71話
学校が辛い!部活なんて行きたくないいいい!
「えぇー、リリアさんとクエストに行けるのは嬉しいんですけど…。ソイツって強いんですか?」
「というか職業教えてもらってもいいですか?」
「職業?………あっ、えぇと『ポーター』だ!」
危ない、忘れてた。
「使えないわね!」
「というか今自分の職業忘れてたわよね!?」
「そんなわけないだろう」
勘の鋭い子は嫌いだよ。
「まあまあ。それに合わせたクエストに行けばいいんだから。それに折角の機会だ、リリアさんと一緒にクエストに行こう」
…え?なに?君たちリリアのことを散々リスペクトしてるような気がするんだけど。この一週間でなんかあったのか?
「お前なんかめっちゃ信用されてるな。なんかしたの?」
「ん?ああ。なんかめっちゃ早く上級職まで上がったから騒いでんだよ」
…ん?上級職ですか?
えっと、1週間前に初級職になったばっかりですよね。早すぎるよね。いや、何回も盗みを働いてたんだっけか。
「ちなみに職業は?」
「アサシン」
…かっくいぃ。
「なるほど。異例の速度でクラスアップか」
たしかに目立つ要因にはなるだろうな。
「それだけじゃないですよ!」
と、拳を握りながらライルが立ち上がった。
「後輩冒険者たちにも優しいし指導もしてくれる。それでいて自慢したりとかしないんでみんなから人望があるんですよ。それにダンジョンの新しい道も発見してたんですよ!」
「へぇ、そりゃすごい」
…すごいよな?
「やめろって。別に大したことじゃねえしな」
謙遜するリリアだが、なんだか少し照れくさそうだ。
「というか先に行っちゃったのか…」
何故だろうか…?少しだけ、虚無感というか悲しい。一緒に行きたかったからか?
「わ、悪かったって。先に行って下見しようと思ってな…」
ん?……もしかして、俺のことを案内しようとしてくれたのだろうか?勘違いだったら悲しいけど、そうだったら嬉しいな。
「よし!リリアの自慢話はやめてクエストに行こうか!」
「自慢なんてしてねえ!」
どうだか。
まぁとにかく、いろいろあったということはわかった。俺も追いつけるようにしよう。ちやほやされたいし。
密かに決心した俺は、評価の上がりそうな依頼を受けた。ここに集まっている5人でチームを組んだ。リーダーはもちろん俺、ではなくリリアだ。多数決で決められた。
依頼内容はゴブリンの討伐。詳しくいうと、集落を形成する気配があるので、それの調査及び殲滅。場所はこの前と同じ森だ。
俺のランクだと、このクエストを受けられなかったのでリリアが代表として受注した。
「よし、ならまずは準備ですね。ソラさんは初心者らしいので、よく聞いてください」
…ドヤ顔がムカつく。ビッチ共まで見下すような視線を向けてる気がする。パーティーとして大丈夫か心配になるな。
「ん?なんかいるものとかあるの?」
だがわからないのも事実だ。素直に聞こう。
「もちろんです!先ずは水は必須ですね」
「俺が出せるから問題ないな」
「そ、そうですか。なら次に食料ですね。遭難した場合のことなどを考慮しないといけません」
「それも俺が持ってるから問題ないな」
そう言いながら俺はアイテムボックスからヤキトリを出した。そのままと食べた。美味。
「……そういえばアイテムボックスを持ちでしたっけ。普通そんな物は入れておかないんですけど…。
な、なら!地図!地図はもう持っていて当然です!」
「だな。地図がないと話にならん。なので当然持っている」
フィアに頼んだらもらえた。ちなみに城下町の地図は必要ないと思ってもらわなかった。帰ったらいただこうか。迷子はもう御免だ。
「……だ、だったら…ハンカチ!ハンカチを持ってないとなんかダメですよ!」
「ほら」
ポケットからハンカチを出す俺。
「…………」
「おい、ハンカチを冒険でどう使うか説明してもらおうか」
「もういいです。ごめんなさい。行きましょうか」
「お、おう?」
目のハイライトが消えたまま歩き出したライル。…少し意地になったかもしれない。
「お前ヤキトリ入れとくとか。バカなのか用意がいいのかよくわからんな」
準備周到なだけだ。
「ちょっと…このポーター実は凄い?」
「いやでも…ヤキトリ入れとく人だしへんな人かもよ…?」
おい。




