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精霊斧士 ~流浪の冒険者~  作者: シャイニング武田
九章 彷徨うアックスバトラー
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二百四十九話 燃え上がる復讐の炎

 ルクリラより南東の荒野。

そこは何もなく、ただ赤茶色の地面が広がっている場所である。

荒野地帯のどこにでも見られる殺風景な場所だが、今はそうとも言えない。


「うおおっ! 」


「でりゃぁぁぁ! 」


二人の翼を持つ魔族が、地上に向かって降下する。

降下する速度は凄まじく、激突されたらひとたまりもないだろう。

そんな彼らが降下する先には、一人の男性が立っている。

彼は、魔族達が自分に向かってくるにも関わらず、一本の柄の長いを両手に構えたまま動かない。

結局、二人の魔族が目の前に接近するまで、彼は動くことはなかった。


「はっ! 」


言い方を変えて言えば、彼ーーロシは、自分の目の前まで接近したところで動き出した。

ロシは、接近してきた魔族達に目掛けて、手にしたメルガフロラクタを横に振り回した。

すると、一人の魔族は頭を切り裂かれ、もう一体の魔族は腹を切り裂かれる。


「あああっ!? 」


切り裂かれた傷口から血を吹き出すと同時に、彼らは悲痛な悲鳴を上げた。

その悲鳴を最後に、彼らは死体となって荒野に横たわる。


「ふぅ、疲れました。これだけやっても、まだ続けるつもりですか? 」


ロシはメルガフロラクタを構え直すと、空に向かってそう言った。


「ぐ……こいつら…」


彼の視線の先には、空を舞う魔族が複数おりーー


「偵察兵とはいえ、たった一人で我々魔族を圧倒するなど……」


その魔族が見つめる先には、多くの魔族の死体が転がっていた。

ロシによって倒された魔族は、先程の二人だけではない。

ロシと魔族達との戦いは、数十分前から始まっており、それまでに十人以上の魔族をロシは倒しているのだ。


「……そろそろマコさんの出番では? 」


「ん? ああ、数が減ってるッスね。これならいけるッス」


のんびりとロシの戦いを見ていたマコリアは、左手に持ったトライアンダッグを掲げると、右手のエストックビーダーで叩き始めた。


キーン! キーン!


エストックビーダーに叩かれ、トライアンダッグから金属音が発せられる。


「うっ……こ、これは!? 」


「体が…」


その金属音を耳にした魔族達は、次々と地面に降り立っていく。

地面に降りた魔族達は、まともに立てないのか、皆跪いたような姿勢になる。


「ヒヒヒ、無情な旋律ッスよ~」


マコリアが怪しく笑う中、ロシが一人の魔族に近づきーー


「あまり言いたくない言葉ですが、死にたくはないですよね? 」


その首元にメルガフロラクタの刃をあてがう。


「くっ……我々から情報を引き出そうというのか! 」


魔族は悔しげに顔を歪ませながら、ロシを睨み付ける。


「ただ聞きたいことがあるだけです。最近、この魔族領に水色の髪の……女の子が入ってきたということを知りませんか? 」


「水色の髪の女……そうか。貴様等は奴の仲間か……! 」


魔族は、ロシとマコリアを交互に見ながら、そう呟いた。


「やはり、ここに来ていましたか」


その呟きを耳にしたロシの表情が僅かに緩くなる。

魔族の襲撃を受けた次の日、ロシ達はイアンを探し始めていた。

魔族領に探しに来た理由としては、一向に帰ってこないイアンがーー


「それで? どこに捕らえられているのですか? 」


魔族達に拐われたのだと思い、ここまで来ているのだ。


「捕らえられているだと? ふん! 奴の居場所なら、こっちが聞きたいくらいだ! 」


「なにぃ! しらばっくれるつもりっスか! 」


ロシの問に、吐き捨てるように答えた魔族に対し、マコリアが声を荒げる。


「マコさん、落ち着いてください。どうやら、本当に知らないようですよ」


「え? そうなんっスか? 」


「ええ。ですが、先程の彼の口振りから、イアンさんはお尋ね者のようです。そのきっかけを聞きたいのですが…」


ロシは、メルガフロラクタの刃を立て、魔族の首元にゆっくりと食い込ませていく。


「ぐうっ! ま、待て! そのイアンとか言うやつか? そいつのしでかした事を言えばいいんだな! 」


魔族も生き物。

やはり、死ぬのは避けたいようで、急に態度を変える。


「貴様! 自分可愛さのために、敵に情報を! 」


口の緩くなった魔族に対して、他の魔族が激昂し始める。


「ちょっとうるさいっスよー」


「うぐっ!? 」


しかし、マコリアが旋律魔法の効果を強くし、声を荒げていた魔族達は一斉に黙り込む。

容易に口が開けないほど、体に力が入らないのだ。


「さ、言うなら早く言った方がいいですよ…」


「分かった。そのイアンとかいう奴は――」


魔族が口を開いた時――


「ロ、ロシさん! 危ないッス! 」


マコリアが声を上げた。

彼女の声は鬼気迫るもので――


「……!! 」


ロシは咄嗟に、横へ飛び込んで回避行動を取る。


「ぎゃあ――!? 」


「ああっ――!? 」


すると、突風が吹き荒れると同時に、地面に跪いていた魔族達が一斉に悲鳴を上げた。

彼等の口から出た声は、それで最後である。

何故なら、悲鳴を上げた魔族達の頭は、胴体から離れて中を舞っているからだ。


「くっ……新手ですか…」


地面に着地したロシは、メルガフロラクタを構えて空を見上げる。

彼が見上げる空には、翼を羽ばたかせて空を舞う魔族達がおり――


「へぇ……なかなか楽しませてくれそうじゃねぇか…」


その中でも一番大きな体を持つ魔族が、ロシを見てニヤリと頬を吊り上げた。




 地面に伏せるマコリアは、偵察兵の魔族の死体に視線を向けている。

それらの死体には首がない。

一通りの偵察兵の魔族の死体を目にした後、マコリアは空を見上げる。

そこには、多くの魔族達が空を舞っており、一人一人の手には、剣が握られていた。

偵察兵の首を()ねたのは、彼らだ。

彼等は、地面と接触しそうなほど低い高度で高速に飛び、偵察兵の首を撥ねていったのである。


「あ…危なかったっス……もうちょっと気づくのが遅かったら、こいつらみたいに…」


首の無い偵察兵の魔族の死体に自分の姿を重ね合わせたマコリアは、顔を青しくしながら、そう呟いた。


「マコさん、伏せたままは危険です」


「は、はいッス」


ロシに促され、マコリアは慌てて立ち上がる。

マコリアが立ったことを横目で確認したロシは、再び空に目を向け――


「彼等はあなた方の仲間ではなかったのですか? 」


一番体の大きい魔族に訊ねた。


「もう仲間じゃねぇさ。そいつらは、もうおめぇに負けたんだろ? 」


体の大きい魔族は、地面に転がる偵察兵の魔族の死体に目を向ける。


「なら、もうお役御免だ。むしろ邪魔だったんで、先に殺したのよ」


そう言うと、その体の大きい魔族は、右手に持った剣の切っ先をロシの顔に向けた。

彼の持つ剣は、他の空を飛ぶ魔族達の持つ剣よりも二回りほど大きいものである。


「ごちゃごちゃ話すのはここまでだ。覚悟してもらうぜ? 侵入者共! 」


体の大きい魔族――ダガドガは、剣を振りかぶると、ロシ目掛けて急降下し始めた。

彼に続いて、他の魔族達も急降下をし始める。


「くっ、早くイアンさんを探しに行きたいのに……マコさん、攻撃よりも回避に専念してください! 彼等は危険です! 」


「わ、分かったっス」


ロシはマコリアに指示をすると、メルガフロラクタを真っ直ぐ前に構え――


「おら!! 」


「はっ! 」


ガキィン!!


急降下しながら振るわれたダガドガの剣を受け止めた。

こうして、ロシ達とダガドガ部隊の戦いが始まったのである。







 ダガドガ部隊が精鋭と呼ばれる所以は、その機動力である。

彼等の持つ屈強な翼は、一回の羽ばたきで一般の魔族倍以上進むほど鍛えられているのだ。

その筋力は羽ばたく力だけではなく、姿勢を保つ能力も優れており、地面と接触しそうな距離でも、安定して飛ぶことができる。

そんな魔族達に、ロシとマコリアが苦戦するのは当然で、回避に専念するマコリアはともかく、なかなかロシのメルガフロラクタは、彼等の体を切りつけることはない。


「速い……それに加えて、一回一回の攻撃が重そうだ…」


「はい……速さと力が奴らの強みですからね…」


ロシ達とダガドガ部隊の戦いを遠目で見る者達がいた。

イアンとパレッドである。

彼等は、ダガドガ部隊を追いかけ、近くまで来ているである。


「あの二人だけでは、まずいぞ……何かいい方法は無いだろうか? 」


ここからが問題であった。


「……下手に助けに行って…もし、一人でも逃がしてしまえば、俺がイアンさんを匿っていることがバレてしまいます。できれば、もっと数が減ってから、助けに行くべきかと…」


それは今のイアンの状況が影響している。

今、イアンはパレッドを利用し、匿っている状態だ。

この状況は、イアンにとってとても都合が良く、できれば保っていたい状態である。

しかし、ここで下手に動いてしまえば、この状態が崩れかけないのだ。


「あと……もしかしたら、俺も殺されるかも…あいつらみたいに…」


「それは、困るな……うぅむ…」


いい考えが浮かばず、顔を俯かせるイアン。


「……ですので、俺達はダガドガ部隊に加勢しましょう」


そんなイアンに向けて、パレッドはそう言った。


「なに? 」


イアンはパレッドに顔を向けた。

何を言っているんだと言わんばかりに、イアンは僅かにパレッドを睨みつけている。

彼の言葉をそのまま受け取れば、イアンにとって受け入れがたい行為であるからだ。


「おっと、本当に加勢するんじゃなくて、フリですよ」


しかし、パレッドの言葉には裏があり――


「ダガドガ達の加勢をすると見せかけて、奴らに攻撃をするのです」


それは、味方であると偽ってダガドガ部隊を攻撃することであった。


「飛び道具や魔法攻撃なら、怪しまれる可能性は低い……かな。確かイアンさまには、何かの弾を発射する魔法があったはず……それで攻撃しましょう。」


「……どのオレが考える策よりも、良い考えのようだ。よし、それで行こう。段取りはお前に任せる」


「分かりました。任せてください」


パレッドはイアンの言葉に頷くと――


「こっちも必死なんでね……悪く思うなよ…」


遠くに見えるダガドガを見ながら、そう呟いた。







 「おらっ!! 」


ダガドガが剣を思いっきり振り下ろす。


キィン!


それをロシはメルガフロラクタで受け――


「はあっ! 」


その後、ダガドガに目掛けて、メルガフロラクタを振るう。

ダガドガは翼を大きく羽ばたくことで急上昇し、ロシのメルガフロラクタを躱した。


「ちっ! 本当にやるじゃねぇかよ…」


上空で旋回しつつ、ダガドガはそう吐き捨てた。

ダガドガ部隊は戦いが始まってから、ロシ達に対して、有効打を与えられていない。


キィン! カァン!


ダガドガの部下達もロシに剣を振るうが、皆防がれている。


「うわわ! おとと…」


ロシに攻撃が入らないかといって、マコリア方はとういうと、こちらは彼女が回避に専念しているためか、ダガドガ達の攻撃が当たることはない。

その上、複数の者と連携を駆使した攻撃を行っても、ロシは攻撃を防ぎ、マコリアは攻撃をかわしている。


「体力勝負……あ? バカ野郎! 躱せ! 」


ダガドガがロシに目を向けていると、彼に攻撃を行う自分の部下が目に入った。

その部下は、ロシに目掛けて剣を振り上げているが、ロシもメルガフロラクタを振りかぶっている。

ダガドガの見立ててでは、ロシの方が動きが速い。

ダガドガの部下は、ロシに攻撃したいがために、焦ってしまっているのだ。


「はっ! くっ…」


ダガドガの怒声により、ダガドガの部下は我に返ると、急上昇してロシの攻撃を躱す。


「ふぅ……焦った方の負けっつー戦いかよ…つれぇな…」


部下が攻撃を躱せたことに、ホッと息を吐きながら、ダガドガはそう呟いた。


「おーい! ダガドガさーん! 」


その時、ダガドガを呼ぶ者が現れる。


「……あ? パレッド……と、その部下だと? 」


ダガドガはその声の主――パレッドの元へ舞い降りる。

パレッドの隣には、魔族の服を着るイアンがいる。


「おめぇら、何しに来た? 」


「加勢しに来たんですよ。微力ながら」


ダガドガに訊ねられると、パレッドはニヤニヤと笑いながら答えた。


「加勢だと? てめぇみたいな奴、何の役に立つんだよ」


「こんな私でも、役には立ちますよって。フレイム! 」


パレッドはそう言うと、手のひらから丸い火の玉を出す。


「魔法で援護させて頂きます。この……私の部下も魔法が使えるので、きっとお役にたてるでしょう」


「……魔法か……無いよりはマシか…」


ダガドガは、そう呟くと同時に空へ舞い上がっていく。


「ふん! なら、後ろから魔法を撃ってろ。そんで、俺の役に立ってみせろよな」


ダガドガはパレッドにそう吐き捨てると、ロシ達の元へ向かった。


「ははーっ……さて、やりますか。とりあえず、もっと奴らのところに近づきましょう」


「ああ」


パレッドとイアンは、ダガドガ部隊とロシ達が戦っている場所へ向かう。


「む……また新手ですか…」


「げぇ!? なんか魔族が増えてるっス!? 」


その途中、彼等の姿はロシとマコリアの目に入った。


「しかも、一人はなんかイアン先輩に似てるっス! 」


「……世界は思ったよりも広いですね。まさか、イアンさんに似た魔族がいるなんて…」


二人の目は、水色の髪の魔族に向いており、マコリアは驚愕し、ロシは苦笑いを浮かべている。

彼等は、それがイアンだと気づいていない。


(……気づかんか。だが、今はその方が都合がいいか)


ロシ達の反応を見て、イアンはそう思った。


「さて、じゃあ攻撃をしましょうか。まず、怪しまれないよう彼等二人を狙いましょう。フレイム! 」


「分かった。照準、ランガ・ストーンショット」


パレッドとイアンは、ロシとマコリアに目掛けて攻撃をし始める。

二人の放つ火の玉と石弾は、当たりはしないものの――


「くっ……」


「うわわ!! 」


ロシとマコリアに攻撃をしているように見え――


「はっ! 牽制にしかならねぇな。だが、いいぞ。おめぇら、敵がひるんでいる間にやっちまえ! 」


ダガドガ達は、二人のことを疑うことはなかった。


「よし……次は、ダガドガ達(あいつら)をひるませて、イアンさまのお仲間さん達を援護しましょう」


「うむ」


パレッドとイアンは、ロシとマコリアからダガドガ達に狙いを変える。


「おりゃあ!! 」


一人のダガドガの部下がロシに向けて剣を振り下ろす。


「ん? うおっ!? 危ない! 」


しかし、後ろから飛んできた火の玉に気を取られ、攻撃を中断してしまう。


「……! 」


その隙を逃さず、ロシはメルガフロラクタを振るった。


「ぐあっ――!? 」


すると、ダガドガの部下は回避することなく、胴体を真っ二つに引き裂かれる。


「ああ!? ちゃんと狙え――」


マコリアの元に向かっていたダガドガの部下も、飛んできた石弾に怯み――


「あれ? これチャンスっスか? えい! 」


「ぐっ――!? 」


その隙に、マコリアのエストックビーダーで首を突かれてしまう。


「げっ!? ぐあっ――!? 」


「バカ野郎! うああっ――!? 」


パレッドとイアンの攻撃に怯み、ロシとマコリアに倒されるダガドガの部下は続出した。


「な、なにぃ!? おい、パレッド! てめぇ、ちゃんと狙えや! 敵の援護になってるじゃねぇか! 」


この状況に、ダガドガが気づかないわけがない。

彼はパレッドに対して怒号を飛ばした。


「ひっ!? す、すみません! 精一杯やっているのですが……」


パレッドはダガドガに頭を下げながら謝罪の言葉を言った後――


「イアンさま……もうやっちゃってください…」


小声でイアンにそう言った。


「分かった。ランガ・ストーンショット! 」


バババババッ!!


イアンは、石弾を大量に発射させながら、空にそれらをばら撒いた。


「ぐっ――!? 」


「ぎっ――!? 」


弾切れになるまで発射された石弾は空間を埋め尽くし、空を舞うダガドガの部下達の体を貫いていく。


「ぐっ…ううっ……」


空を高速で飛べるが、大量の石弾を躱すことはできない。

石弾はダガドガにも命中し、防御するも体のあちこちを石弾で貫かれる。


「ぐああっ!! 」


そして、飛ぶことができなくなったダガドガは、地面に落下した。

イアンの石弾により、ダガドガ部隊は、残り一人。

ダガドガ以外の魔族は、地面に横たわっており、皆絶命しているのだ。


「ああー、大丈夫ですかーダガドガさーん」


落下したダガドガの元へ、パレッドとイアンが向かう。


「……あれ? なんか変な感じになったっスね…」


「……もしかしたら……マコさん、少し様子を見ましょう」


マコリアとロシは、異変を感じ取り、魔族達の様子を伺い出す。


「くっ……てめぇ…どういうつもり……だあああ!! 」


ダガドガは勢いよく立ち上がると、パレッドに目掛けて剣を振り上げ――


「許さねええええ!! 」


縦に真っ二つにせんとばかりに振り下ろした。

しかし――


キィン!!


彼の剣がパレッドの体を真っ二つにすることはない。

イアンが彼の剣を戦斧で弾き飛ばしたのだ。


「なっ……!? 」


剣を弾き飛ばされ、ダガドガは大きく体を仰け反らさせる。


「どういうつもりって……こういうつもりですよ。バインドフレイム」


「ぐあっ、あちぃ!?」


ダガドガの体の周りに、細長く伸びる炎が出現し、それが縄のようにダガドガの体を縛り付ける。


「いやぁ…俺の部下と紹介した彼女が、実は、マヒュートさん達を倒した人でしてね」


「なに!? なら――」


「何故、一緒にいるかというと、俺…彼女に命を握られてるんです」


パレッドはそう言うと、右手を掲げ――


「だから、ごめん。死んで」


その拳を握り締めた。


「ああああっ!」


すると、ダガドガは悲鳴を上げながら炎に包まれ、やがて黒く焦げた死体となった。


「あーあ、やっちまったよ。あーあ…」


そう呟くパレッドだが、言葉とは裏腹に彼は口元は吊り上がっていた。


「これで、お前に奪われたものは、全部返させてもらったよ…ダガドガ」














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