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75話



何事もなく無事に合流し、腰を落ち着けて先ほどまでのことを伝えた。集落っぽい場所も含めて。


「「「は?」」」


そしたらこの反応である。まるでそれだけ?みたいな感じ。


「武装したゴブリン?」


「しかも一回り大きいゴブリンって多分ボブゴブリンよね」


「もしかしたらナイトもいるかもしれない」


いやそうでもなさそう。


「しかし…よく逃げられたね。さすがアサシンです」


こいつリリアにだけ媚び売ろうとしやがって。


「いやちゃんと倒したぞ」


「「「え!?」」」


3人同時に声を上げる。


「3匹もいたんですよね!さすがです!本当に!」


立ち上がって握りこぶしを作ったライル。


「なぁ、ボブゴブリンって強いの?」


「当たり前よ!初心者にとっては死神にしか見えないでしょうね。まぁ中堅冒険者になるための登竜門みたいなものね。リリアさんがいてよかったわね、じゃなかったら死んでたんじゃない?」


「はは、かもな」


あえて否定はしない。特に理由はなく、実は強かったみたいなのをしてみたくなっただけだが。


「じゃ、早速行こうぜっ!それとも作戦会議かなんかするの?」


「は?もしかして戦う気?」


信じられないという顔をするビッチA。何故そんな顔をするのだろうと疑問に思うと同時にビッチBも同じように言ってきた。


「ポーターはお気楽でいいわよね」


まあね!


荷物運びするだけだし。ポーターって隊列とかポジションとか気にしなくていいんだろ?じゃあ勝手に動いてもいいんだろう。だからポーターになったわけだし。


…いやカッコいい職業があるならそっちにつくけども。


「いいかい?リリアさんはともかく、僕ら3人は中級職で、1人は戦闘職でもない。全員で戦ったとしてもたった5人だ。勝ち目がない」


「それに見回りに来た兵士でボブってことは、集落にはメイジやジェネラルもいるかもしれないわ」


「もしかしたらキングとかもいるかもな」


「「「帰ろう」」」


だが断る。




☆☆☆☆☆☆☆☆




結局、一度集落の近くまで行くことになった。いざとなったら必殺技を使うからと言ったらしぶしぶながらついて来てくれた。


「本当に大丈夫なのか…?」


気がつかれないためか、小声で話しかけてくるリリア。それに対して俺は出来るだけ小声で、なおかつ自信満々に答える。


「………当然」


「おい」


「ちょっと待ちなさいよ」


今思えば別にコイツらについて来てもらわなくてもいいんじゃないかと思った。


まぁもうゴブリン村(仮)が見える距離ですし。手遅れ。


ちなみにここまでゴブリンとの遭遇(エンカウント)はなかった。気配を察知しながら隠密も同時発動。これで意外と気づかれないものだ。


「待って…。想像以上にヤバい…」


となりをを見ると顔を真っ青にしたビッチAの顔があった。額には汗が滲んでおり、手もカタカタと震えている。


「洞窟とかを利用するんじゃなく、完全に家になってる…。人間よりは低いけど、頭がいい…」


つまり、とライルは続ける。


「ーーキングがいる可能性がある」


「「「っ!!」」」


ゴブリンキングねぇ。ファンタジー小説で一度は出でくる中ボス的存在。徒党を組み、言の葉を使い、道具を使い、戦術を使う。


「だ…だったら…。もう気がつかれててもおかしくないんじゃ…?」


ビッチBがA以上に震え、顔は青を通り越して病的なまでに真っ白になっている。リリアたちもその意味を理解したのか、顔色がみるみる変わっていく。


『グオオオオオオオオオ!!!!』


そしてその言葉が合図だと勘違いしてしまうほどちょうどいい、いや最悪のタイミングで方向が響いた。









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