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66話

学校が始まり、投稿が遅くなりそうです。ごめんなさい。



ひどい目にあった。本当にひどい目にあった。


ギリギリで聖剣を出しまくって壁にするも、防ぎきれずに丸焦げになった。簡単に言ったけど、丸焦げになって生きているというのは凄いことだと思う。レベルアップの恩恵を感じる。


これは体験談だが、日本にいた頃の記憶を思い出した。物心ついた時から小学校に通い出した頃まで思い出した。妹や親がいた。一通り思い出した後は見知らぬ場所にいて、目の前に綺麗な川があった。

向こう側から、お父さんと顔の似た見知らぬ老人が手を振っていた。


誰なのか尋ねようとしたところで目が覚めた。


「さ、三途の川…」


そうとしか思えない。


今思えば、あの老人は俺の曽祖父だろう。写真で見たことがあるわ…。


「あっ!起きましたー!」


視界に入ったのは見慣れた自分の部屋の天井。そしてフィアの顔だった。さらに言うと窓からは光が差し込んでおり、一晩中寝ていたと言うことがわかる。


「あはよーー」


おはよう、そう言いながら起き上がろうとすると、動きを阻害された。なんだろうと思いながら動かしていると、ガシャガシャいう。だんだんと掛け布団がめくれてきて……。


「おい、なんだこれ」


両手首、両足首に鎖が巻かれていた。


「やっと起きたの?」


「大丈夫ですか?」


みんなもやってきた。首を動かして声のした方に向けると、俺を殺そうとしたメンバーに加えてセレスもいた。


「ひぇっ」


トラウマなってしまったのだろうか。さっきから謎の震えが止まらないし吐き気がする。気持ち悪いし頭が痛い。


「ねぇ、どうしてあんな事したの?」


俺のこんな状態を全く気に留めずにサユリが近づきながら問う。首をだらんとしているのが本当に怖い。


あっ、きっとこの震えはサユリのせいだ。生き物としての本能がやばいって警鐘鳴らしまくってるもん。


「そ、その…」


口が上手く動かない。声を出そうとしても口がパクパク動くだけだ。


「お、お前らこそ…なん、で…」


なんとか出たが、途切れ途切れになってしまった。


「あは、これ?だってソラさん勝手に逃げちゃうんだもん。捕まえておかないと…ずっとずっとずぅっと」


サユリが目のハイライトを消したままどこか嬉しそうに言った。顔は笑っているのに身体の震えが止まらない。


「(お前らどういうことだ!?)」


俺は他のまともそうな人たちに目で問う。


「(わ、私のせいじゃないから…)」


「(そうですよ!ソラがいなくなるからいけないんです)」


はあ!?コイツら責任転嫁し始めやがった…。


「(わ、私だって止めたんだぞ。だが、なんか怖くて…)」


「(ん…光って覚醒みたいな感じだった…)」


お、おおう。リサが怖がるってどんだけだよ…。


「ソラさんソラさん。今私とおしゃべりしてるよね?どうしてみんなの方向いてるのぉ?」


「向いてない向いてない!」


「だったら質問に答えてよ。どうして何処かに行っちゃったの?」


「うぐっ」


暇だったからとか言った日には死ぬ気がする。


「そ、それは…。いつもお世話になってばっかりだから…。どうにかしてお金を稼いでこようと思って…」


そう言ってアイテムボックスから、稼いだお金を入れた袋を取り出して見せつける。今となっては全部金貨にせずによかったと思ってる。量が多く感じるからな。


「え…」


「そ、そんな…!」


おぉ?意外といい反応だ。


「それなのに…お前ら酷いよ…ぐす」


少し泣き真似が拙かったかもしれないが、顔をうつ向けてさも泣いているように演技する。あわよくば、外出許可をいただきたい。


「っていうかなんで俺が外に出かけるだけでみんな怒るんだよ。今日訓練なかったじゃん。自由にしていい日だったじゃん。俺はお前らの奴隷じゃねぇぞ!」


そうだよ。なんで外出しただけでこんなに怒られなくちゃいけないんだっ!なんで外出しただけで丸焦げにならなくちゃいけないんだっ!?


「そ、それは…」


「たしかに…そうですね」


「僕たちが間違っていました…」


よし、今認めたな!自分が間違ってたと認めたな!?


「謝って!悪いことしてないのに攻撃してきたことを謝って!」


「こ、このっ、調子に乗って…!!」


「でも、言われてみると確かに僕たちの方が悪かった気が…」


そう言ってみんな固まって話し出した。耳をすますと、自分たちが悪かったという内容で、なんであんなに熱くなったんだろうという感じだ。


ティアが素直に謝りたくないと言い、フィアがちゃんと謝りなさい!とか言ってる。ティアが俺の方を見てきて目があったのだが、やはり申し訳なさそうな顔をしていた。


なんとなくドヤ顔で返してやったのが悪かったのか、顔を赤くしてやっぱり謝りたくないと駄々をこねだした。


「ソラ様、お茶です」


「ん?おお、ありがとうセレス」


今まで部屋の隅で待機していたセレスがお茶を持ってきてくれた。暇そうにしていたのがわかったんだろう。急に蚊帳の外にされる気持ちがわかるかい?


ちなみに身体に巻きついてる鎖はセレスにとってもらった。セレスが動いたな、と思ったら鎖が一斉に千切れた。スペックが高い。


「何があったのか知ってるの?」


「もちろんです」


「マジか」


スペックが高いなぁ。


「ちなみにどうやって知ったの?」


「秘密です」


おおう、なかなかに個性のあるメイドだ。


俺とセレスで話しながらお茶を飲んでいる時には、何故あんなことをしてしまったのかと言う話がフィア達の中で盛り上がっていた。


お茶美味しい。






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