8話 メダル交換
僕は祭壇の凹みにメダルを置く。すると僕の目の前に半透明な画面が出てきた。おそらく交換出来るリストなのだろう。
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メダル交換
王の自室 (現世の技術がある部屋)
必要メダル: メダル【今日から王様】×1
天使召喚書 (天使《戦闘種》との契約ができる召喚書)
必要メダル: いづれかのメダル×1
進化の精魂 (自分以外全ての者及び物を進化させるエネルギー体)
必要メダル: いづれかのメダル×1
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癒憩の大樹 (大樹周辺数十km以内の全ての者の病死、戦死率を大幅に下げる魔樹)
必要メダル:いづれかのメダル×40
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交換出来る物はたくさんあった。なかでもメダル必要数が一番多かったのが癒憩の大樹だった。このアイテムは結構欲しい。僕の国にあると国民の寿命が伸びそうだ。でも僕はもう交換したいものは決まっていた。
「ノーデンス、決まったよ」
「何にするの?」
「取り敢えず自室をくれ」
まぁ、迷う必要は初めから無かったな。用は元の世界の物が揃った僕だけの部屋なのだろう。手持ちのメダル一枚で交換出来るとは良心的この上ない。勿論即決。
「でしょうね。分かったわ、手配しとく。門潜るまでには終わってるわ」
「おお、サンキュー」
「あ、あと部屋にある冷蔵庫はキミの所持金を入れれば何でも出てくるからたまには私に献上しなさいよ?」
「え?金かかんの?」
「当たり前よ。でもキミ、所持金容量限界まであるでしょ?他の物も似たようなものだから」
「つまり、部屋の電化製品の電気代や食べ物代はほぼ無限にある所持金を使うと。了解。なんか適当に食べ物持って明日意味なく来させてもらうよ」
「待ってるわ、多少のご褒美なら期待しててね」
「分かった。期待し過ぎずに期待しとくわ」
僕はそう言い残し、行きと同じように門を潜る。またも、異次元空間は無く潜ると直ぐに城の地下だった。
「ただいま、ミラ」
「そして42人の子供達とルクス様に囲まれて最期を迎えたいんです。皆は私の死を泣いてくれていますが、私は皆の優しい心が嬉しくて笑ってるんです」
僕が門の前に立っているミラに話かけるとミラはまだ独り言中。しかも子供増えてるし。
「あの、ミラさん?」
「そして最期の時が来たら私は皆に『ありがとう、愛してる』って言うんです。そして私が目を閉じる時に最期は皆で笑って『行ってらっしゃい』って言ってもらってあの世に行くんです」
ミラは語り終えて余韻に浸っている。話しかけても良いのだろうか?そう思っていると
「すみません長くなりました。では行きましょうか」
「あぁ、ミラ?もう、終わったよ?」
「え?え?」
ミラは心底驚いているようだ。いや、だって話長かったんだもん。軽く2時間位は向こうに居たのにまだ話してたし。行って正解だったよな?
「取り敢えず僕は自室に戻るよ」
「え?あ、は、はい。ご案内します...あのうお役にたてずすみません」
「許さない」
「すみません!!」
僕が半ば拗ねたように突き放すとミラはその場で土下座する。
「ミラには僕より早く死なせない。それに行ってらっしゃいは何か変」
「る、ルクス様ぁぁ。私はルクス様の為ならこの命──」
ミラが感情を爆発させる。そして僕がされたくない事を言いそうだったので手で制す。
「それが駄目なの。分かる?僕を甘やかすのはいい事をだけど、僕の為に命を落とすのは愚行。そ、それじゃ部屋まで送って」
僕が羞恥心で潰れそうになりつつ、案内を再開させると。ミラは震えていた。そしてニヤニヤしながら無言で返事もせずに僕を部屋まで案内した。