74話
「…やっぱしお前はいい性格してるよ」
「ありがとう」
「褒めてねぇよ」
さて、嬉しいことも言ってもらえたし集中しますか。
「グギャーーー!」
「グギャギャギャギャ!」
「グギャギャっ!」
3匹のゴブリンが迫ってきた。どれも武装している上に筋肉がついてるので強そうだ。しかも3匹のうち1匹は他のより一回り大きい。
「ボブゴブリンか…」
知ってた。俺もそうだろうな、とは思ってた。
まぁ……。
「「「グギャギャ!?」」」
もう罠は仕掛けてあるんですけども。
「えっ?は、えぇ?消えた…」
そう、ゴブリンたちが消えた…のではない。アイテムボックスEXを使い、ゴブリン三匹の足の下の地面をまとめて収納したのだ。急に足場がなくなり、そして重力に従って落下する。
こちらから見ると消えたように見えるな。
「…ぎゃぁ…アア…!」
まぁ声は聞こえてくるけどね。
「さて、どうしようかな」
上から魔法を撃ちまくろうか。それとも岩や土を入れて圧迫死させようか。
「いや、なにもせずに餓死させるのもいいかもしれないな」
「…やっぱしいい性格してるわ」
「なんだと!」
「褒めてんだよ」
そりゃ光栄なことで。
「けどこいつら倒してもレベル上がんないしな。お前殺す?」
「いいのか?お前の手柄だろ」
「別にいいよ。ほら、適当に武器投げ込めよ。作ってやる」
久々に使うような気がする聖剣召喚で剣、槍、斧、戦鎚などの武器を出していく。
「ずるいわ…」
「そりゃズルスキルですから」
「ちーと?」
一応ね。かなり残念なことにはなってるしバグみたいなもんだけども。本来なら持ち得ないはずのスキルだし、アイテムボックスEXなんて文字通り規格外だろう。
自分の中で改めてスキルのことを考えていると、リリアがゴブリンを殺し終えたようだ。
「ふぅ。終わったぜ。…ん?レベルが上がったか?」
「何故に疑問系なの?」
「いや普通そうだろ。鑑定スキルとかがない限り自分のレベルを確かめれないんだしよぉ」
「ああ、なるほど。じゃ、超鑑定」
「あ、ちょ、おい!」
ーーーーーーーーーーーーーー
アリス 人族 [女]
レベル5
攻撃力:C+
守備力:H-
知力:C-
敏捷:A
魔力:D-
スキル
逃走5
毒耐性3
短剣術4
隠密6
料理3
掃除2
気配感知5
偽装6
称号
『アサシン』
敏捷値に補正がかかる。隠密の効果にも補正がかかり、他にも短剣や暗器などの武器が扱いやすくなる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ほぇ〜。いろいろとスキルが成長してる気がする。というかステータスが敏捷値に特化しすぎじゃないかね。
「それはそれで良きだな」
「…?」
「あ、いや、お前のレベルを教えてくれないか?」
「確か4」
「じゃあ上がってるな。おめ」
「は?いや、オレのステータス見えてんの?偽装してあるはずなんだが」
「ほら、俺は特別な存在だから。……いやごめん冗談だから。本気でそう思ってるわけじゃないから!」
そんなかわいそうな人を見るような目で見ないでほしい。
「ごほん、じゃあ帰ろうか。集落っぽいのも感知できたし。集まってから相談した方がいいだろ」
「そうだな。…なぁ、やっぱお前が指揮してくれよ」
「できたら前向きに考えられるように善処する」
「…たのむぜ」
多分きっと大丈夫だと思う。
俺たちはライルたちのいる場所に戻った。木の上を跳んで。




