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14話



「ああー今日も訓練かぁぁ。メンドクセー……」


あの事件があったのち、1週間に一度の休暇を設けることになったが基本は今までとは一緒だ。みんなの態度もほとんど変わらない。というか最近は『寝言は本当だけど、そこまで考えて居なかったんじゃ…?』なんて思われ始めている。……態度は変わらないんだし良しとしよう、うん。


「こんちわー」


「む!来たか!…ご、ゴホン!遅いぞソラ!早く来い!」


俺の顔を見て一瞬嬉しそうな顔をしたかと思うと文句を垂れ始める。


「………」


俺は何も言わずに歩みを遅くする。少しでも!少しでも訓練の時間を減らすんだ…!


「早くしろ!」


「ちょっと筋肉痛が…」


「昨日は休みだっただろう」


「ちっ、脳筋のくせに昨日のことを記憶していたとはな。ほんの少しだけ甘く見ていたか…」


「貴様は普段私を何だと思ってるんだ?」


「顔は良くてスタイルも抜群で、才能もあるが努力もしている脳筋」


「そっ!そそんなに褒めても嬉しくないぞ!」


「くっ...!」


自分に都合のいいことだけ聞きやがって....!

脳筋というだけで全てを台無しにしてしまう。例えるなら、1352+84573に×0をしてしまうようなものだろう。我ながらわかりやすいと思う。


「さて、話も終わりにして身体を動かそう!」


くそ、現在進行形で訓練時間が減らされていたというのに…!そんなに鍛えるのが好きかこの脳筋は。


「行くぞ!」


「来んな!ちょっ!ぐえっ」



☆☆☆☆☆☆☆☆



「こんにちはソラさん」


「こんちは。痛つつ…」


あのバカ手加減ていうものを知らんのか!ヒールする回数にも限りがあるんだぞ!


「大丈夫ですか?」


「いんや、大丈夫じゃない」


「ハイヒール!」


フィアがヒールの上位版であるハイヒールをかけてくれる。身体から痛みが抜けていき、何だか軽くなった気がしてくる。


「おお、ありがとう。すっかり良くなった」


「いえいえ」


全身に回復魔法をかけるとなるとかなりの魔力(MP)を消費するはずだが…。バケモンかね。


「あ、そうだ、セレスにお茶を貰ったんだよ。アイテムボックスに入れてあるからお茶でもしようぜ。

なっ?」


「それは良いですね!ありがとうございます、なら、お茶を飲みながら魔法の勉強をしましょう」


「そ、そうだな」


くっ!作戦失敗か…!

お茶を飲みながらお話を…。あっ!もうこんな時間!…の流れを作ろうと思ってたのに!


最近俺はフィアのことを魔法オタクでシスコンだと思い始めている。


「なので、これはこことーーー」


「ああ、なるほど〜。そんな関係性があったのか」


とはいえ、フィアの授業はとてもわかりやすい。


ちなみに魔法の訓練は三分のにが勉強、残りが実践という形になっている。剣の訓練よか魔法の方が好きだ。痛くないし。




一度集中すると時間はあっという間に過ぎていく。


「あっ、もうこんな時間ですか」


「ん?あ、ほんとだ」


見ると時間を最後まで使ってしまった。実践をする時間がない。時間を伸ばそうにもフィアが忙しいらしい。フィアは王族なので仕事とかいろいろあるんだろう。


「ほんじゃ今日もありがとう。また」


「はい、また……」


じゃあ部屋でゴロゴロするか、と思っていると袖を引っ張られる。机に引っかかった時とは少し違うような感じだ。振り返るとフィアが俺の袖をぎゅっと握っていた。


え、なに?ドユコト?


「もう…いなくならないで下さいね……?」


袖を握りながら目をウルウルさせて上目遣いで言われては断ることは不可能に近い。


「ハハ、できる限り善処するように努力できるよう頑張るよ」


「むぅ〜」


かわゆいのぅ。フィアの拗ねた顔を見ると、何だか妹を思い出す。ついつい同じ感覚で頭を撫でてしまう。


「ふあ!?」


「あ!わ、わるい!」


慌てて謝る。


こういうのは(ただしイケメンに限る)というカッコがつくもので、彼氏orイケメン以外がやるとセクハラになってしまう。


今回は相手が王女様なので俺の首がとびかねない。


「い、いえ!驚いただけですから別に!」


「そ、そうか。悪かったよ、それじゃ今度こそ戻るわ、またな」


「あ、はい。……(もう一回してもらえるかなぁ)」


今回はフィアが優しかったら良いものの、ティアかリサにやったら多分即座に首がとぶ。癖になってしまってるのかもしれない。気をつけよう。





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