7話
「多分算術は元の世界でいた時に鍛えたものだろうな」
義務教育で散々習ったんだ。これくらいは無いと悲しい。
「では、この詐術というのは?」
「ああ、それはきっとこの世界に来た時ティアたちを騙した時だろうな」
「騙したってどういう事よ!!」
しまった。やっちまったぜ。
「ほら、最初に全世界に発信してやる!とかいってじゃん。アレ」
「騙したのね!」
「ふっ、騙される方が悪いのだよ!」
「お父様!こんな奴追放してしまいましょう!」
「いや、それは無理であろう。それより何故こんなにもレベルが…?」
「ほら、小さな努力の積み重ね」
「どんだけ嘘吐いてたのよ!?」
ほら、勉強時間とか仮病とか。
「皆さま。そろそろお時間が」
いつのまにか近くに来ていたセレスに言われて時計を見る。というか一回涙ふいて来てほしかった。未だに涙目になってるから。
「おお、もうこんな時間か。ちょうどいい、これで終わりにしよう。ソラも超鑑定があるので、自分で調べられるだろう」
「大丈夫だ」
「ならば終わりにしよう。ゆっくりと休むがいい」
「ありがとう」
「おやすみなさいソラさん」
「……フン」
「おやすみ。それじゃ」
そういって自分の部屋に戻った。
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「さて、チートなのかチートじゃないのかよくわかんねえなぁ」
チートなスキルがあってもステータスが貧弱。そもそも俺は間違えて呼び出されたのであって本来このスキルは俺のではない。多分助けたあの子にこのスキルが付くことで本当のチートになったんだろう。
はあ、本当に要らないことしちまったなぁ。
嘆いていても仕方ない。スキルの確認をしよう。
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超鑑定
生物、無機物問わずあらゆるものを調べることができる。鑑定の上位交換。
鑑定結果は使用者に対して最も分かりやすい形になる。
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成長補正(中)
レベルアップ時の全平均ステータスが上昇するに加え、スキルの成長速度にも効果がある。レベルアップ以外のトレーニングでも効果を発揮する。
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全言語理解
全ての言語が理解できるようになる。聞くことはもちろん、読むことも書くことも可能。
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状態異常無効
毒、麻痺、石化などの身体に悪影響が出るものを全て無効化する。
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聖剣召喚
聖なる剣を召喚する。聖剣は魔族や魔物に対してダメージが上がる。召喚できる聖剣は使用者による。
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算術
計算速度や正確さに補正が入る。
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詐術
人を欺きやすくなる。
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みたいな感じだ。
うん、シンプルで分かりやすいね。
「セレス、ちょっといいか?」
「はあ…何でしょう」
「何でため息ついたん?ステータスを上げるにはどうしたらいい?」
「トレーニングしかありません。力なら筋トレを、敏捷なら走り続けるなど、魔力なら魔法を使い続ければ成長します。耐久は…大変ですね」
成る程、耐久を鍛えたければ自分を痛めつけると。ドMかよ。
「レベルは?」
「レベルとはすなわち器です。器の成長…進化といった方が適切でしょう。自身の器の進化を促す何かをすればいいのです」
器の進化……カッケー!
「その器の進化をするにはどうしたらいい?」
「強敵との死闘が一番と言われています。もちろん勝つこと前提ですが」
「うわ…やりたくねー。じゃあスキルのレベル上げ、もしくは入手するにはどうしたらいい?」
「例えば剣術の場合剣術の修練を行い、一定値を超えるとスキルとして認識されます。また、成長補正のように、生まれつき持っている場合もあります」
成る程、つまり俺でも剣術のスキルを習得できるかもしれないと!?
「ただ、スキルを得るには努力が必要とされて……露骨にやる気を無くさないでください」
ううわ、嫌だぁ。
「ハッ!努力なんて言葉は嫌いだあ!」
「五月蝿いです」
「あっすいません」
だから真顔でそういうこと言われると……。
「質問は以上ですか?」
まあ特にないな。後は自分で確かめて行くしかない。
「おう」
「では」
「あーまた話し相手になってもらっていい?」
「……かしこまりました」
渋々と言った顔で何処からかお茶のセットを取り出す。ああ、アイテムボックスか。
「今夜は寝かせないぜ……?」
「卑猥です」




