51話
「ここか…」
俺は案内してもらい、なんか、こう、冒険者ギルドっぽいでかい建物の前にいる。扉は3メートルくらいあるかな?
いいね。こういうの。異世界来たー!って感じがする。そもそもさ、冒険者ギルドによらず、ワイバーンとかに会うのが違うと思うんだ。順序、大事にしてこう。
「おい、早く入ろうぜ」
「あっ、ちょっと待って」
すっかり忘れていた、というかいつ切り出せばいいかわかんなかったけど大事な話があるんだよね。
「お前名前なんていうの?」
「そういえば言ってなかったな。俺の名前はリリアだ。家名なんてねぇよ」
意外と可愛い名前じゃん。
「俺の名前はソラ・アカツキ。一応家名もあるし多分偉いはずだ。敬え」
「そんな怪しいヤツ敬うかよ。それより早く行こうぜっ!」
おい、一応勇者だから偉いはずなのだが。まあいいや。俺勇者ですって言ってないし。それよりも早く入りたい。
リリアが扉を開ける。
そして騒がしい声と臭い匂いが溢れ出す。
何人かがチラッとこちらを見るが、すぐに仲間と喋り出す。
「…………」
……あれ?…若い新人が来たんだけど。若い新人が女連れてギルドに来ましたよ?
…おかしい。何故絡まれないんだ?雑魚のチンピラが小物臭プンプンさせながら話しかけてこないのか?
「おう、ちょっとどいてくれや」
「あっ、すいません」
後ろから野太い声で話しかけられ、反射的に謝ってしまった。扉の目の前に立っているようで邪魔になってしまったようだ。
「ガハハ!礼儀正しい小僧じゃねぇか。頑張れよ」
「あっ、ハイ」
…優しい。普通に怒られてもおかしくなかったのに笑って許してくれた。しかも応援してくれた。
「おい、早くしろって」
「お、おう」
これが…現実か。なんというか怒られなくてよかったとか、思ったより優しそうで嬉しいとかそんな気持ちがわいたけど、テンプレ的なイベントが無くて少しだけ残念な気持ち…。
「ぼ、冒険者になりたい」
リリアが受付嬢に話しかける。少し目線を上げると、加入希望者窓口と書かれていた。
「はい、ではここに名前と希望する職業、可能であればスキルも記入してください。質問があればなんでもご質問ください」
そう言って紙とペンを渡してくれた。
「職業ってなんですか?」
「パーティーを組む際の参考にします。剣を扱う前衛なら剣士と記入したり、回復が得意な方は神官と記入してください。ただ、中級職以上はギルドの審査が必要です」
「すいません、初級職がわからないのでリストか何か見せてもらえないでしょうか」
「はい、どうぞ。すいません、読めますか?」
言いながら本を出しきた。準備がよろしいことで。
「大丈夫です」
ペラっとページをめくる。1ページ目から職業が書かれている。
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戦士
武器を装備して戦う前衛。
魔法使い
攻撃魔法を使う後衛。
神官
回復を得意とする後衛。
武闘家
素手で戦う前衛。
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ドラ○エとかでよくありそうな感じだな。
そして次に特殊な職業。
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盗賊
敵からものを盗んだり、隠密が得意なもの。
条件
スキル『隠密』を所持する。
ポーター
冒険者をサポートすることが役割。縁の下の力持ち。
条件
スキル『アイテムボックス』の所持。もしくはマジックバックの所有。
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特殊な職業はギルドの試験は要らないが、スキルを持っていないとダメらしい。
そして次のページからは中級職から上の職業がズラリと並んでいた。
「俺は…戦士なのかな?」
一応剣を扱うが、まだまだ下手っぴだし。うーん、アイテムボックスあるしポーターでいいか。
自分の名前を記入して職業欄にポーターと書く。スキル欄にはアイテムボックスと算術を書いておいた。
「リリアはもう決めたのか?」
チラッと見ると汗を垂らしながら本と睨めっこしていた。
「よ、読めねぇ」
「…最初からそういえばいいのに」
「くっ!」
なにやら悔しげなリリア。俺はやれやれといった顔をして、側による。心優しい俺は書いてある事を読んであげる。
「でぇ、コレがぁ、盗賊っていうんだよぉ?でぇ、なるにはスキルの隠密が居るんだってぇ!あっ!そういえばリリアちゃん持ってるぅ!やったぁ!なれるねぇ!」
「……すげぇ、こんなに純粋な殺意を持ったのは初めてだわ」
はっはっは!やっぱりこの喋り方はウケがいい。
「とまあお前なら盗賊が一番似合ってると思うが」
「…そうだな。そうする……、書いてくれ」
「ぷっ」
「ちぃ!」
おっと失礼。思わず笑いが。
スラスラ〜と書き、お姉さんに渡す。まぁでも、コレで俺も夢の冒険者か!
「では訓練所へ。テストを行います」
…うん、こんなガキをタダで入れてくれるわけないよね。
俺たちはお姉さんの後ろについてった。




