4話
「なんちゃって勇者?」
「おう」
俺の発言に国王が首を傾げる。
「フィア達はなんとなく察しがついてると思うが、俺はなんの力も持たない一般人……のはずだ」
「はず……というのは?」
「俺自身は特になんの力も感じないが、こちらに呼び出された時に何かあったかもしれないだろう。
知ってるか?確率論に0は無いんだぜ....?」
「すいません。ドヤ顔がとても気持ち悪いのでやめていただけませんか」
「うん、もうちょっとオブラートに包もうか」
気持ち悪いとはなんだ気持ち悪いとは。
知らないのかよ、超かっこいいじゃんあのセリフ。
「ふむ、後でやってもらおうかと思っていたが話題に上がったのだ。やってしまおうか。
誰か!鑑定紙を持ってこい!」
王様が何か呼ぶとメイドがトレイの上に紙を乗せてやってきた。
「それは?」
「これは使用した者のステータスを写す魔法具である。これでお主の力があるかどうかわかる」
なるほど、よくあるやつね。
ま、あったらラッキー程度だと思っておこう。無駄に期待してなかった時の落胆は嫌いだ。
「どうやって使うんだ?」
「ハン!そんな事も知らないの?これだからーーー」
「セレス、教えてくれ」
「ちょっと無視しなーーー」
ティアが煩いが気にしない。もう大分慣れたもんだ。
「鑑定紙に触れながら『我が力を示せ、ステータス』と言ってください」
い、言いたくねえ…!
え、なに?これが普通なの?こんな厨二くさいのが!?
本当だろうな?セレスが嘘をついてるとかないよな?
「わ、我が力を示せ、ステータス…」
は、恥ずかしいぃ!やめて!僕を見ないでぇ!
俺の心情とは別に鑑定紙が輝き、文字が浮かび上がる。
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ソラ・アカツキ 人族
レベル1
力:H
耐久:H
知力:B
敏捷:G
魔力:I
スキル
アイテムボックスEX
超鑑定
魔導
成長補正
全言語理解
状態異常無効
聖剣召喚
算術
詐術
称号
勇者
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「は?」
え、いや、何これ?マジで何これ?チート?これってチート?……マジで?
ふ、ふふふ、ふはははははは!来たぞ!俺の時代が!これからは俺の時代じゃー!
「これは!?」
「す、すごいですソラさん!」
王様とフィアが驚いてるが俺はそれ以上に驚いてるぞ。
ふふふ、もっと俺を褒めてください。褒めて伸びる子です私は。
「ふん!スキルはまあまあみたいだけど基本ステータスがこれじゃあ使えないわね!」
そこに水を差すのがティアである。
「はっはっは!そう言っていられるのも今のうちだぞふわはははは!」
「ソラ様鬱陶しいです静かにして下さい」
「あっ、はい」
無表情で正論を言われすぐに謝ってしまう。くぅっ!
「まあこの事については後ほど落ち着いて話し合おうではないか。今は食事時である」
それもそうだが、一度上がったテンションはなかなか落ち着かない。思わず口元がニヤニヤしてしまう。
「ソラ様、その顔は少し人としてアレなのでやめて下さい」
「おっと、オブラートに包んだ結果より酷くなってますね」
今のはかなりのダメージだった。
ぐっ!効いたぜお前の拳!