紅の涙 【紅の秋企画】
くるり ひらり
紅が舞い落ちる
あの古都の秋の夕暮れ
あなたとふたり訪れた
それは密やかな溜め息
しどけない姿であなたに
衣摺れの音さえたてず
生まれたままに抱かれた
あの古都の秋の夕暮れ
ふたりの躰は何処までも
限りなく深い淵の底へと
くるり ひらり
紅が舞い落ちた
ひとすじの涙を忍ばせて
くるり ひらり
紅が舞い落ちる
あの古都の秋の夕暮れ
君とふたり訪れた
俺の色に染まった吐息
欲にまみれた楔を君に
刻んで艶やかに乱し
白い肌へ紅を散らした
あの古都の秋の夕暮れ
誰も触れない底へ堕ち
互いの温もりだけの世界へと
くるり ひらり
紅が舞い落ちた
君の涙さえ俺がもらう
本作は、遥彼方さま主宰「紅の秋」企画参加作品です。
香月個人の作では200字に足りなかったので、素晴らしい結句を遥さまに書いて頂きました。
遥さま、お読み頂いた方、どうもありがとうございました!