16話
「おはようございますソラさん」
お昼、今日の訓練は休みということでずっとゴロゴロしているとノックの音がしたので、開けてみるとフィアがおり、その後ろにティアとリサもいた。
「おはようフィア。どうしたんだよみんな揃って。まあ、とりあえず入る?立ち話もアレだし」
「えっ、あ、ありがとうございます…」
何故か慌てた様子のフィア。何か不都合でもあると言うのだろうか?
「し、失礼する!」
「お、おお邪魔するわ」
「なら帰れ」
「「何だと(ですって)!!」」
「は、はは…まあまあ」
「それにしてもなに慌てんの?」
「えと、殿方の部屋に入るのは初めてでして……」
「わ、私はあるわよ…?それくらい」
「その、私は何故か知らんが緊張しているのだ…!」
乙女か!…乙女か……。
「へー、まあ入れよ。何もないけど。セレス、お茶ちょうだい」
「かしこまりました」
「適当に座ってて、椅子足りないから」
こんなに来るなんて想定してなかったからな、椅子が三つしかない。俺とセレスのと、あとは友人用に一つだな。こんなことなら予備ちょうだいって頼んでおけばよかったかもしれないな。
何個足りないんだ?俺、セレス、フィア、ティア、リサか。
まあ俺と誰かがベットにでも座ればいいか。
おっ、お茶が来た。相変わらず早いな。魔法を使ってるらしいけど。
「ん?何で立ってんだよセレス。座れよ」
「いえ、私はメイドなので…」
「いやだから?ベットしか空いてないけど立ってるよりかはマシだろ?ほら」
「……失礼します」
そう言って隣に座るセレス。いつも椅子とかに座ってるじゃん。
「…メイドをそんな風に扱うなんて初めて見たわ」
「優しいんですね、ソラさんは」
「別に普通だろ。立ち続けるのは本当に辛いからな……」
忘れもしない卒業式。毎年毎年地獄だよな。何ヶ月も前から歌の練習をし、近くなって来ると式の練習。何時間も立ちっぱなしで……。倒れる奴なんて毎年いたからな。朝練も辛い。しかもその後に部活などがあるとね……死ぬ。
「むしろほかの奴らはどう扱ってんだよ?」
「そうね、普通は用があったら呼ぶくらいで座らせるなんてことはしないし、仲良く話すなんてありえないわ」
「私たちの間では貴族のところにつくと、その、夜伽を強制的にやらされると言われているが本当なのだろうか…?」
「残念ながらありえます。あまり聞かないですが稀にそう言う話を聞いたりします……。セレスさん美人ですからソラさん以外のところだとありえたかもしれませんが……本当に運が良かったですね!」
「だってさ、良かったな!俺のメイドで!」
「……そうですね」
「…そうでもない?割とショックだわ」
顔を背けられてよく見えない。チラッと見えても無表情なのでよく分からん!耳が若干赤くなってるので照れてるだけだと思うんだが……いや、きっとそうだ間違いない。
「それで今日来た理由なのですが…」
そういえばそうだったな。
何故か今日休みだったし、それと関係があるのかもしれないな。あーあ、休みだヒャッホウ!て思ってたのに……。また訓練の内容を増やすのだろうか?それは嫌だな。
「実践を学ばさせようととの意見が出て…あっ!!」
「嫌だね!…くっ!離せセレス!」
「それはできません」
逃げ出そうとした瞬間セレスに腕を掴まれる。そしてそのまま腕を背中に回され関節技を決められてしまう。
「 痛つつつ!」
「でかしたわ!そのまま捕まえてて!ロープか何か持ってくる!」
おい、ロープで何をするつもりだ。
「くっ、やるなセレス!」
だがな!俺は諦めない!
「ショックボルト!」
「ひゃん!?」
電撃(大きめの静電気くらいの)をくらい、緩んだところを脱出。
「あ!また逃げるぞ!」
「ええ!?で、出口を抑えて!念のため窓も!」
クソ!2回目とあって対応が早い!ていうかここ三階だぞ、窓から降りられるわけが……行けるか?
「も、申し訳ありません!」
「別にいいわ!こいつは何をするか全くわからないもの!姉さん!ソラを捕まえて!」
ちっ!部屋の出口を全て防がれてしまった。しかもだんだんと距離を詰められる!出口はティアとリサの2人で、窓はセレスが守っている。
「隙ありです!」
「ちょっ!?うわ!」
目を離した隙にフィアが首に手を回しながら掴みかかって来た。二、三歩よろめきベットに倒れ込んでしまう。
「今よ!全員で身体を抑えて!」
「しまっ!うおあ!!?」
手足を掴まれ、身動きができない。俺の…負けか。
「やっと捕まえましたよ!」
そう言いながら俺の胸の上にまたがっているフィアだが…何というか、美少女たちに手足を掴まれながら股がられているのはちょっとアレじゃないか?
「大丈夫ですか!?何やら騒がしいようですが!……し、失礼しました!」
「「「???」」」
きっと暴れていて騒がしかったので心配というか問題が起こったかと思い来てくれたんだろう見回りの兵士。しかし、この状況を見たら二、三秒くらい固まった後でどこかにいってしまった。
それを見て訳がわからないといった感じの3人。まだ気づかないのか?
「「「!!っ!!?!?」」」
あっ、今気がついたなこいつら。顔を真っ赤にしている。




