファイアボール!!」
手を向けている先に火の玉が現れ、ゆっくりとふらふら不規則に標的の方に移動していた。
やった!出せたぞ!と喜び、かなり感情が高ぶってしまっていたせいか火の玉も拡大・縮小を繰り返していた。後は魔法のコントロールが出来るのか試してみよう。
標的に向かっている火の玉を止めるイメージをすると、しっかり止めることができた。
「最初で火の玉のサイズ変更やピタッと止めるなんて魔法コントロールが上手ね。」
と先生に褒められた。
そして、火の玉を上に移動させるイメージと一定の高さになったら花火のように爆発するイメージを組み合わせてみることにした。
火の玉はゆっくり上に移動を始め、4mほどの高さになったら花火のようにドンっ!と鳴りつつ拡散して消えた。
「素晴らしいコントロールですね。でもまだ初めてなんだから変にコントロールせずに少しずつ覚えていきましょうね。」
確かに初めて魔法を使ったという好奇心で色々試してみたくなってしまった。
そして急に疲れがどっと押し寄せ、フラっと倒れかけてしまった。
すぐさま先生は僕を抱えてくれた。
「おっと、魔力不足になりかけてるね、仕方ない子ね。マナヒール。」
僕の額に手を当てて、呪文の詠唱後に僕の具合が良くなっていった。
「あ、ありがとうございます。」
「無茶はダメよ。もう立てるかしら。問題なければ席に戻って休みなさい。」
ちょっとフラつきかけながらも一人で席に戻ることができた。
「いきなり面白いことやってきたわね!私も負けてられないわ!」
意気込むオプスキュリテを見て、やっぱり子供って無邪気で可愛いなぁと思った。
次こそはもっと魔法について覚えて上達したいと思った僕なのでした。
この世界についての記載はまだもうちょと待ってください。。。