18話
「はぁぁぁぁ……」
憂鬱だ…。ただただ憂鬱。
あの後、気づいてやってきた3人に有無を言わずに縛られて馬車に乗せられた。無表情で作業をするように手を動かしていた3人。あれは怖かった。
「はぁぁぁぁ………」
ふふふ、今日は風が騒がしいぜ全く…。
今俺は馬車に乗っている。メンバーは俺とフィアとティアにリサの3人。セレスはお留守番だ。
きっとコレから魔物を倒しに行くんだろう。なぜ僕がそんなことをしなければいけないんだ…。
「はぁぁぁぁ……………」
「さっきからうるさいわね…。こっちまで嫌な気持ちになるじゃない」
お、やっと話してくれたか。地味に話を聞いてくれないのは辛いし悲しかった。
「だって俺はまだ死にたくないんだよ!というか何で話を聞いてくれなかったんだよ!?」
「だ、だってあんたと話してるとどんどんこう、騙されるというか洗脳?じゃないけど話をそらされてうやむやにされる気がして……。だから話さなければいいんじゃないかって」
「なるほどな。それはお前たちがバカなだけだろ?」
「何ですって!…ねえステータスってちゃんと確認してる?」
そういえば最近してないな。少しは上がってるといいんだけど…。
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ソラ・アカツキ 人族
レベル1
力:F-
耐久:B+
知力:A
敏捷:F-
魔力:G+
スキル
アイテムボックスEX
超鑑定
魔導LV2(UP!)
成長補正(中)
全言語理解
状態異常無効
聖剣召喚LV4(UP!)
算術LV7
詐欺術LV6(UP!)
逃走LV2(NEW!)
頑丈LV4(NEW!)
称号
勇者
ステータスの全てが微上昇。スキル「成長補正」「聖剣召喚」を入手。
耐え忍ぶ者
耐久値のアップに成長補正がつく。頑丈のスキルを入手。
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新しいスキルが増えていた。
魔導のレベルが上がっていた。そういえば急にしっくり来てなかった魔法が自由に使えるようになった時があったな。多分その時だろ。
逃走は何回か逃げ出そうとしてたからだな。多分城にいるほどの兵士たちから逃げたりしてたから経験値も多くもらえたんだろう。…経験値というかシステムがあるかは知らないけど。
基礎ステータスも全体的に伸びてるようで安心した。けどさ……一ついいか?
耐久値!耐久値の上がりが普通じゃないよね!?一気にBまであがりましたよ!?スキルに頑丈までついてきたし!称号まであるよ!?どんだけだよ日頃の訓練!マジで!
「うわぁ……やっぱり上がってる……」
ステータスを見たティアが若干引き気味だ。そう思うなら普段の訓練を少なくして欲しいんだが、無理だろうな。
それとやっぱりって何だ。詐欺術か?そうですか。
「着いたぞ!」
「ん?意外と早いな」
もっと時間がかかるかと思ってた。せいぜい二、三時間くらいかな?まあ早くて助かったといえば助かったけど。お尻がすごく痛い。揺れがすごいんだもんな…。ただ、寿命が縮んだ。
周りを見ると後方にはかろうじて道とわかるような道があり、前方には深い森が見える。
「当たり前だろう。もっと遠くに行きたいのなら構わないが、王都から離れるにつれて魔物は強くなるぞ」
「ならもうちょっと戻ろうそうしよう。王都の城壁が見えるくらいまで戻ろう」
「そんな近くに魔物は居ない。ほとんど駆除されている」
それもそうか……。王都の近くに魔物なんかがいたら危ないしな…。
「ほら行くわよ。早くしなさい。私たちも暇じゃないのよ」
「ならこんな事しなければいいだろ?」
「国の方針なんだからしょうがないじゃない」
「別にお前じゃなくても、あーほら、兵士の……カシム!そうだカシムだよ!あいつでよかったんじゃないか?」
「万が一にも勇者を死なせたりしたら一大事よ。だから私たちが来たの」
「そうか、ならよろしく頼むよ」
「女に守られて恥ずかしくないの?」
「知ってるか?プライドじゃ飯は食えないらしいぞ」
「?当たり前でしょ?」
「………」
恥ずかしいぃ!ネタが通じなかった時の恥ずかしさ!
「ま、まあともかく!みんなよろしくおなしゃす!」
「「「任せ(ろ)(てください)(なさい)!」」」
頼もしい返事が返ってくる。うん、これなら安心だ!




