婚約破棄をした王太子とその真実の愛の相手に最後まで付き従った男爵令息の話
真実の愛を最期まで信じた者の話
『ルド、少年謀反人だ!』
『そうだ。本日より学園の門をくぐることあたわず』
ご存じの通り僕は平民のルド。
ええ、元貴族学園の中等部、特待生でした。
ですが、ある日、登校したら校門の前に、大公殿下と大公子のフェルナンド様がおりました。
『え、何故ですか?』
『貴様はこのようなけしからん新聞を配っていたからだ!』
新聞の束を投げつけられました。
その内容は存じていると思いますが。
王太子殿下と伯爵令嬢デイジー様の真実の愛の物語です。
僕が執筆していました。この時は誰も読みません。内容は
そうです。悪女エリザベーターに断固たる断罪をつきつけた真実の愛の物語・・・・
・・・・・・・
「貴様!言うに事欠いてご本人の前で悪女だと?呼びすてだと!反省していないな!」
「はい、ほんの数ヶ月前は誰もがそう言っていました。いけませんか?」
「ほほ、良い度胸だ!この護衛騎士ゲールが叩き斬ってやるわ!」
「なら、何故、数ヶ月前に殺さなかったのですか?」
「な、何だと!」
「ゲール、おやめなさい」
「お嬢様!しかし・・・はい」
「ルド、解せないわ。私にとって元王太子殿下は短気でお気に入り以外の意見を聞かないで気まぐれだったわ・・・」
「ふん。お前に言われるまでもない。とくとその髪に隠れた耳から脳髄に王太子殿下とデイジー様の素晴らしさをたたき込んでやる!」
・・・・・・・・・・・・・・・
僕は平民学校から来ました。
周りは貴族ばかりで馬鹿にされました。
しかし、中等部に殿下が視察で来られました。ええ、その時にはすでにデイジー様が隣にいました。
【ア~ハハ、お前か?平民で貴族学園に来たのは?】
『は、はい、ルドと申します』
『気張れよ』
隣にいたデイジー様は。
『フフフフフ、これからは貴族と平民仲良くならなくちゃいけないわ。ねえ、殿下』
『おう、そうだ。さすが慈愛の令嬢デイジーだ』
そう仰いました。
僕の全身に雷が落ちたような衝撃が襲いました・・・
『あの、皆、身分に関係なく仲良く暮らせる世の中・・・は来るのでしょうか?』
『ええ、きっと来るわ。殿下と目指しているのよ』
『そうだ。真実の愛で王国を照らすぞ!』
そう言って頂けました。
だから、僕は・・・
『あの僕、殿下とデイジー様を取材したいです。高等部に行っても宜しいですか?』
何故、こんなことを言ったか分かりません・・・
『おお、いいぞ。我とデイジーの愛の姿をそのまま書くが良い。門衛に話を通しておく。生徒会室に来るが良い』
『フフフフ、楽しみにしていますわ』
その時は、真実の愛などまやかしだと言う者が多々おりましたが、僕は構いませんでした。
伯爵令嬢・・・王太子の婚姻相手は侯爵家以上・・・となっています。
世紀の愛です。
生徒会室に行くと宰相閣下のご子息を筆頭に皆僕を歓迎してくれました。
『おお、ルド、この前の物語は良かったぞ!お忍びデートの話だな』
『皆、平等になるべきだとのデイジー様の言葉は良かった』
『期待の新人だ。学園を卒業したら王宮に来い!宰相府だ!』
『はい、王太子殿下、デイジー様、皆様・・・グスン』
その時、エリザベーターは部屋の隅にいました。
『殿下・・・貴族の義務をないがしろにしてはいけませんわ』
『またか・・・』
ええ、エリザベーターの印象は、貴族、貴族、貴族の義務、そればかりです。
正論は誰でも言えます。
でも、デイジー様の正論は力がある。
僕がそのお手伝いをしていると思うと感動で体が震えました。
いつか・・・その時が来れば・・・デイジー様が王妃殿下になれば、それは可能です。
そして、遂に悪女エリザベーターの断罪が行われました。
学園で厳粛に爽快に正しく行われました。
エリザベーターは負け犬のごとく尻尾を巻いて逃げだした姿は痛快そのもの!
・・・・・・・・・・・
「グスン、グスン、しかし、たった十日後に宰相のご子息オルテ様、騎士団長のご子息。ウォルク様、宮廷魔道師のご子息ミゲル様がお亡くなりになり。
エリザベーターの義弟にして、真の忠臣、ローベルト様は、裸で屋敷を放り出されました。養子になった時、屋敷に来たときの6歳の時の服だけを持たされて放り出されたと噂になりました・・・
「ローベルト様を探しましたがいません。その他の派閥の方々も、まるで魔物に化かされていたかのように殿下とデイジー様の元から離れました・・グスン誰も真実の愛の話に見向きもしなくなりましたが、僕は学園で頑張って新聞を配っていました。遂に殿下達は女神様の御許に行き遺志を受け継ぐのは僕だけになりました」」
「そう、2人には最後、男爵令息がついていただけね・・・そして、捕まり毒杯を給わった・・・わ」
「エリザベーターが策略をめぐらしたに違いない!この悪女め!」
「そう・・・・思うのね。貴方は・・・二回説明したわね」
・・・私はエリザベーター、ここは領地の屋敷前。屋敷を馬車で出る所、魔道爆弾を持ったルドに襲わそうになった。
こちらは護衛の魔道師で無力化。護衛騎士にとらえて取り押さえている状態だわ。
何故、ルドの襲撃が分かったかは。これで三度目だからだ。警戒していたわ。
許したのはあまりにも若かったからだわ。13歳・・・
「ルド、1回目は王都から出る時、郊外に出たときに護衛騎士がいたのに突っ込んできたわね」
「そうだ!」
「二度目は、領地に帰る途中に橋の下に潜んでいたわね」
「だから、何だ!」
「1回目の時は食べ物を与えて・・・2回目の時にはお金をあげて、事情を説明して立ち直るように言ったわ」
「アハハハ!悪女め。その金で魔道爆弾を買った!何度許してもお前を殺す!」
ルドの目を見る・・・狂気に満ちていて、それでいて純粋、危なっかしい。
だけど、ただ眩しいわ。これが忠義かしら。
しかし・・・襲撃は稚拙そのもの。成功の見込みはなかったわ。
「ねえ。何故、もっと上手くやらなかったのかしら?例えばその魔道爆弾を王都や市場近くの人混みの中から投げたらもしかして・・」
「ア~ハハハ!やはり悪女よ。デイジー様は無辜の民を巻き添えにすることを好まない!やはりデイジー様と殿下が正しかった!」
もう、許すことは出来ない。ならば・・・
「ケリー、ドレスをティリアンパープルのドレスを出して頂戴」
「はい?畏まりました」
これは大公子フェルナンド様より贈られたドレス・・・
王族の色よ。
「ゲール、ルドの拘束を解きなさい」
「また許すのは当職の命にかけても許容出来ません!」
「許さないわ。最期に仇討ちをさせて差し上げますわ」
「悪女に許してもらおうとは思わない!さあ、殺せ!」
私はドレスをルドの前に置かせた。
「これを私と思って刺しなさい」
「悪女らしいドレスだ」
「王族の色よ」
「だから、何だ!」
護衛騎士の警戒の元、ナイフを渡し。ドレスに攻撃をさせたわ。
ルドはナイフで何回も何回もドレス突き刺したわ。
「ア~ハハハハハハ、これで殿下とデイジー様、側近たちの前へ堂々といけるぞ!さあ、殺せ!」
「ゲール、・・・女神様の御許に行かせてあげなさい」
「はっ!しかし、お嬢様!お目汚しになります。馬車へ・・」
「いいわ。これも忠臣、最期くらい見届けてさしあげますわ」
「ハハハハハ、悪女め!僕の死に様をとくと見ろ!」
最期の言葉が終わると剣の風切り音と同時に首が落ちたわ。
「ゲール、優しいのね。最期の言葉を言わせるなんて・・・」
「思う所があります。罰を受けます」
「忠義は法で抑えられない。ただ世俗を超えるのみ・・・ね。貴方を罰さないわ」
そのまま王都に向かった。
今日はフェルナンド様とのお茶会の日。婚約を受けるかどうかの返事の日でもある。
婚約破棄されてからは父上から婿は自由に選べと言われたわ。
☆☆☆王都大公家
「エ、エリザベーター様・・・ご、ご到着でございます」
「爺、ロビーに迎えに行こう。ところで、ドレスは私が贈ったドレスを着てくれたかな?」
「はい、確かにフェルナンド様が贈ったドレスを着ておりますが・・・・」
「何だ。爺、そんなに怯えて・・・」
「うむ。フェルナンドよ。家族で出むかえよう」
「はい、父上」
そうだ。私は真実の愛にうつつを抜かしていた中等部の平民を放校したのだ。
さすがに貴族子弟は出来なかったがその話を披露しよう。
それから婚約の指輪を贈って・・・な、何だ。メイド達が怯えている。
その視線の先にエリザベーター嬢がいる。
ドレスが破けている。いや、切り裂かれたようだ。
「ヒィ、エリザベーター嬢!そのドレスは・・・」
エリザベーターのドレスは私が贈ったものであるが、ところどころまるで短剣で刺されたようだ・・・
切れ口から肌が見えている。エリザベータ嬢は気にしない。
「大公殿下ご夫妻とご子息フェルナンド様にご挨拶をします。フェルナンド様から贈られたドレスを着ましたが、このように斬れてしまいましたわ。
もしかして、大公家に何か呪いがかかっているのかもしれませんわね」
「我が大公家に呪いをかけるものはおらん。恨みなど・・・」
「あら、大公殿下、平民を無碍に扱いませんでしたか?」
「そ、そうかも、だが・・」
「何故、そんなに落ち着いているのだ!」
「ドレスが不作法なのでこれで失礼しますわ」
婚約はお断りをしたわ。
もし、ルドが学校を追い出さなければどうなったかは・・・女神様のみ知る所だわ・・・
・・・大公家は恐れおののいた。その様を王都の民衆は真実の愛の呪いとささやいた。
それを聞いた陛下は。
「呪いなら致し方ない」
王族の色を汚された事を不問にしたと云う。
最後までお読み頂き有難うございました。




