一章 第四話・俺と女神と新魔王
ここまでのあらすじ
死んで転生して刀もらったら魔王が一撃で死んだ。
「え?」
俺はそう呟かざるをえなかった。
魔王が一撃で逝ったのだ。そりゃ語彙力も消失してしまう。
「魔王が... 死んだ...?」
マリナも意想外の事に言葉を失っている。
俺たちが絶句していると夜なのに、急に周りが明るくなってきた。そしてどんどん明るさを増し、眩しいくらいの光が俺たちを照らしていた。
それでもまだ呆然としていると、刀の魂さんから命令が飛んできた。
(マスター。一歩右に動いてください)
言われた通りに動くと
「ドスン」
とさっきまで俺がいた位置に何かが降ってきた。
よく見るとそれは『幼女』だった。
予想外の事象と続けて、また訳の分からないことが起きた。
するとその幼女が顔を地面に埋めたまま叫んだ。
「何をしている!早く妾を引っ張り出さぬか!」
何を言われたのか理解するのさえ時間がかかるほど俺は混乱していたが、なんとかその幼女を地面から引っこぬくことに成功した。
「遅い!何故早く妾を助けなかった!」
何故か幼女に怒鳴られる俺。
そこでマリナが割り込んできた。
「この光... あなた、いやあなた様はもしや...」
「そうだ。妾は女神エリウである!」
エリウといえば戦いと豊穣の女神であり、太陽神としての力も持っていたとされる三相女神の一柱だ。
つまりこの光もこの幼女神の力なのだろう。しかし女神が何の用なのだろう。
「貴様が魔王を倒した勇者とやらか。」
マリナの方を向いていたエリウが、俺の方を向いた。
「は、はい俺が魔王を倒しました。」
何か褒美でも貰えるのかと思い、ウキウキしながら答えた。
が、現実はそう甘くはなかった。
「なんてことをしでかしてくれたのだ」
何故か怒られた。
「魔王がいなくなってしまったら、この世界から大きな争いがなくなって、戦いの女神である妾への信仰が少なくなってしまうではないか!」
まさかの超理不尽女神だった。
そこにマリナが反論した。
「しかし女神様!平和な世界の方が人間たちは発達し、増えていくと思うのですが!」
確かにそうだ。信仰する人々を増やしたいなら平和なほうがいいに決まっている。
「わかっとらんなぁ。平和が続けば続くほど、戦いの女神を信仰する必要はなくなる。そうなったら他の神を信仰するようになり、妾以外の神が強くなっていまうではないか!それに妾は殺戮が見たい。下等生物同士の潰しあいほど面白いものはない。信仰も手に入り、面白いものも見れるなど一石二鳥ではないか。」
さすがの俺もイラっときた。
神だからといって命を玩具のように扱っていいはずがない!
しかしそんな俺の気持ちはつゆ知らず、女神はありえないようなことを言い出した。
「というわけで魔王を倒した責任として貴様が魔王になれ。」
To Be Continued...
前回長かったのでちょっと短めです。
あとユニーク(読んでくださっている人)が1000超えました。ありがとうございます。