十一話 冒険者登録
イアンとロロットは、シロッツの冒険者ギルドに来ていた。
ギルドの施設内は、冒険者たちで溢れかえっていた。
新しく冒険者として登録する者も多く、受付の前には長い行列が伸びていた。
イアンもその行列に並んでおり、ようやく自分の番がくる。
「お待たせしました。新規冒険者登録でございますか」
受付の女性が笑みを浮かべながら伺う。
「そうだ。冒険者をやりたい」
「かしこまりました。では、いくつかの質問をさせていただきます」
質問の内容は、名前、年齢、種族、性別、出身地、魔物との戦闘経験、魔法が使えるかというものだった。
性別は、言うまでもなく疑われた。
質問に答えるイアンの言葉に耳を傾けながら、受付の女性はペンを走らせる。
一通り質問に答えた後、女性は奥に向かい、小さなプレートを持って帰ってきた。
「これがあなたの冒険者プレートになります」
「冒険者プレート? 」
「あなたが冒険者であることと、冒険者ランクを示すものです」
手渡されたプレートは鉄で出来ており、中央には[-]の文字が刻まれていた。。
イアンは、受付の女性から冒険者についての説明を受ける。
冒険者にはランクがあり、これは冒険者に適した難易度の依頼を受けさせるために定めたものである。
ランクには、S・A・B・C・D・Eがあり、最初はEランクから始まる。
さらに、Eランクには、E+・E・E-と細かく分けられている。
これには魔法がつかえるか、魔物との戦闘経験があるかに関係がある。
魔物との戦闘経験が少なく、魔法が使えないイアンはE-のランクであった。
「以上で説明を終了します。ご質問はありますか? 」
無いとイアンは答え、依頼書が貼ってある掲示板へ向かった。
「あっ! アニキ」
掲示板を眺めていると、登録を終えたロロットが近づいてくる。
「来たか。早速依頼を…」
受けるぞと言おうとしたイアンだが、彼女の手にあるプレートを見て言葉を詰まらせた。
ロロットのプレートに刻まれてるのは[+]の文字だった。
「E+…だと…」
「ああー、なんか獣人だと子供でもE+になるんだって」
「そんなこと聞いてないぞ…」
イアンは、力なく項垂れた。
――新規冒険者一覧――
イアン・ソマフ
年齢:14歳
種族:人間
性別:男(自称)
出身地:トカク村近辺
ランク:E-
ロロット
年齢:10歳
種族:獣人(猿人)
性別:女
出身地:記載無し
ランク:E+
――冒険者ギルド シロッツ支局より