金魚死んじゃった
金魚しんじゃった。かわいい金魚ちゃん。ちぃちゃんがお姉ちゃんからもらった金魚ちゃんしんじゃった。真っ赤でまるっこくてりんごのあめみたいな金魚ちゃん。お絵かきするときもいつも金魚ちゃんをかいてたのよ。まっ白な画用紙に赤いクレヨンとちょっとの黄色いクレヨンで。ちぃちゃんね、いつもがんばってお世話してたの。しかくの白いのガラスのお家にいれてね、ごはんあげてたの。ちぃちゃんがごはんですよーってちっちゃな茶色いゴマツブを、金魚ちゃんのおくちの近くにもっていくの。
ぱしゃんぱしゃん ぱくっ。
金魚ちゃんが赤いしっぽで水をはじいたから、ちぃちゃんの手を冷たくぬらしたの。さむい冬に『ほっきょく』みたいな冷たい水のなかでゆらゆら泳いでいる金魚ちゃんがかわいそうになって。そう思ってちぃちゃん、金魚ちゃんを暖めてあげようと思ったの。金魚ちゃんのお家に手を入れたときに手のひらがぴりぴりっとしたけど、思いっ切って金魚ちゃんをつかんでみたの。
ぴちゃぴちぴちゃ ばしゃんっ。
ちぃちゃんね、大人しくしててねって金魚ちゃんに言ったの。でも金魚ちゃんのからだすごくつめたかったのね。ぬるんっとしてて手からすべっちゃいそうだった。たくさんお水を飲みすぎたんじゃないかなぁって思うくらいにぶよぶよのおなかをね、いっしょうけんめい暖めてあげたのよ。よぉうしよぉうし、イイコだからねぇって。ちぃちゃんの金魚ちゃんみたいなまっ赤なワンピースも、水でびちゃびちゃにぬれちゃってた。だけど金魚ちゃんもさむかったんだろうなぁっておもったら平気だったの。そうしたらお母さんがやってきてね、やめなさいっていったのよ。ちぃちゃん、金魚ちゃんが冷たくってかわいそうっていったの。お母さんは、「水の外に出した金魚ちゃんは、息が出来なくなっちゃうのよ。ちぃちゃんがお水の中に入る時と一緒なの」って。ちぃちゃんはおふろの中に十秒しかもぐれないから、金魚ちゃんをお家に戻してあげた。
ぽちゃんっ ぴちぴちゃっ。
さっきまで大人しくなってた金魚ちゃんがお水の中で元気におよいでた。きっととってもくるしかったのね。ちぃちゃんね、お母さんがつくってくれたあったかいココアとあまぁいとうめいなおまんじゅうをたべながら金魚ちゃんをじぃっとながめていたの。ちぃちゃんも金魚ちゃんみたいにかわいくなれたらいいなぁって。
それからちょっとしたらね、金魚ちゃんしんじゃったの。
ぷぅかぷか ゆぅらゆらんっ。