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20話



ガタガタと揺れる音がする。いや、音だけじゃないな…。身体も揺れている。けど…頭はなんだか柔らかいな。


「うぅん…?」


あれ……なんで俺は寝てるんだっけ……。


「っ!!?」


そうだった!魔物は!?


「きゃっ!」


慌てて頭を起こすと、なんだか可愛らしい声が聞こえた。落ち着いて周りを観ると、フィア、ティア、リサほ3人が心配そうに俺を見ていた。


どうやらここは馬車の中らしい。来るときに見た光景と一緒だ。時折大きく揺れるせいで身体のいろんなところを強く打っている筈だが……。


この揺れる馬車の中で頭だけが痛くなっていない。さらに位置を考えると……。


「ティア、お前膝枕してくれたのか?」


「し、してたわよ…。それが?」


なんでもない風に言ってるけど、顔が真っ赤だ。


「あーその、ありがとう」


何故…?どうして…?など疑問が上がって来るが、ティアのおかげで頭は無傷の上にとても気持ちの良い体験をさせてもらった。なのでお礼を言ったのだが、


「別に大しゅた事じゃにゃいわ」


「噛んだ」


「噛んでない!」


そんなに俺から礼を言われるのが意外だったのだろうか?とても慌てている。


「そ、ソラ!大丈夫なのか?」


「何が…ああぁ、そういえば倒れたんだっけ」


あの時はグロい物を見たせいだと思っていたけど今思えばそれだけで気を失うのはおかしい。


「ああ!きっとそれはレベルアップのせいだと思います!」


「レベルアップ?」


「はい!」


「レベルアップするだけで気を失うのはやばいんじゃ…」


「ああいや、普通ならそんな風になったりしないんだが極々稀にレベルが2つも3つも上がると身体が器の成長に耐えきれずに気を失うらしい」


「普通なら格上の相手を連続で倒すなんて事はあり得ないんだけどね」


言われて気がつく。あの倒れた聖剣のおかげでレベルが上がったのか。逆に風向きが向かい風だったら俺が死んでたな……。ん?あれ……?レベルが2つも3つも上がるって事は……。


「おい!お前らやっぱりバカだろ!?そんな魔物がいるところに放り込んでじゃねえよ!」


「何かあったら私たちが助けに行くわ」


「その通りだソラ!何かあったら私に任せろ!」


ヤダカッコいい…。けどこんなにも信用できないのは何故……?


「とりあえず自分のステータスを鑑定してみたら?」


「ああ、そっか。超鑑定」


ーーーーーーーーーーーーーー


ソラ・アカツキ 人族


レベル3

力:I

耐久:E+

知力:A+

敏捷:F-

魔力:I-


スキル

アイテムボックスEX

超鑑定

魔導LV3(UP!)

成長補正(中)

全言語理解

状態異常無効

聖剣召喚LV5(UP!)

算術LV7

詐術LV6

逃走LV5(UP!)

頑丈LV4


称号

勇者

ステータスの全てが微上昇。スキル「成長補正」「聖剣召喚」を入手。


耐え忍ぶ者

耐久値のアップに成長補正がつく。頑丈のスキルを入手。

日々苦痛に耐え続けたものに与えられる。


格上殺し(ジャイアントキラー)(NEW!)

自身よりステータスが上(格上)の相手に対してダメージが増加する。格上の相手を一回の戦闘で2体以上倒したものに与えられる称号


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


おお、新しい称号がついてる上にスキルが軒並み上がってる。逃走スキルはひたすら逃げてたからまだ分からなくもないけど、それ以外のスキルはあまり使ってないのに上がってる。


嬉しい誤算というやつだろうか。まあそれはいいとして、


「ステータスが下がってんだけど」


「それはレベル3の中でその評価というだけで、実際にはレベル1の時よりも強くなってますよ」


へー、それはいいね。ん?でも待てよ。ABCEFG、って事は知力以外平均以下っ…!まあ分かってたよ?自分がもやしって事はさっ。でもさ……成長補正スキルがある上でこの評価は割と胸に突き刺さるよ……。

しかも知力はあんまし上がってないし…!


「落ち込んでるみたいだけどレベルアップの恩恵はあんたが思ってるより凄いと思うわよ?前回鑑定した時からあまり時間が経っていないのにスキルのレベルが上がってるでしょ。それだけでもすごい事なのよ」


うーん?早めにスキルレベルが上がるからいまいち実感がわかない。器の成長というからこう…生命体として何か変わるのかと少し思ってたけど何も変わらないし…。


「ちなみにみんなのステータスってどれくらい?」


何気ない疑問。特に何か意識したわけでもない。

なのに何故か空気が固まる。


「い、言うわけないでしょ!」


「えぇぇ…なんか変なこと言った?」


「あ、ああそうでしたね……。その、ステータスを他人に見せる行為は自分の事を全てさらけ出すと言う事で……その、裸を見せるのと同じなんです」


「ええ!?わ、わるい!そうとは知らずに変なこと……ちょっと待って。じゃあ何か!?俺今までみんなから裸見られてたの!?」


「ば、バカ!変な事を言うな!同じと言っても実際に裸を見ているわけではない!御者に誤解されるだろう!」


「でも同じなんだろ!?うわ、恥ずかし!」


ちくしょう!知らないとはいえ何という屈辱!別に知らされた今でも価値観が違うせいかあまり感じないけど……例えるなら『社会の窓開いてますよ』と言われた時のような……。少し違うか。


「仕事の内よこんなの!しょうがないじゃない!」


「そりゃ……そうか」


なるほど…例えるなら老人介護みたいなもんか。……これもちょっと違うな。


「なら別にいいよ。実はそれほど恥ずかしくないし」


「そう言ってくれると助かります」


帰り道に衝撃の事実を知ってしまった。



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