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21話



「うおぉ…!帰ってきたぁぁ!」


城の中に入り、ようやく帰ってきたという気になる。ほんの数時間の間だったのにとても久しぶりに感じるのは、それだけ濃密な時間を過ごしたってことか。


けどその分疲れた。とてもとても疲れた。二度と行きたくないってほど疲れた。今すぐ風呂に入って歯を磨いて寝たい。ご飯はいらない。食欲がわかない。


「それじゃ今日は……あり、がとう。もう僕は寝るよ。それじゃ」


助けてくれたのは嬉しいかったけどそもそも、ああなったのは3人のせいで……。素直にお礼が言えなかった私だよ。


「わかりました。おやすみなさい」


「ゆっくり休むといい。明日は休みだからな」


「またね」


それぞれ返事が返ってくる。……ティアが最近優しいな。それだけ仲良くなったということか?…うん、ないな。絶対飴と鞭だ。


「じゃっ」


そう言って部屋へと向かう。先ずは風呂だな。早く汗を流したい…。



☆☆☆☆☆☆☆☆



「セレス。風呂入ってくる」


「わかりました。後ほど着替えを置いておきます。


「ありがとう」


さてと、風呂風呂〜♪



☆☆☆☆☆☆☆☆



「あ"あ〜〜」


思わずそんな声が出てしまう。

やっぱり風呂はいい…。この世界にも風呂があってよかったぁぁ。疲れが染み出して癒してくれるような…。俺はこの湯船に入るこの瞬間が一番好きだ…。ジーンとくるこの感覚……。最高だ。


ん?ガサゴソと音が聞こえる。セレスか…。着替えを持ってきてくれたんだろう。有難いんだけど、パンツとかを用意してもらうのは少し恥ずかしい。


なんて思っていると、ガラガラと扉が開いた。


「今日は疲れた〜」


さて、少し話をしよう。

俺が今入っている風呂だが、城の中のものを使わせていただいている。結構広めのものを。何を当たり前のことを思っているだろうが、この世界でもラノベにあるように風呂は貴族たちのような身分の者達しか持っていないとても贅沢なものだ。


「ふんふん〜♪」


水の確保が井戸、もしくは魔法が一般的で難しい。水はとても貴重な物なのだ。なので水をこんな風に使うのは単に娯楽なのである。生活魔法に身体を綺麗にする魔法があるので更に普及されていない。


王族といえど個人個人に風呂を用意するのは出来なかったようで、このように城の中に大きめの風呂を作ることになったらしい。


さて、長らくこんな話をした理由だが……


「おっ風呂おっ風呂♪」


誰か入ってきている。声が聞こえてくるのだ。それもとても上機嫌な。俺が半分くらいパニックになり風呂の話をしているまに、とうとう身体を流し終え湯船に浸かろうとしている。


「おっ風…ろ……」


あっ、目があった。

風呂に入って来ていた人物の正体…。それは……!!!


「よ、よう…ティア……」


そうティアだった。いつも少し不機嫌でツンツンしているあのティアだった。


まずいね…非常にまずい。今にも悲鳴を上げそうだ。ただ…俺悪くなくない?


「き、きゃむぐう!?」


「まあ待ちたまえティア君。変な行動をしてみろ、した瞬間……えーとそうだ!胸を揉む!」


「んむう!?」


悲鳴を上げた瞬間に手で口をふさぐ。さらに脅す!しかし、驚く速さを出した瞬間である。人間って危機的状況だと限界を超えるもんだと知った。…今はそんなことどうでもいい。


「先ず言いたいのは先に入っていたのは俺だ。そこにお前が入って来たんだ。つまり俺は悪くない。わかるか?」


「むぐ!」


ティアがもがく。


「さらに言えばだ。俺が一人でゆっくり使っているところにお前が入って来たんだぞ?つまり覗きと言えなくもない」


「む、むぐう!?」


驚いたような表情をし、さらに必死になってもがくが俺も必死だ。腕を掴んで離そうとするがもう片方の手でティアの両腕を掴み抵抗をさせなくする。まさか掴まれるとは思っていなかっただろう。だが俺から目を離し続けているので簡単だった。


「姫さまが勇者の覗きに来たと知れてみろ、騒ぎになってしまう。だからこの事は無かったことにしよう。

賛成なら右目を閉じろ、反対なら左目を」


「…っ!」


目をジッと見つめる。するとビクッとし……右目を閉じた。よかった。理解のある人間で。安心して手を離す。


「この変態!」


「ぶげらあ!?」


思いっきり頰を叩かれた。な、何故だ…?


「右目を閉じただろ…!」


「私から見て左目よ!」


な、なんてこったい…!


「ならば口止めをするしかないようだな…!」


「ふん!やれるものなら…ヘクチッ!」


…随分可愛らしいくしゃみだなおい。なんか萎えた…。


「取り敢えず入れよ」


「あ、あっち向いてて!」


「ん?ああ……」


言われて意識してしまう。真っ白な肌に形の良い胸。何というかほとんどないと思っていたけど以外とあった。大事なところは隠れているようでよかった。下は…と思ったところで正気に戻る。おかしい、興味がないと思っていたのに…。


「ほら、これでいいだろ?」


「ええ。へ、変なことしたらぶっ飛ばすわよ!」


「しねえって。それより慌ててたら滑るぞ」


「そんなヘマするわけがきゃあ!」


「だから言ったのに…」


悲鳴が聞こえ、滑ったのだと理解。慌てて振り返りこちら側に倒れていたので受け止める。ほおぉ、レベルアップのおかげだろうか?頭の回転が速い上に身体もよく動く。


「あ、ありがとう。…あんたの身体って意外とがっしりしてるのね……」


「そういうお前は柔らかいな。改めて女の子だと理解したよ」


「なっ!?ななななにを!」


皮肉に皮肉を返したつもりだったが……。


「いつまで抱きついてんのよ!」


「うわっぷ!?」


いきなり突き飛ばされる。慌ててどこかに掴まろうとするも、何かに掠っただけだった。


「ひゃっ!」


水しぶきでもかかったのだろうか。小さな声が上がる。


「あぶねー、溺れるかと思った」


文句の1つでも言ってやろうかと思ったが、ティアが胸を抱きしめ顔を真っ赤にしながらこちらを睨んでいる。


「……なに?」


「あ、あああ、あんた!今先っぽに……!」


「なんだよ一体?もうのぼせてきたから先に出るからな」


そう言って立ち上がる。


「おい、睨むのはいいんだがこっち見てると俺の俺たる俺が見えてしまう」


「?何を言って…っ!わ、わかったわ…」


理解したか。


さて、もう疲れたしさっさと寝ますかね。ドアを開けると今度は…


「「あ…」」


フィアとエンカウントした!



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