一章 第一話 街と魔物と刀の世界
ほ ん へ
「おいおいちょっと待てよ」
意味のわからない俺は取り敢えず説明を求めて女の子を呼び止めた。
「何?わたしも忙しいのよ?あなたのような虫螻に構ってる時間はあまりないの。」
虫螻呼ばわりされてちょっと傷つく俺。
「聞きたいことはいろいろあるが、まずここはどこだ?」
「ここは北の街アスガルドより少し東のただの平原よ。そんなことより早く行くわよ。」
「俺が聞きたいのは位置情報じゃなくてこの世界が何なのかだ‼︎俺はさっき死んだんじゃないのか?そうなるとここは天国だよな?」
「はいはい。あとから説明があるからついてきなさい。」
女の子の達観したような喋り方もむかついたが、今はついていくしかなさそうなのでそうすることにした。
街に近づくにつれて俺は不審なことに気がついた。
「あの門のところなんか赤いのついてないか?」
「え?...あっ(察し)」
真っ青になる女の子の顔
「やばいわ!急ぐわよ‼︎」
急に走り出す女の子。もちろん俺も走って追いかける。
門に着くと赤いものの正体が分かった。というかそんな気はしていたし読者の皆さんももうわかっていると思うが、ついているものは血だった。
何故自分がこんなに冷静なのかはわからないが、とにかく走っていく女の子の後ろを追いかけていった。
街の中は酷いことになっていた。
そこらじゅうに血がついていて、流石に吐き気がした。嘔吐を堪えていると女の子を見失ってしまった。
すると遠くから複数の犬の鳴き声と何かを斬るような音がした。
音が出るごとに犬の声が少なくなっていく。俺は音の方向へ走り出した。走っている間も犬の声は少なくなっていき、ついにどちらの音も聞こえなくなった。
どこにいけばいいのか迷っていると
「何をしているの?遅いわよ」
と女の子が後ろから喋りかけてきた。
やっと追いついたと思い、後ろを振り向くとそこには血みどろの女の子がいた。
また吐きかけた。
「このくらいで気分が悪くなってたらこの世界じゃ生きていけないわよ?」
よく見ると女の子は、血で紅く染まった刀を持っていた。さっきの斬るような音の発生源は、この女の子だったようだ。
「今のうちに説明をと思ったけどその暇もないようね」
女の子が向いた方向を見ると、犬のゾンビのような生物がこっちに走ってきていた。
俺は物陰に隠れたが、女の子に引っ張り出され、黒い刀を渡された。
「あんたも戦うのよ‼︎」
「何で俺が?というかあれは何だよ‼︎」
「あれは人類を脅かす異形の存在。つまり魔物よ。あれと戦うためにあなたはこの世界に連れてこられたの。」
「どうして俺なんだ?」
「あなたが元いた世界で『英雄的行動』をして死んだ人がこの世界に連れてこられるの。あなたは友達を守るために、自分の命を犠牲にしてまで強盗を気絶させたからこの世界に来たのよ。」
話していると犬の魔物が間近に迫っていた。
「話はあとで。来るわよ‼︎」
To Be Continued...
このあとのバトルまで入れるつもりでしたが、ここで切ったほうが面白そうだったのでバトルは次回です。