3話 僕はほぼ最強
『武器を装備した為戦闘に参加します』
僕の頭に機械的な声が流れる。
私服に剣という傍から見るとなんともチグハグな格好だ。
「キサマ!!いつまで待たせるのだ!!さっさとしやがれ!!クズが!!」
剣男に怒鳴られ、驚いた僕は声の方へと振り向く。すると僕の目の前に画面の様な物が現れる。
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敵情報
スラスト王国騎士
種族:人間 職業:騎士 戦闘職:剣騎士
装備:鉄のロングソード、鉄の鎧一式
鉄のロングソード=物理攻撃力+3 回避率-2
鉄の鎧一式=物理防御力+8 回避率-5
LV.6/20
HP:11 物理攻撃力:8(+3) 物理防御力:4(+8) 魔法攻撃力:0 魔法防御力:2 命中率:2 回避率:10(-7) 必殺発動率:2 移動可能距離:5~6m
スキル
闘魂
攻撃が命中すると物理攻撃力が1ターン上昇(10%)する。発動形式『パッシブ』
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「情報の表示までゲームと一緒だとは」
僕は敵のレベルの低さに安堵して、一旦呼吸を整える。内心では攻撃が外れたり無意味だったらどうしよう等とずっと不安なのだが、安心感も少しあった。何故なら
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自身情報
イグラスニア王国国王(ルクス)
種族:人間 職業:国王 戦闘職:無双王
装備:THE・ラストキー+200、ポリエステルの服上下
THE・ラストキー=物、魔攻撃力+45000 物、魔防御力+20000 命中率+3000 回避率+3000 必殺発動率+10000 スキル データ量が膨大な為簡易ステータスでは表示不可
ポリエステルの服上下=物理防御力+1 回避率-1
LV.76066/????
HP:4356021 物理攻撃力:978360 物理防御力:880950 魔法攻撃力:1207563 魔法防御力:1199999 命中率:612315 回避率:63800 必殺発動率:207056 移動可能距離:20km
スキル
データ量が膨大な為簡易ステータスでは表示不可
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「このゲームでの僕はほぼ最強」
敵と比べると僕のステータスでは負ける気はしなかった。そしてこのゲームでは敵と自分で交代で攻撃しあう。自分のターンじゃなくても攻撃を仕掛けられた場合、敵の攻撃の後に攻撃できる。つまりさっき攻撃を受けて避けた僕は、目の前の剣男に攻撃出来る。僕は不思議とワクワクしていた。
「待たせたな、攻撃すりゃいんだろ?後悔すんなよ」
「フッ、笑わせる。見た目素人で鎧も着ずに、ひょろひょろの剣を持った優男に何が出来る?いいから攻撃して来い。皆も動けずに待っている」
僕の挑発に剣男は鼻で笑い、馬鹿にするように煽り返して来た。それならば手加減はいらないようだな。
僕は剣を剣男の顔面に叩きつけた。
「っっ──」
さっきまで威勢のよかった剣男の顔面は豆腐の様にスパッと切れて、体もトマトを潰した時の様に爆散し辺りに大量の血が飛び散る。
「おうぇっ」
人間の破裂を生で見て嘔吐感に襲われる。しかし、転移の影響だろうか?人を殺した事への罪悪感は感じられない。
「...ハァ、ハァ、ハァ...取り敢えず落ち着いた」
嘔吐感も取り敢えず一区切りして、落ち着かせる。すると
「...ルクス様だ」
「え?ルクス様?」
「ルクス様だぁぁ!!」
「ルクス様ぁぁ!!」
約半分の騎士達が騒ぎ始める。それに続くように
「何?ルクスだと!!」
「人間を一撃で爆散させたんだ!!間違い無い!!」
「絶望だ!!聞いてないぞ!!無双王ルクスが出陣していたとは!!」
残りの半分は絶望したように項垂れていた。
「ルクスって僕の事だよな?」
ルクスは僕がゲームで使っていた名前だ。ランキングでも上位を取っていたからそれなりに名は知られている。だけどこれはゲームの中だろ?って事は僕は今国王だよな?簡易ステータスでもそう書かれてたし。
「今は取り敢えずこの場を治めないとな」
僕は一人一人のステータスを確認する。おそらく敵はさっきの剣男の簡易ステータスにもあったスラスト王国、そして味方は僕の簡易ステータスで表示されていたイグラスニア王国。そして敵のスラスト王国の騎士は280人、味方のイグラスニア王国の騎士はたった116人だった。多分ゲームのままのルールなら敵の280人を倒すとクエストクリアなのだろう。
『アナタのターンです。行動を開始して下さい。残り移動可能距離 20km』
「よしっ。行動開始だ」