ユウチャン、初期装備を手に入れる
ユウチャンとカノンはニシシンジュク町についた。ニシシンジュク町には国王の城があり、城下町として非常に賑わっていた。
「ここがニシシンジュク町でござるか。ぱっぱと役所に行って魔王討伐の許可を取りたいでござる」
ユウチャンは張り切っていた。早く魔王を倒して家に帰宅してアニメが見たかったからだ。
「いや、役所に行ってもそんな許可はおろしてないと思うわよ……」
「では誰に許可を取ればよいのだ?勝手に駆除してよいのか?後で怒られるのは嫌でござる」
「害獣駆除じゃないんだからそんな許可要らないって、まぁ王様に言えば多少の装備をくれるかも知れないけど」
「じゃあ王様の所に参ろう、拙者はチンタラするのが嫌いでござる」
ユウチャンはとりあえず行動してから考えるタイプの人間だった。
「あそこに見えるのが王城みたい、行ってみましょう!」
「おお、かたじけない。参ろう」
二人は王城に向かった。城は大きく、警備の兵士も大勢いた。ユウチャン達は王様に会いに城へ入った。
「拙者、ユウチャンでござる。王様はどこぞ?」
「いかにもワシが王である!なにか用かね?」
白い髭に王冠、いかにもな風貌な王様がいかにもな真っ赤なローブを着て玉座に座っていた。
「拙者、魔王を倒したく思い、ご挨拶に参った次第。つきましては先立つものをいただけますかな?」
「また魔王討伐志願者か…」
王様は深いため息をついた。
「どうせ他の者と同じようにすぐ諦める、まぁよい」
パンパン
王様が手を叩くと家来のものが武器と防具を持ってきた。
「鉄の鎧と鉄のナイフだ、持っていくが良い。ついでに多少の軍資金もやろう」
そういうと王様は財布から取り出した銀貨3枚を渡し、シッシッと手を払って二人を追い返してしまった。
「なんだかすごく嫌な気持ちになったけど、装備貰えてよかったわね。ナイフがとても小さいのが気になるけど」
「このバター切るのにしか使えなそうなナイフはおいといて、こんな鉄の鎧を着ては拙者の四十肩が悪化する。鍛冶屋に行くでござる」
ユウチャンはインドア生活がたたって、酷い四十肩に苦しいんでいた。
「あなた、鍛冶屋に行ってどうするの?」
「この鉄の鎧を溶かして、クロム・ニッケル・マンガンなどを混ぜ合わせて合金にする。ステンレスなら軽くて丈夫でござる」
「なに?なんだかよくわからないわ、とにかく鍛冶屋に連れていけばいいのね」
二人は城下町の鍛冶屋へと向かった。多くの店と来客で賑わっていたが、鍛冶屋が大声で鎧のたたき売りをしていたので思いのほかすぐに見つかった。
「失礼!魔王退治に強力していただきたい!」
「なんだお前、勇者志願者か?」
はげ頭に立派な髭を生やした怖そうな鍛冶屋の男がたたき売りを辞め、ユウチャンの問いかけに応じた。
「勇者ではござらぬ、ユウチャンでござる」
「なんだか知らないが、鎧が欲しいなら金持ってきな。うちのはものがいいからそれなりの値段はするぜ」
「銀貨3枚しかないでござる。これで窯と道具と材料をお貸しいただきたい」
「なんだ変わった客だな。まぁいいぞ、好きに使いな」
ユウチャンは王様から貰った鉄の鎧を窯で溶かし鉄の塊にした後、鍛冶屋にあったいくつかの金属の塊と混ぜて合金を作り始めた。
「大丈夫かしら?」
カノンは心配そうに外で待っていた。
「ふむ、出来た!」
ユウチャンは完成した鎧を来て外に出てきた。
「カノンに読ませて貰った魔法の書も参考にしつつ、独自の配合で作ったらかなりいい感じの合金になりましたぞ!」
鍛冶屋の親父がユウチャンの作った合金を確認した。
「この硬さ、この輝き、間違いねぇ!コリャ伝説のオリハルコンだ!これなら最強の鎧ができる!!」
「あまった合金はあげるので、これで軽そうな鎧を作ってほしいでござる」
「明日まで待ってな。極上の鎧を作っといてやるよ」
そういうと鍛冶屋の男は窯に入っていった。
「久しぶりに運動したら肩が痛いでござる。さっさと宿にいって休みましょう」
ユウチャンとカノンは宿を探しに歩き始めた。