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精霊斧士 ~流浪の冒険者~  作者: シャイニング武田
七章 多様の使い手
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百六十二話 ヴァリアスコンビネーション

 アントワーヌは、タブエールの攻撃に備え、二本の短槍を構える。

今のタブエールは屈んだ状態であり、窮鼠狩りをいつでも繰り出せる状態であった。

窮鼠狩りとは、前方に跳躍して目標を斬り裂く技である。

その跳躍は一瞬で行われるので、窮鼠狩りが来ると分かったとしても対処は難しい。


「……」


アントワーヌの視界からタブエールの姿が消えた。

タブエールが窮鼠狩りの跳躍を行ったのだ、


「来たか」


タブエールが消えたことに気づいたアントワーヌは、後ろへ跳躍する。


「やった! アントワーヌの奴、躱しやがった! 」


観覧席のパイクが歓喜の声を上げる。


「逃がさいないよ! 」


アントワーヌが跳躍する前の位置にタブエールが現れ、再び姿が消えた。

窮鼠狩りの対処方法として、回避行動は得策ではない。

猫瞬剣には、窮鼠狩りから派生した(つい)窮鼠という技がある。

追窮鼠は窮鼠狩りを躱した者に追撃をするため、再び窮鼠狩りを行うというもの。

逃走する相手を追窮鼠で追い詰めていくのだ。


「そうくるよな」


アントワーヌは地面に足が付くと、前方に足を踏み込み、片手に持った短槍を横薙ぎに振るった。


ガッ!


振るわれた短槍が何かに激突する。


「くぅ、反撃してくるとは…」


アントワーヌの前方にタブエールが現れた。

彼女は剣で短槍を防いでいる。


「追窮鼠を破られたのは、初めてか? 」


アントワーヌは不敵な笑みを浮かべながら、持て余していた片方の短槍をタブエールに突き出す。


「初めてじゃあないけど……おまえ、油断できないな」


タブエールは受け止めていた短槍を弾くと、素早くアントワーヌから離れる。


「今度はこちらが追い詰める番だ! 」


アントワーヌは、タブエールを逃がさないとばかりに駆け出し、二本の短槍を連続で突き出す。

二本の短槍は左右交互に突き出され――


「くっ……」


タブエールに攻撃をする暇を与えず、彼女を防戦一方の状況へと陥れた。


「馬鹿! 早くアントワーヌから離れろ! 」


「……!? 」


パイクが観覧席の落下防止柵から、身を乗り出しながら叫んだ。

その時、アントワーヌの両腕が一瞬だけ見えなくなった。


「……ちっ、連槍を放つ一瞬の隙をついて躱したか」


アントワーヌが振り向きながら呟いた。

振り向いた彼女の前に、息を荒げながら剣を構えるタブエールの姿があった。


「今…アントワーヌは槍を連続で突いたのか…」


「そうだ……今のは、あいつの奥義、二槍四連…八連突きだ」


イアンの呟きに、パイクが答えた。

アントワーヌの腕が見えなくなったす瞬間、彼女は二本の短槍を連続で突き出していた。

片方の短槍で四回、二本合わせて合計八回の連続突きを放ったのだ。

連続突きは瞬きをするよりも速く、複数の突きを放つ槍術だ。

一般の騎士の連続突きは、できて三回である。

それをアントワーヌは両腕で行った上で、それぞれ四回、計八回の突きを放つことが出来る。


「はぁ…危なかった……パイク様が教えてくれなかったら、あたしは負けていた…」


タブエールは息をつくと、アントワーヌを見据える。

アントワーヌが一歩近づくと、彼女は一歩後ろに下がり、一定の距離を保ち始めた。


(連槍を警戒しているか……さて、どうするかな…)


次、どう攻めるかを考えながら、アントワーヌはゆっくりとタブエールの元へ向かっていく。

二人の距離は一向に縮まることはなく――


(ちっ、奴が動く前にさっさと決めてしまうか)


痺れを切らしたアントワーヌが、足を踏み込んだ。


バサッ!


その瞬間、アントワーヌは布がはためくようなの音を耳にし、片足を踏み込んだ状態で体を停止させ、音の聞こえた方向へ顔を向けた。


「……!? 」


アントワーヌの顔が驚愕に染まる。

彼女が顔を向けた方には、タブエールの姿があった。

そのタブエールは既にアントワーヌの目の前まで迫っており――


「シャアア! 」


アントワーヌの顔に目掛けて、剣を突き出した。


「ぐっ…」


頭を傾け、突き出された剣を間一髪で躱すアントワーヌ。

反撃に短槍を横薙ぎに振るうが、剣を突き出してきたタブエールは後方へ飛び退いてしまう。


「…!? 馬鹿な…二人だと? 」


二人のタブエールの姿を目にしたアントワーヌが驚きの声を出す。


「フフフ…」


「ハハハ…」


二人のタブエールは横に並ぶと、アントワーヌを見ながら含み笑いをする。


「二人? 」


「違うね」


バサッ!


二人のタブエールが順番に口を開いた後、今度はアントワーヌの後方から布がはためくような音が聞こえた。


「…!? 後ろか!」


先程、同じように奇襲を受けたため、アントワーヌは咄嗟に二本の短槍を逆手に持ち替え、後ろに目掛けて突き出した。

しかし、彼女の突き出した短槍は誰にも当たることはなかった。

後方から新たに現れた者を迎撃するために突き出したのだが、躱されてしまったのである。

彼女の短槍を躱した者は――


「バーカ! 」


アントワーヌの頭上にいた。

その者を短槍を跳躍で躱していたのだ。


「くそっ! 」


アントワーヌは慌てて頭上に顔を向け、二本の短槍を交差させた。

頭上にいた者の踏みつけを交差した短槍を受け止めたが――


「そぉれ! 」


そのまま、アントワーヌは蹴り飛ばされ、訓練場の壁に激突する。


「ぐ…う…」


壁に激突した衝撃で、意識が朦朧とするアントワーヌ。

ぼやける視界に映るのは、タブエールらしき三人の獣人の姿であった。


「おい、これは決闘ではなかったのか? 」


観覧席で彼女達の戦いを見ていたイアンが、パイクに詰め寄る。


「は? 決闘なんて一言も言っていない。ただ、訓練場に戦う者以外いることは許されないと言っただけだ」


ニヤニヤと笑いながら、パイクがイアンに答えた。


「戦う者以外……お前、最初からこうするためにオレをここに連れてきたな」


先程、パイクが訓練場に現れた時、既に二人のタブエールは潜んでいた。

パイクがイアンに訓練場を離れることを強要したのは、三対一という状況を作り出し、完全にアントワーヌを倒すためであった。

彼がここまで徹底するのは、兄であるが故に彼女の強さを充分知っているからだ


「そうさ! あのアントワーヌだ。一人でも仲間が入れば悪知恵を使って、あいつらを倒しかねないからな」


「ならば、今、オレが加勢をするまで」


イアンはパイクから離れ、観覧席から離れようとしたが――


「おっと! 今、行けば反則としてアントワーヌの負けになるけど、いいのか? 」


パイクのその言葉で、足を止める。


「何? 」


「あの二人は戦闘が始まる前から訓練場にいた。つまり、正当な参加者さ。だが、戦闘が始まった後、あそこに行けば乱入者だ。お前は神聖な戦いを邪魔する不届き者になるんだよ! 」


「何が神聖な戦いだ。お前のルールになど付き合ってられん」


パイクにそう吐き捨て、顔を前に向けた時――


「……!? なっ…おまえは……」


そこには、仮面を付けた騎士がいた。


「言ってなかったな。この戦いはエッジマスク殿も見ているんだ。分かるな? おまえがアントワーヌの手助けをした時点で、他の騎士に伝わるぜ? あいつが負けたってことがな」


「ぐ……おい、見ていただろう。この戦いは正当なものではないことを」


イアンが目の前のエッジマスクに訴えかける。


「……」


しかし、エッジマスクは何も答えることはなかった。


「無駄だ。この戦いはアントワーヌとタブエールの戦いであると伝えてある」


「アントワーヌとタブエール……やはり、決闘ではないか」


「いや、正確にはアントワーヌとタブエール達の戦いだ。あいつら皆、タブエールなんだよ」


「何を…言っている? 」


イアンはパイクの言っていることが分からない。

そんなイアンに向かって、パイクはニヤニヤと笑いながら――


「あいつらはな、三つ子……三人共、タブエールの姓を持っているんだよ! 」


と言い放った。






 全く瓜二つの三人の獣人を前に、アントワーヌは短槍を構えるだけしかできない。

三人の獣人――タブエール達の姿は、消えたり現れたりを繰り返し、その度に彼女達の剣がアントワーヌに襲いかかる。

アントワーヌは彼女達の猛攻に防戦一方になっていた。

二本の短槍と左腕の盾で、三人の剣を防ぎ続けているが――


ズバッ!


時折、防御が間に合わず、体に剣を受けることがあった。


「なかなかしぶといなぁ」


タブエールの一人が俊敏な動きをしながら呟いた。


「確かに」


「武器の中で、この短い槍が得意なんだって」


「みたいだね。さっき、危うくやられそうになったよ」


「ああ~、あの時は危なかったね」


タブエール達はアントワーヌに剣を振るいながら、会話をし始めた。


「おのれ……一人では勝てないくせに…」


「袋の鼠が何か言っているね」


悪態をつくアントワーヌ。

彼女の背後にタブエールの一人が迫り、振りかぶっていた剣を横薙ぎにする。


ギンッ!


アントワーヌは振り向きながら短槍を構え、タブエールの剣を防いだ。

剣が防がれるとタブエールは素早く後ろへ下がり――


「あたし達は三人で一人のタブエール…」


別のタブエールが跳躍し、アントワーヌの頭に目掛けて剣を振り下ろす。


ガッ!


アントワーヌは、振り下ろされた剣を額のバイザーと短槍で防ぐ。

そのまま競り合いとなり、剣を押し返そうとするアントワーヌの側面に――


「お前に勝ち目は無いんだよ! 」


また別のタブエールが接近し、剣を突き出してきた。


「ぐっ…」


アントワーヌは、持て余していた短槍で突き出された剣を受け止める。

二人のタブエールに迫られ、押し負ける前にアントワーヌは彼女達の剣を弾く。

そして、彼女達から距離を離れようと振り返れば、訓練場の壁がそこにあった。


「フフフ…もう逃げ場は無いよ」


前方に顔を戻せば、アントワーヌの逃げ場を塞ぐように、三人のタブエールが等間隔で立っていた。


「……おのれ…」


アントワーヌは鍵を取り出そうと、服の中に手を伸ばす。

しかし、その手は服の中に入らず、下へ降ろされた。

盾の武器は強力すぎて、タブエール達を殺しかねないからだ。

勝ち誇ったかのように含み笑いをする三人のタブエールを見回し、アントワーヌは両手の短槍を強く握り締めた。




 「もう打つ手が無いのか…このままでは……」


イアンは、追い詰められているアントワーヌの姿を観覧席から見ていた。

否、見ているだけしかできなかった。

パイクの策略によって、何も手出しができない状況に陥っているのだ。


「やった! やった! これで、俺は出世できる! 」


イアンの横にいるパイクは、もう勝ったのが決まったかのように小躍りをしていた。


(妹を相手にこいつは……)


イアンはパイクを横目で睨みつけた後、後方の観覧席に立つエッジマスクを肩ごしに見つめる。

エッジマスクは身じろぎもせず、黙って訓練場に目を向けていた。


(戦いを見届けるこいつも、この男の仲間……む? )


エッジマスクを見据えていたイアンは、その人物に違和感を感じ、思わず――


「誰だ…お前……」


と口ずさんでしまった。


「……! 」


声が聞こえたのか、エッジマスクがイアンに顔を向ける。

イアンが違和感を感じたのは、エッジマスクの身長は高く、がっしりとした男の体型をしていたからだ。

初めてイアンがエッジマスクを見た時は、至近距離にいたにも関わらず、身体的特徴が全く分からなかった。

しかし、このエッジマスクの身体的特徴は、はっきりと認識することが出来るのだ。


「……」


仮面を付けた男はゆっくりと、腰の剣に手を伸ばす。

感づいたイアンを殺そうというのだが――


ズンッ!


「ごふっ!? 」


その仮面の男は、突然現れた騎士に腹を刺された。

現れた騎士は、仮面の男から剣を引き抜くと、イアンの方へ体を向ける。


「……!? また仮面の……いや、こっちがエッジマスクか」


その騎士は、顔に仮面を付け、どういった人物なのか身体的特徴が全く分からなかった。

イアンはこの騎士が本物のエッジマスクであると感じた。


「ん? え……エッジマスク殿? これは……う、うわあああああ!! 」


ようやく周りの異変に気づいたパイクが、血溜まりに倒れ伏す仮面の男を見て悲鳴を上げた。


「……お、おのれ……反逆者の――」


ズバッ!


仮面の男はまだ息があったが、エッジマスクに首を切断され、もう何も言わなくなった。


「……この男に代わり、彼女達の戦いの行方は、このエッジマスクが見届ける」


訓練場のアントワーヌ達に顔を向けながら、エッジマスクがそう呟いた。

その声は複数の声が混ざったような声で、男性か女性か、大人か子供であるかが判断できない。


「イアン・ソマフ」


「な…なんだ? 」


名を呼ばれ、イアンは若干戸惑う。


「アントワーヌを救いたくば、そこの物を使え…」


エッジマスクはそう言うと、近くの座椅子の裏に指を差した。

イアンがそこを見てみると、沢山の種類の武器が入った木箱があった。

鎖のついた分銅や短剣等、小型の武器ばかりである。


「武器? これをどうしろと…」


「…全て、彼女の扱える武器だ…あとは自分で考えろ……」


エッジマスクはそう言った後、腕を組み、顔を訓練場へ向ける。


「武器……これで何とかなるのか? 」


イアンはとりあえず、木箱を持ち上げてみた。


「あ…あああああ!! お前、それをどうするつもりだ!? まさか、アントワーヌに渡すとか言うんじゃないよな!? 」


イアンの持つ木箱の中身を見たパイクが慌てふためく。


「……何とかなりそうだな」


イアンは木箱を持ったまま、走り出し――


「使え、アントワーヌ! 」


落下防止柵の前で、木箱の中身を訓練場にばら撒いた。





 イアンの声を耳にし、アントワーヌが見上げると、様々な武器が空から降ってきていた。


「うわっ!? 」


「なに? なんなの?」


「外野からの攻撃? パイク様は何を…」


三人のタブエールは、空から武器が降ってくる光景を目にし、浮き足立っていた。


「フッ…でかしたぞ、イアン」


ただ一人、アントワーヌだけが、その光景に笑みを浮かべていた。

アントワーヌは二本の短槍を放り投げ、降りしきる武器の中から、鎖のついた分銅と鞭を手にとった。


「ふっ! 」


アントワーヌを鎖のついた分銅をタブエールの一人に投げつけ――


「は! 」


もう一人のタブエールの足に目掛けて、鞭を振るった。


「ぐっ!? 」


「ぎゃ!? 」


一人のタブエールに鎖のついた分銅が巻き付き、もう一人は足を払われて転倒する。

アントワーヌは、鞭を放り投げ、落ちていたメイスを拾い、転倒したタブエールの横っ腹に打ち付ける。


「うっ!? 」


「まず一人」


腹にメイスを受けて蹲るタブエールの姿を見て、アントワーヌが呟いた。


「この! 」


まだ動けるタブエールがアントワーヌに窮鼠狩りをしようとするが――



「おっと、まだ動くなよ」


「ぐっ! くそっ! 」


アントワーヌの蹴り飛ばした短剣により阻止されてしまう。

その隙にアントワーヌはメイスを放り投げ、落ちていた二つの杭を両手に持ち、分銅の鎖に打ち付けた。


「うぐぅ…動けない…」


杭で鎖を固定され、拘束されたタブエールは身動きが取れずに呻いた。


「あと一人」


アントワーヌはそう言いながら、落ちていた一本の短剣を蹴り上げ、片手に持つ。


「嘘……さっきまで、あたし達が勝っていたのに……」


あっという間に、二人のタブエールを行動不能に陥れたアントワーヌを見て、最後に残ったタブエールが放心気味に呟いた。


「勝っていた? ほう、負けを認めるのか…やはり、一人では俺に勝てないようだな」


アントワーヌが挑発するような仕草をする。


「くっ、このガキ! 舐めるな!! 」


彼女の言葉が(かん)に障ったのか、最後に残ったタブエールは激昂し――


「はああ!! 」


地面を思い切り蹴りつけた。

その行動により、一瞬でタブエールの姿が見えなくなる。


バッ! バッ! バッ!


アントワーヌの周りに幾つもの砂塵が舞う。


「ほう、連続の高速跳躍…猫瞬剣の奥義か? 」


短剣を構えたアントワーヌが、周りを見回しながら呟く。

タブエールは窮鼠狩りの跳躍を連続で繰り返し、驚異的な速度で姿を(くら)ましていた。

アントワーヌを翻弄した後、隙を突いて剣を振るおうというのだ。

死力を尽くす勢いのタブエールだが――


「馬鹿! 他のタブエールを助けろ! ヴァリアスコンビネーションが!! 」


観覧席にいるパイクは彼女を止めようとしていた。

しかし、彼の声はタブエールに届くことはなかった。


「死ねぇ!! 」


アントワーヌの背後に回ったタブエールが彼女目掛けて、剣を突き出した。


キンッ!


「あ……」


タブエールの突き出した剣は、振り向きざまに振るわれたアントワーヌの短剣に弾かれた。

その時、タブエールはアントワーヌの目が一瞬だけ輝いたかのような気がした。

剣を弾かれ、身動きの取れないタブエールに対しアントワーヌは、メイスを叩きつけ、鞭で払い、短槍で殴りつけ、その場に落ちている武器を次々と持ち替えながら、彼女に攻撃を加えていく。

武器を持ち替える度に、その武器に合った使い方をする。

アントワーヌは今、一人で複数の戦士の技を繰り出しているのだ。

これが、多くの武器に精通する彼女が編み出した大技、ヴァリアスコンビネーションである。


「かはっ……! 」


連続で武器を叩き込まれ、タブエールは仰向けに倒れた。


「ふぅ……」


三人のタブエールを行動不能にしたことを確認した後、アントワーヌは観覧席にいるパイクに目を向けた。


「ひっ……く、くそっ……お、お前が領主の補佐だろが、俺がルーリスティの当主だからな!! 」


パイクはそう吐き捨てると、走って観覧席から姿を消した。


「パイクさまぁ、助けてくださいよーっ! 」


高速されたタブエールが、逃げたパイクの方に向かって叫び出す。

三人のタブエールとの戦いは、アントワーヌの勝利で幕を下ろした。




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