54話
毎度言ってるセリフなんだろうけど、それでも言われた側としてはテンション上がる。なので早速依頼がまとめられてる掲示板に行く。
「俺たちのランクで行ける依頼は…薬草とかか」
「まっ、最初はこんなもんだろ。行こうぜ」
釘で留められている依頼書を取って受付に行き、ちゃんと行ってきますしてギルドを出る。
目的地は薬草が群生しているらしい森。簡単な地図をもらい、注意事項を聞いた。
たくさん生えてるからといって採取し尽くさないこと。繁殖力が高いので、ポツポツ残しておけばまた生えてくるとのこと。ごく稀にだが、森の奥からレベルの高い魔物が出て来るので念のため注意しろと言われた。
そしていざ出発…とはいかない。
「先ずは防具だな」
「えぇ〜早く行こうぜ」
「バカヤロウ。装備を揃えるのも冒険の醍醐味だろうが」
「なるほど。それもそうか。…なぁ金ってあんの?」
「貸してください!」
☆☆☆☆☆☆☆☆
現在俺のアイテムボックスにはリリアが貴族様からとった宝石を換金したお金がたんまりと入っている。
一応はいえリリアの金なので、頭を下げて貸していただいた、
そして防具屋は何処だと少し迷ったがギルドのすぐ近くに、ザ・防具屋といったような鎧のマークがある看板があったのでそこに入った。
「おう、ルーキーにはその辺の皮防具が人気だぜ」
髭もじゃのオッチャンが接客してくれた。
「なるべく動きやすいのがいいんですけど」
「ふーむ、それだと少し高くなるがこのライトアーマーなんてどうだ」
そういって出してきたのは鈍い黒色で、胸や腕、脛など動きの邪魔にならず、大事なところを守る鎧。機動性を重視しているのがよくわかる。
「キラーカブトっていうモンスターの殻を使った防具だ。普通の防具よりも圧倒的に軽いし、防御力も期待できるからオススメだぞ」
「じゃあそれで」
「一式全て揃えるとなると、金貨3枚と銀貨20枚だな」
「はい」
「おお、すぐに出して来るとはな。もしかしていいとこの坊ちゃんか?」
「違いますよ。おーいリリア、お前はどうする?」
「俺も同じのにする。ほらよ」
「まいどあり!」
早速今着ている服の上から装備する。少し大きいくらいか?
「今魔法をかけてサイズ調整するからな」
そう言うと鎧が光り、ちょうどいいサイズになった。
リリアも同じように魔法を施された。女性用の鎧ということで胸が膨らんでいたのだが、サイズ調整したことで男性用防具と同じようになってしまった。
うっ、睨まれた。
一応リリアの名誉の為に補足しておくが、あるにはあるんだ。ティアよりも豊かなそれが。けど、フィアや
リサに比べるとね。手のひらサイズのワンサイズ小さいくらいじゃないか?
「盾はどうする?」
「俺は要らない。リリアは」
「俺もいらん」
「そうか。また来いよ!」
そうして防具屋を出た。
☆☆☆☆☆☆☆☆
「次は武器だな」
「俺は持ってるけど、お前は確かにいるだろうな」
「そういえばお前試験の時ポンポン出してたじゃねぇか。一本くらいくれよ」
「別にいいけど、絶対ちゃんとしたの買っておいたほうがいいぞ。御守り程度に思っておいてくれ」
「あん?別に金に余裕があるからいいけどよぉ」
と言うわけで武器屋に。防具屋のすぐ隣で、看板にもデカデカと剣のマークがあるのですごくわかりやすい。
さぁて、武器屋探すぞ〜!と思ったらすぐ隣にあった。窓ガラス越しにオッチャンと目が合い、ニカッ!ってすごいいい笑顔で笑われた。
おっさんの笑顔なんて誰得だ…と思いながら入る。
「いらっしゃい!何をお探しで!?」
えらいテンション高いな。
「え、えと、短剣が欲しいんだけど。あるか?」
「もちろんです!これなんてどうでしょう!?」
そして出されたのはシンプルなナイフだ。だが刃が薄く、とても鋭い。よく切れそうだ。
「う〜ん…、他にも見せてくれ」
「そうですねぇ…。ならこれですかね」
次に出されたのはダガー。これもシンプルなデザインで、なんというか…値段通りの短剣。それでもよく切れそうだけども。
ナイフとは違いダガーは両刃なので少し気をつけないといけない。また、さっきのナイフに比べると少し大きい。
「……」
リリアは二、三度ダガーを素振りし、逆手に持ち替えたりしている。
「うん…。オッチャン、これくれ」
「まいどあり!」
お金を払って店を出た。




