5話
「では、検証を始めるとしよう」
食事が終わった俺たちは訓練場にやってきた。今はもう夜で暗いはずだがとても明るい。見渡すと明るく光っている謎の物体があった。
「何アレ?」
「魔道具です。魔石に魔力を込める事で光を発します」
「へぇー」
「それでは検証を始めるとしよう」
魔石っていうのはやっぱり魔物から取れる核的なやつか?
というか魔力だけで動くってスゲーエコロジーだな。
「それにしても訓練場が場内にあるなんてな」
「王族も幼き頃から英才教育を受けます。もちろん戦闘の訓練も行うため、近くの方が楽なのでしょう」
「検証を始めるとしよう」
ということはティアとフィアも訓練を受けてるってことか?……ちょっとティアをからかったりするのは控えよう。
「水はけとか大丈夫なの?雨の日とか大変じゃない?」
「はい。天井が無いように見えますが透明な結界が張ってあります」
「なるほど。景色を損なわずもできてるのか」
「お父様の話を聞きなさいよ!」
「うるさいなー…今俺の知識欲を満たし…。いや、すいません僕が悪かったです」
ヤバイ。ティアが訓練を受けてると聞いた途端に怖くなってきた。
「わ、分かればいいのよ。セレスも止めてよね」
「申し訳ありません」
「よ、よい。では検証を……」
「あ、あのソラさん。私に聞いてくれてもいいですよ?」
「ん?わかった。機会があれば是非頼むよ」
ふふふ、フィアもまだ子供だし身につけた知識を自慢したいんだなきっと。
というか上目遣い超かわいい。
「け、検証を……」
☆☆☆☆☆☆☆☆
「では検証を始める」
「「「はい」」」
あれからマジギレされた国王様に怒鳴られ、今は三人仲良く正座をさせられている。ちなみにセレスは入り口で待機している。途中から会話に参加しなくなったと思ってたら一人で避難してやがった。俺も誘って欲しかった。
「とはいえ、確認できるものは数少ないがな」
まあ確かにな。成長補正なんてよくわからないし、状態異常無効を確かめるために毒を飲もうなんて思わない。俺はやりたくない。
「では順番に確かめていきましょう」
「じゃあ『アイテムボックス』か」
「だったらティアが教えるのがいいよね。持ってるのティアだけだし」
「えぇ…しょうがないわね。
アイテムボックスはたまに見るから分かり易いわね。何かを持って収納と念じてみなさい」
「わかった」
試しに地面に手をつき、砂を握る。
「収納」
手のひらにあった砂が消える。
「おお!!」
凄え!消えた!
「次にアイテムボックスの中にあるものを出すように念じるの。量も指定できるわ。ちなみに中に入ってるのは少し集中すれば分かるわ」
よし、出てこい!
念じた瞬間手のひらにさっき消えたはずの砂が出てくる。もう一度収納し、今度は半分出てくるように念じる。するとフィアの言った通り半分出てきた。
「あと、知ってる人は少ないのだけれど間接的に触れていれば遠くのものも収納できるわ」
そう言って地面に手をついたかと思うと、少し離れた位置にある石ころが消えた。そしてその石ころはティアの手のひらに出てきた。
なるほど。わかりやすい。
「ありがとうティア!お前教えるの上手いな!」
「え、ええ!当然よ!」
早速ポケットに入れていたスマホと転移する前に買っていたラノベ、財布をアイテムボックスに入れる。アイテムボックスに入れておけば盗まれる心配もないしな。
「よし次は……超鑑定か」
「鑑定は珍しいものではないが、超鑑定とは……聞いたことがない」
「超ってことは鑑定の上位交換だろ。鑑定はどうやって使うんだ?」
「これも念じるだけだったはずです」
「よし」
なら早速やってみよう。超鑑定。
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ソラ・アカツキ 人族
攻撃力:H-
守備力:H
知力:B+
敏捷:G-
魔力:I
スキル
アイテムボックスEX
魔導LV1
超鑑定
成長補正(中)
全言語理解
状態異常無効
聖剣召喚LV1
算術LV7
詐術LV5
称号
勇者
ステータスの全てが微上昇。スキル「成長補正」「聖剣召喚」を入手。
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「おお」
「どうだった?」
「おう、問題なくできたぞ」
「何を鑑定したんですか?」
「自分を鑑定してみた」
なんか自分を鑑定するって日本語としてちょっと面白い。
「何か変わったことは?」
「スキルのレベルがわかるようになってるのと、ステータスのさらに詳しいことがわかるようになってる。あと、称号についても詳しくわかるようになってる」
「便利ねそれ」
「まあそうだけどそんなに変わらんな。あっ、ちょっといいか」
一つ思いつき、もう一度自分を鑑定する。
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ソラ・アカツキ 人族
攻撃力:H-
守備力:H
知力:B+
敏捷:G-
魔力:I
スキル
アイテムボックスEX
魔導LV1
超鑑定
成長補正(中)
全言語理解
状態異常無効
聖剣召喚LV1
算術LV7
詐術LV5
称号
勇者
ステータスの全てが微上昇。スキル「成長補正」「聖剣召喚」を入手。
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同じ結果。
ここからもう一度、今度はスキルを鑑定。
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アイテムボックスEX
触れている物質を異空間に収納できる。重さは感じない。量は無限に入り、時間は経過しない。なお、生きているものは収納できない。
ごく稀に収納できない物質も存在する。
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と、思った通りスキルの鑑定結果が出た。鑑定結果は、みんなに見えるように念じると半透明のプレートになって大きく浮き出た。
「お、おお…!そんな使い方があったとは…」
「それにしてもアイテムボックスEXがすごいです…!」
「ん?普通のアイテムボックスは違うのか?」
「私のは無限に収納なんてできないし、時間も経過するわよ」
なるほど、だからこそEXか。
「というか超鑑定があるなら私って要らなかったんじゃ…?」
「何言ってんだよ。超鑑定じゃ使い方なんてわからなかったし、細かいことはわからなかっただろ?俺にはお前が必要だよ」
「な、ななな何を言ってるの!?」
ティアが妙に顔を真っ赤にしながら慌て始める。
「は?別に事実を言ったまでだぞ」
「ふふふ、それじゃあまるでプロポーズみたいですよ」
「娘はやらんぞお!!」
「プロポーズ?……ああ、別にそんな風に言ったわけじゃ」
「ティアが可愛くないのか貴様ァ!!」
なんか王様のキャラクターがぶれぶれなんだけど。
「おっさんうるせえ。やれやれ、仕方がない。俺の好みのタイプを教えてやろう。まず、顔は平均以上がいいな。次に、髪が長い方が好きだ。胸は別に大きくても小さくてもいい。どちらかと言えば歳下か同年代がいいな」
「へ、へぇー」
ん?ちょっと待てよ?
「ふふふ、ティアがそうなんじゃないんですか?可愛いし髪だって長いし。....ソラさんって何歳なんですか?」
「俺か?17だ」
「ティアって16歳だよね!ドンピシャじゃないですか!よかったねティア!」
「べ、別に嬉しくないし…」
「おいおい待てよ。確かにティアは可愛いし髪も長く、歳下だろう。ここまでは俺のタイプドンピシャだ」
「ウゥゥ…!」
「ティアったら照れてるの?」
「照れてない!」
「フシュウウウ…」
フィアがティアをからかい、国王がなんか『フシュウウウ』とか言ってる。ちょっと怖い。
「話を最後まで聞けよ!ゴホン、ここまでドンピシャだ。だがな、最後に性格が良くて優しくて俺を絶対に裏切らなというのがある。つまりここにティアは入らな痛い!ちょっ、やめろ痛いから!」
最後まで言い切る前に涙目になったティア叩かれる。
ちょっマジでやめろお前!グーでやったな!ポカポカとか可愛い音じゃなくてボカッ!とかだぞ!痛いから!
「ゴホン。つまり、そんな女は絶対に存在しない!」