表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/16

ユウチャン、ダメ元で魔物に説得してみる

「旅の人、気持ちだけでワシらは充分じゃ。どうか少しでも遠くに逃げておくれ」


 村長はほほえんだ顔で諭すようにユウチャンに話しかけた。


「浸かり心地はおいといて、この村の温泉の効能は見事でござる、肩が治りもうした。今の拙者なら全打席ホームランでござるよ」


 村長はユウチャンがなにを言ってるのかよくわからなかったが、この男の溢れんばかりの自信に賭けようと思ってしまった。


「旅の人、外には二百を超える魔物たちがおる。本当に戦う気かい?」


「分からん、取り敢えず説得してみるでござる」


 そういうとユウチャンは走って出ていってしまった。


「説得……なんと愚かな……」


 村長は目まいで倒れそうになった。


「ここがゲロ村か、中の人間は皆殺しにしていいと指示が出てる。獣王団(じゅうおうだん)と手柄の取り合いだなぁ」


 上空のガーゴイルはニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながら隣のガーゴイルに話しかけた。


「まて、なにか村から出てくるぞ」


 話しかけられたガーゴイルは村の入口を指差した。


「なんだあいつ、タオルを腰に巻いてやがる。大方俺たちの存在に気づき必死になって逃げようとしてるんだろ。おい!人間!逃げる方角を間違えたな!」


 ユウチャンは話しかけてきたガーゴイルにこう返した。


「おおい、魔物のみんな。今日は見逃してやるからうちに帰るでござる」


 ガーゴイルは一瞬固まったあと、大笑いした。


「カーッカッカッカッ!これだけの人数によくそんな減らず口がたたけるもんだ。普段ならお前みたいな馬鹿はじわじわと苦痛に歪む顔を楽しみながらなぶり殺すんだが、あいにく今日は時間がない。おい!ミノタウロス共!その馬鹿の手柄はくれてやる!」


 ミノタウロスが一度に三匹、ユウチャンに斧を振り落とそうと猛突進していった。


 バタ…バタ…バタン!!


 突撃していったミノタウロスは倒れた。ユウチャンの拳がミノタウルス達の意識を一撃で絶った。


「なんだアイツは!」


 そう叫んだガーゴイルにユウチャンは強靭な脚力で地面を蹴って飛び乗り、ガーゴイルの背中の羽を根元からナイフで切り裂いた。


「グアァァァ!!」


 羽を切り落とされ、地面へと落下するガーゴイルを蹴落とし、ユウチャンは次のガーゴイルに飛び乗って同じように羽を切り裂いた。


「駄目だ!俺たちじゃ太刀打ちできねぇ!獣王ライオス様を呼べ」


 一匹のミノタウロスが大声で叫んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ