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6話



ふぁて(さて)次にふぃふぃふぉうか(つぎに行こうか)


ティアにより、全身にダメージを負った俺は頰を腫らしながらも懸命にスキルの検証を行う。

ちなみにティアには後日しっかりとやり返しておく。心にそう決めた。....勿論武力以外で。


さて、気を取り直して『超鑑定』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

魔導


全ての魔法を統合したスキル。全ての魔法を行えることに加え、新たなる魔法を生み出すことも可能である。詠唱も破棄できる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ふぉお!」


チートだチート!完全にチートやん!


全ての魔法が使えるということは....回復魔法!


ふぃーる(ヒール)!」


身体が淡い緑色に包まれる。だんだんジンジンしていた痛みが引いていく。

これが回復魔法か。


「便利だ魔導」


だが、完全に痛みが引いた頃には軽い倦怠感が襲う。


「MP切れってやつか…?」


「MP?....魔力のことですか?」


「魔力って何だ?詳しく頼む」


「分かりました。魔力というのは世界に満ちている空気のようなものです。魔法を使ったりするのに必要で、あらゆる物の元になっています。場所によっては大地にさえ魔力が宿ったりする事もあるそうです。また、魔力が濃い場所では魔物が生まれやすいそうです。また、体内の魔力が少なくなったりすると気分が悪くはなり、魔力切れになると気絶してしまうみたいですね」


なるほど。魔力=MPと考えてよさそうだな。


「で、俺はその魔力値がIなんだけど」


「え、えと…」


「宝の持ち腐れね」


「うん…薄々そう思ってたさ……」


「ほ、ほら!成長補正もありますしまだ分かりませんって!」


「うう…ありがとうフィア」


優しいなフィアは。誰かさんとは大違いだ。


「うむ、成長補正とはその名の通りだな。普通の人が身体を鍛えるよりも早く成長できるスキルだ。過去の勇者は成長補正(超)を持ち、瞬く間に魔王を討伐したという」


「俺(中)なんだけど」


「う、うむ。それは…」


「私も持ってるしそこまで珍しくないわね」


「そ、そうか……」


雲行きがあやしい。俺、ちゃんと魔法使えるの?


「だ、大丈夫ですよソラさん!れ、練習すればもっと強くなれるはずです!」


「ヒール一回使っただけでふらふらになる俺が…?ふふふ、もういいさ。所詮俺は偽物なんだ…。ふふ、わかっていたさ。別にがっかりなんてしてないさ。ふふふ」


「へ、変なスイッチ入ってる…」


「ま、まだ聖剣召喚があるではないか!これは間違いなく凄まじいものだぞ!初代勇者が所持していたという伝説のスキルだ!」


そ、そうだよ!別に魔力なんかなくたって俺にはチートスキルがあるじゃないか!


「そうだな!まだ希望は捨てちゃいけない!うおおおお!聖剣召喚!」


手を掲げ、スキルを唱えた瞬間手のひらから凄まじい光が迸る。光はドンドンと大きくなっていき、部屋全体を明るくし、やがて目も開けられないほどになっていった。


そして、光がある程度収まり目が開けられるようになり地面には一本の輝く剣が突き刺さっていた。


「これが…聖剣!」


「す、凄いです!なんて神々しい…」


未だに聖剣が、輝き続けているせいでよく見えない。というか眩しい。早く収まってくれないかな。


「やっとちゃんと見られるようになってきたな」


刺さっていたのはツーハンドソード……いわゆる両手剣というやつだ。柄に美しい装飾がされており、それでいてゴテゴテし過ぎない。刀身が未だに薄っすら輝いているので神聖的な印象を受ける。


「よし…抜くぞ!」


みんなが固唾を呑む中で聖剣に近づいていく。


「ほっ!…あれ?ふん!よし、抜けた…おわっととと!……重い」


「「「………」」」


すごく重いです。

やっと抜けたと思っていたら剣が重過ぎてふらついてしまう。危ねえ!


三人が何とも言えない絶望的な表情をしている。チラッとセレスの方を見たら俯いて笑いを堪えていた。


「死にたい…」


「「「………」」」


誰も…何も言ってくれない………。


「威力を…確かめてみようか………」


テンションが最悪の中でこのままじっとしていても仕方がないので検証を続ける。


「あ、ああ。それならあの丸太に…いや、それでは聖剣の威力を確かめられないだろう。使えなくなった鎧を被せるのでそれを斬ってくれ」


「…わかった」


「……その、何というか頑張れ」


「おう…」


力なくそう答え、執事っぽい人が準備した的に向かって歩いていく。聖剣を引きずって……。


「聖剣を引きずる勇者……」


「初めて見たわ…」


外野がちょっとうるさい。今に見てろ!


「うおおおお!」


雄叫びをあげながら両手で聖剣を…振り回すの方が正しいだろうか?持ち上げずにバットみたいな感じで振り回す。……こんな勇者嫌だ。


振り回した聖剣が的にあたり砕け散る。……聖剣が。


「……は?」


パキィィン……


という音が聞こえ、何が起こったのか理解するのに数秒を要した。


「聖剣が…砕け散った……?」


いやいやいや…。

冗談だろ?聖剣だろ?聖なる剣が砕け散るとかあり得なくないか?折れるではなく、砕け散る…?


「もうやだ……何でこんなのが勇者なの……?」


ごもっともですがそれはこっちのセリフだよ!


ふざけんな!こんなのでどうやって魔王を倒せと!?瞬殺だよ!こっちがな!

そもそも満足に扱えない剣なんて寄越すんじゃねえよ!片手剣!片手剣をよこせ!


「聖剣召喚!」


ヤケになりもう一度召喚する。砕け散った剣が出てくるか、良くてもう一度同じものが出てくるかと思ったが予想を裏切った。いい意味で。


「片手剣?」


「さっきの両手剣ではなく?」


砕け散った聖剣を見てみると地面にカケラが落ちていた。消える訳では無いのか?…あ、ちょっとずつなくなっていってる。


召喚される剣はイメージしたものが出てくるのか?


「ふん!」


パキィィン……


もう一度叩きつける。壊れた。


次は短剣をイメージしながら使う。


「聖剣召喚!」


問題なく召喚できる。

召喚されたのは短剣だった。


「…収納」


ふと思いつきアイテムボックスに入れてみる。問題なく入った。


「聖剣召喚!」


更に召喚すると思った通り召喚できる。


「聖剣召喚!」


今度は片手剣を召喚する。


「おお、二刀流」


カッケー。でもすぐ砕け散るんだよなー。


「何をしてるの?」


「ん?聖剣を何度も召喚できるのかと思ってな。やってみたら出来た」


「それは凄いな」


「こんな聖剣嫌です……」


俺もだよ。


「けど、召喚するのもある程度魔力を消費するみたいだ」


さっきよりも多少気分が悪い。

まあ、魔力値Iの俺でさえ少しだけ気分が悪くなるだけなんだ。魔力消費は微々たるものだろう。


聖剣召喚は思ったよりも使えそうだ。


訓練場の隅で涙目になって笑いを堪えているセレスを見ながらそう思った。





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