十三話 高ランク冒険者(シロッツ)
今回は、ロロットが空気。
タトウの発言で、大半の冒険者がいなくなった、店の二階にイアンとロロットはいた。
彼らの他に、タトウと三人の冒険者が、この場所にいた。
そのうちの一人が、イアンに気づくと、小さく会釈する。
ガゼル・トマソンだ。
彼は、この依頼を受けるつもりのようだ。
「チッ! ギルドめ、依頼の監査があめぇんだよ! 」
残った冒険者の一人、中年の男が吐き捨てるように言った。
「どういうことだ? 」
「ああ? ガキにはわかんねぇのか? 」
イアンが聞くと、中年の男は、馬鹿にするように言った。
中年の男の代わりに、ガゼルが聞いてくる。
「イアンさん、掲示板に貼ってあった依頼書には、ファトム山を通ることは書いてありましたか? 」
「いや、書いてなかったな。それがどうかしたのか」
「はい。ファトム山には、強い魔物が生息し、その魔物と戦いながら険しい道を進まなければなりません。本来なら、街道を通って行くのが常識です。ギルドも街道を通ると思っていたのでしょう 」
「なるほど。それでギルドは、ランク不問でも許可したわけだ」
魔物の数遇率の低い街道を通るのなら、ランクE-でも務まるとギルドは判断した、イアンはそう考えた。
「そういうこった」
中年の男が偉そうに頷く。
「しかし、何故そんなことを? 」
イアンが疑問を口から出し、タトウに視線を向ける。
「高ランクの冒険者に依頼するより、ランク不問としたほうが、ギルドへの依頼受託料が少ないからです」
タトウがにっこり笑いながら言った。
イアンは、ギルドの受付で、説明された一部を思い出す。
依頼者が、ギルドに依頼をするとき、依頼受託料というものが発生する。
これは、依頼の難易度によって異なり、難易度が高いほど、受託料も高い。
その理由は、高ランクになるに従って、その数は減っていき、ギルドが冒険者を捜すのが困難であるからだ。
「楽な仕事だと思っていた低ランク冒険者は立ち去り、高ランク冒険者が残る。そして、少ない受託料で高ランク冒険者を雇う。報酬が多かったのもそのためか」
「ええ…そうでしたがねぇ……」
イアンの呟きに、タトウは苦笑いを浮かべる。
「行っちまった連中の中には、高ランク冒険者もいやがった。割に合わねぇのさ」
タトウの代わりに、中年の男が答える。
「割に合わない? 8000Qの大金が? 」
「ああ? 8000Qなんざ俺達高ランク冒険者にとっちゃ、普通の依頼の報酬よぅ。並のやつならもうちっと高くねぇとやらねぇよこんな依頼」
「高ランク冒険者? 」
「おうよ、俺はこの町で、最高ランク―― Cランクだ! 」
中年の冒険者は、腕を組んで偉そうに言った。
高ランク冒険者がCランクということは、つまり――
「この依頼は本来、Cランクでも高難易度の部類だ! 低ランクのガキどもは帰れ! 」
中年の冒険者は、イアン、ロロット、ガゼルに向けて言い放った。