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35話


「おはようございます!」


「あ、うん。おはよう…」


コウキがバカをやらかしてから3日目、毎朝俺の部屋に尋ねてくるようになった。正直うるさい。


部屋に戻ったらセレスが少し拗ねてた。耳を赤くしながらだったので少し笑ってしまった。フィアとティアがその時の事を話して機嫌を直していたが変にテンションが上がっていた俺は消え去りたいほどに恥ずかしかった。


「というか敬語なんていらないだろ…。同じ高2だろ?」


「えっ?ソラさん高2だったんですか?」


「ん?お前は違うのか?」


「僕たちは高1ですよ?」


あぁ、コイツら産まれるのが早かったのか。俺は逆に遅いので同い年だけど生まれた年は違うのか。


「道理で大人っぽいと思いましたよ」


「そうか?」


大人っぽいと言われて成長したのかなぁとか思うけど、最近の行動を思い返してもバカな事をやっていると思う。


「そういえば今日はどうしたんだよ…。いつもより一段と早いじゃないか……ふあ……」


いつも早いが今日は一段と早い。おかげでまだまだ眠い。


「それがですね!聞いて下さいよ!!」


「聞いてやるから音量下げろ…」


「す、すいません。でも!すごい事なんです!ソラさんも聞いたら飛び上がると思いますよ!」


「ハイハイなんだ?行ってみなさい」


大人の余裕というやつか…。子供が騒いでるようにしか見えないぜ…やれやれ。


「お米が見つかりそうなんです!」


「なに!?」


バカな……お米だと…?テンプレだとほとんど手に入らないけど途中で買い漁るパターンが多い…。けど俺転移してからあんまし時間経ってないぞ?せいぜい二、三ヶ月。中身が濃いせいで長く感じる。


でもそうか…米が食えるのか……。無くなって初めて気付く大事さを感じる……。日本にいるときは当然のように食ってたけど無くなってもう食べられないと分かると恋しくなる。


「いや待て、見つかりそう?」


「あ、はい。レシアに探してもらえるようにたのんでおいたんですけど、それっぽいのが見つかったらしいんです。聞いた話だと間違い無いと思うんですけど…」


「いつだ?いつ食える!?」


「お、落ち着いてください……。確か2日後くらいだと思います」


「お、おお…」


2日後が待ち遠しい………。


「楽しみにしてよう!」



☆☆☆☆☆☆☆☆



で、2日後。


「こ、コレが…あの……」


「ねえ、そんなに凄いものなの?この草」


「草だと!?お前コノヤロウ!俺たちの主食を草とはなんだ!?」


失礼だなお前!お米様に謝れ!


「でもねぇ…。これ調理法がわからないただの植物よ?」


調理法がわからない?この世界には無いのか?でも勇者が過去に来たことがあるんだろ?その勇者は日本ではなく外国から来てたのか?いや、そもそもそんなに昔なら米すら伝わっていない…?


「じゃあそれだけ安いんですか?」


「はい、でもあまりに売られていないので輸送とかにお金がかかっちゃいましたけど」


「すいません…」


雑草みたいな扱いなら安いんだろうと思ったけど違うみたいだな。需要と供給が釣り合ってないのか。


そういえば今更だが、ここに集まったのは勇者パーティーと王女たち。この前のメンバーだな。会合の時の。


「それじゃあ早速作ってみるか」


「そうですね。早く食べたいです!」


「でも炊飯器がない」


「そうだった…どうしよう……」


炊飯器がないのは現代っ子には辛い。だが!俺は諦めんぞ!


「みんな!諦めるんじゃない!勇者がすぐに諦めてどうする!己がスキルを駆使し、壁を乗り越えてこそ勇者じゃないのか!」


「あぁ…またソラが変なテンションになってる……」


「ティアちょっとうるさい。何も炊飯器がないと出来ないわけじゃないだろ!合宿とかでカレーとか作らなかったか?」


「あっ、そう言えばやりましたねぇ。でもなんか道具を使ってませんでしたっけ?」


「うん、なんか…こう……変なの」


「そう!その変なのを作ればいい!」


変なのがゲシュタルト崩壊しそうだな。


「空き缶でも代用できた」


「へーユイちゃんやったことあるの?」


「ない。本で見ただけ」


「勤勉だなぁ。で!空き缶を作れば問題は解決だ!」


「どうやってその…アキカン?を作るのよ」


「スキルを使うしかないだろ」


「でもあきかん?を作るスキルなんて聞いたことが無いですよ?」


あぁ当然だろう。持ってるとしても異世界人だし、異世界人がそんなスキルをもらうはずもないと思うし。


「俺に考えがある」


ニヤリとして答える。実はお米が食えると聞いた時から考えていたんだ。どうやって代用しようかと。要は箱を作ればいいんだろう?ならば!


「聖剣召喚!」


掲げた腕が輝く。レベルが上がってからは召喚される場所を自由にできるようになったので、ゴミがつかないように手のひらに召喚する。


そして出てきたのは小さな四角い棍棒のようなもの。剣という概念がよくわからなくなってくるが、剣の塚があればいいっぽい。その柄にもある程度自由が効くので、持ち手を工夫してっと……。


「よし、早速外で試してみよう」


「外でやるの?」


「雰囲気だよ雰囲気。あと火事とか心配だし」





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