13話
「何故…こんな事をした……?」
俺は今、城の一室で尋問を受けている。
「言え!」
「………」
とは言っても城の中に造られたものなので牢屋みたいな感じではなく、清潔で豪華だ。
尋問をしているのはリサを中心として、フィア、ティア、ついでにセレスもいる。リサとティアは完全に怒っていて、フィアは心配そうにこちらを見ておりオロオロしている。セレスは無表情だが、どこか寂しげな表情だ。無表情と言っておいてあれだが。
「もう一度言う、何故こんな事をした?」
セレス以外の3人は『何で?』と心の底から思っている様子だ。セレスは何故だか、『ああ、とうとうか…』
みたいな感じだ。……なんで?
「何故…だと?」
「ああそうだ!」
「なら教えてやる!俺はもう疲れたんだよ!」
俺は事世界に来て我慢し続けていた事を爆発させる。
「いきなりこの世界に連れてこられて!魔王を倒してくれ?知るか!!そんなの自分らでやれよ!俺の知った事じゃない!訳も分からないまま過酷な訓練をさせられて!毎日毎日ボロボロになるまでやらされて!最近じゃ自由も何もなくなって来て!
……
俺はもう疲れたんだよう。動きたくなーい働きたくなーい!ずっとずっと遊んで異世界を謳歌したーい!」
子供のように不満を言って拗ねる。
「本当にそれだけですか…?」
セレスが訪ねてくる。
「そうだよ!悪かったな!俺はダメ人間だよ!」
「あなたがダメ人間なのは心の底から認めます」
み、認めるんだ…。せめて少しは否定して欲しかった……。
「ですが…本当は家族や友人に会いたかったのではないですか?」
……。
「脱走したのも…何か手がかりを探しに行こうとしたのでは?」
…………。
「ハハ、よく分かったな。そうだよ」
言えなかった。
「何者だよお前は全く…」
「メイドです」
俺には言えなかった。
「それにしてもよく分かったな。何で?」
「……ソラ様はいつも寝言で城に居ない者の名前を言っておりました。名前もこちらのものではないですし、そう思っておりました」
「そうだったんですか…」
「う、うむ…。私は考えてみればお前のことをちゃんと考えてなかったのだな……」
本気で落ち込む2人を見て…
「そ、ソラ…その、ごめんなさい。私は今まであなたに強く当たってしまってたわ…。一番辛いのは貴方なのに……」
いつもとは違い、優しくなるティアを見て……
「いや、良いさ。何も言わなかった俺が悪いんだし、脱走しようとしたのだって少しはみんなに相談すればよかったんだしさ……。どうかこれからも同じように接してくれ」
「「「「ソラ(さん)(様)………」
脱走したのはエルフ耳や獣耳を見て、触って見たかったなんて……とても言えなかった…………。




