加重する観念(1)~戦士の矜持~ 設定資料
世界観
世界
多くの神々に見捨てられた星。大昔、神々が、ヒトと牙人を創った。しかし思い通りに世界を構築できなかった多くの神々は、この世界に落胆し、遥か遠くの宇宙へ去っていった。しかし一部の神はヒトに戦う術(神契術)を与え、時折出くわす牙人との戦いの中で存続させることにした。人は数少なかったが、牙人のいない間に数を増やして中世レベル(10世紀ほどを想定しているが、紙が大量に作れる)まで文明を発展させた。しかし牙人が集団で人を襲うようになり、都市が滅ぼされるようになった。神の力を宿した人(神契士)は牙人と戦うことで抗っている。ティオの暮らす地域には四季はない。年中通してほぼ同じ気温、気候。シカ、オオカミ、イノシシ、クマがいるが、収斂進化の結果であって、地球に良く似たカタチの生物がいるという設定。
テーマ
戦士の心構え
意思決定
神
数々のヒトを創った絶対的な存在。神に逆らうことなど不可能。ただ従う。
ニグ教
教会は1つしかない。集会はある種の娯楽。瞑想すること、微かな幸福を求めることを是とする。神がヒトを創造し、邪神が牙人を創造したとする。お金は大切だが、助け合いの精神を重視することを理想としている。清貧・質実剛健を是とし、空疎・羊質虎皮を否とする。司祭・大司祭が、神契の儀をする。聖典がある。生き様を重視する教義。葬儀では、手紙を戸棚に入れる。墓地で手紙を見ることができる。墓地は石材の建物であり、その中にある戸棚が墓標になっている。
朝のお祈り … 神様は御神体を指定していない。しかしニグ教会では、教会の天窓から差し込む朝日によってできる【光の柱】を御神体としている。一般人には、目を閉じて、【光の柱】を脳内でイメージして、お祈りをするように教示している。
ニグ人を創造した神は、アフェルニーアと呼ばれる。神契術を授ける神は、アフェルニーアの子、ジアニーアと呼ばれる。
惑星カイネ
隕石の衝突によって、(大きく分けて)2つの地質が存在する惑星。惑星セルアとは違う恒星を周回する。
カルア国
惑星カイネの超大国の一つ。大陸の一つを領土とする。
カルア教
カルア人を創造した神は、【この世界を知り、研究し、技術を磨くことで、辿り着け】と預言した。ニファルターヴァは1000年以上も預言をしていないが、熱心なカルア教信者がいる。大司祭は、預言の文言において、「何に」辿り着くかの解釈を表明することを控えるように言っている。御神体は、神をかたどったスキアスライトが公式ではあるが、素材やデザインには寛容。
神契術
道具生成、身体能力強化、自己治癒、対物障壁。人によって得意不得意があり、道具生成が最も初歩的とされ、同時に最も奥深いとされる。
神契士
母の胎の中にいる段階で術を施すこと(儀式)で、子と神の間で契約が結ばれる。神契の儀が成功するかどうかは血筋が重要な役割をしていると言われている(両親が神契士だとほぼ確実だがニグ人であるなら神契士になりうる)。失敗してもリスクはない。成功すると神契士契約紋が腹に刻まれた状態で生まれてくる。生まれてしまったら契約紋を付与できない。ケガをして契約紋が一部でも失われると神契士としての能力に影響する。神契士は戦争で減っていくので、増やしたいところ。累積より瞬発的な意味で力を引き出す時に、神隠しに遭いやすい。神隠しは死を意味する。力を引き出そうとしなければ、普通の人と同じように寿命を全うできる。力を扱うには鍛錬が必要。幼い頃(~11歳)に力を開放すると、暴走して絶命する(神隠し)ことが知られている。神契士技術には以下の4種がある。
自己治癒能力と身体能力向上は同一視する事もできるが、優れた神契士は、はっきり別物と考える傾向がある。
道具生成は、小さい物や簡単な構造の物ほど生成に時間がかからない。しかし大きい物や多数のパーツが組み合わさった物でも繰り返し生成していれば、比較的素早くできるようになる。習熟に時間を要するが最初に練習する神契士の技術。小さい物は作れるが、小さすぎる物は作れない。左の手の平から右の手の平までのサイズが最大。だいたい手の平の幅が最大サイズ。生成した物質は、体から離す時に消えるまでの秒数を決められる。消えた物質は粉末になったすぐ後、真空になる。生成できる回数は決まっていないが、『神契士の限界値 = 生成時間×生成物体積』の条件式がほぼ成立する。限界値は疲労感で分かるが、限界を超えると神隠しに遭う。軽くするにも重くするにも疲労度上昇。硬度と粘度は標準があるが個人差と体調でブレがある(ブレは少ないが、いつも全く同じ物を作るのは、人によっては難しい)。生成物を手に持っているだけなら消耗はあまりないが、体から離した時の持続時間は、意識しなければすぐに消え、分単位で持続するのはかなり疲労する。意識から外れると体と触れた状態であっても消える(服は作れない)。同時生成数も人によるところが大きいが、6つが上限。道具生成の長所は、相手の装備の弱点をつく最適の武器を使えるところ。
対物障壁は、体の皮膚の上に殻をつくるようなイメージ。展開中は運動すると、障壁同士がぶつかるため、動きにくかったり、滑らかな動きができなかったりする。防御力は低い(ティオは別)。普通は刃物を止められるほどの耐久力はない。投げナイフを弾いたり、軽い投石を防いだりするのに使える。気休め程度だが、使いようによってはケガの程度を軽減するのに使える。熟練者でも全身展開に1秒程度かかる。部分展開で展開までの時間を縮めることが可能だが、全身展開より難しい。部分展開は防御力を高められる。神契士は、通常、対物障壁を熱心にやる暇はない(道具生成・身体能力向上の方が重要視される)。
ニグの神契士は、帯剣する。腹に傷を負って神契術が使えなくなっても最期まで戦えるように。
神術
転生したティオのみが使える。神契術の上位互換。神契術と違い、神との間での契約が必要無い。対物障壁は、対魔術障壁の役割も果たす。展開速度も0.2秒程度で、とっさの防御が可能だが、一度破壊されると10秒のインターバルが必要。
片手で道具生成が可能で、長尺で幅のある得物も作れる。1mを越える物は3秒ほど時間をかけたい。10cm以下の単純な形状の物は0.3秒で作れるが、素早く作るほど(粒子の収束がお粗末になり)強度にムラができる。3mが限界で、長すぎると先端がスカスカになる。片手で道具生成できるが、両手で生成する方が早くなることもある。
魔術
魔力のある生物が使う。牙人、竜人、カルア人。牙人の変身能力は、半端なのが普通。似せるに近いが100年位生きた牙人はかなり本物に近いものになる。竜人は魔力を持つが術があるわけでもない。カルア人は転移と瞬間転移を使う。対神術魔法を開発しやすい。
組織
ニグ
神契士を大勢もつ直径約600mの城塞都市。人口約2000人。ところが、牙人が連携し軍を作るようになってから、防戦一方で戦士が不足してきた。神契士を強制徴収するようになっている。妊娠したら、とりあえず神契の儀を施すようになっている。外壁の高さは15m程度で、円形の柱(直径7m)が門の左右にある。通路は3mほど。西門の横幅は5m程度。ヒトも牙人も普通は落ちれば負傷したり死んだりするが、手練れの神契士は飛び降りて片手をついて着地する(跳躍で上ることはできない)。平民、政治家、王、軍部の階級がある。中心に王宮があり、謁見の間が一階にある。その周辺には司令官邸、近衛兵宿舎兼詰所、政治会議場がある。西門には、門兵控室、城壁に上る階段、牙人改めの牢(地下)がある。(裁判所は無く、基本的に軍部の事は司令官が決める。王や政治家がその事に干渉することはあるが稀。)
軍服は、身分でボタンの色が異なる。見習いは白、隊員は黄色、隊長は黒、開拓部隊は銀色、親衛隊はべっ甲色。
見張り台が(おおよそ)東西南北に存在する。見張り台は食糧のある森林等に設置してあり、外壁から3
km程度離れた位置にある。見張り台は第77飛迅独立部隊が担当しているが、詰所は都市外周にある。
ニグ王は3代目。
オルクテ村
人口30。牙人に発見されることなく、隠れ潜むように暮らしている。ラヴァンデュラ(蚊や牙人が嫌がる植物)が自生していて、牙人はあまり近寄らない。土と木で作られたような村。窪地にあって目立たない。ニグとは時折、交易しているが、稀に牙人に襲われることもある。
都市国家ヴァーステイン(亡国。ニグの北西)
リナのいた都市。牙人に滅ぼされた。
カルア
人口1億の先進国。魔力のあるヒトが築いた文明国家。皆が魔力を持つのを前提としているので、ガスコンロやテレビのリモコンを使うのに魔力が必須。(小説2(キリルヴェイン)の世界の50年前を想定)。カルア人種は、あまり繁殖力が強くなく、長命(300年生きる)、ツノの色はバラバラ。
牙改め
ニグ人に化ける牙人が存在する。牙人がニグに潜入しないようにするためには、牙人かニグ人か確認する必要がある。牙人も馬鹿ではないが、化けたニグ人の知人と話をすることでボロを出す。昔は、もっといろいろな方法が使われていたが、最も人道的なやり方としてこの方法が採用されている。通門証での判断は簡易的で偽装可能。牙改めを回避する方法には、神契士の力を示す方法もある。
神契士学校
神契士技術(道具生成、自己治癒能力、身体能力向上)、個人戦闘術(格闘技)、ニグの防衛方針、神契士の戦略的連携、ニグ文字(表意文字で表音文字)、サバイバル技術を教える。1年制の機関だが、生徒数やレベルや学習内容変更によって短縮されることも多い。教育内容はしっかり決まっているわけではないが、後の部下を育てるのでダメなヤツにするわけにはいかない。昔は全寮制だったが今は家からの通いになっている(コスト削減)。だいたい12歳過ぎたら神契士の素質あるものはこの学校に入学する(令状が届くまで待つか、自ら願書を出すか選ぶことになる)。素質のあるかないかや、遺書を書いたりして戦士としての心構えを養成する機関でもある。
【戦士の美徳】『いかなる状況でも上官の命令を遵守し、印象・錯覚に囚われず本質を見抜き、耐え難き苦境を乗り越え、仲間を信頼しつつ連携して己が役割を果たす。』
人物
ニグ人(オルクテ村含む)
日本人っぽい姿のヒト。黒髪。黒い目。肌色。両親が神契士の場合、子も神契士になりやすい。両親とも神契士でなくても、神契士になる子もいる。
ティオ(主人公。祖母と暮らしている)
ニグで生まれ、小さな村で育った。ツンツン頭の少年。神契士の素質をもち、祖母に「戦士になって村を守って。」と、事あるごとに言われている。ところが幼馴染のリズに負け続けている。真面目で暗い。努力家。集中する時に、手を合わせる。
ティオの祖母
頑固。村のために孫息子を戦士にする。
エルナ(ティオの母)
ニグで双子の弟を育てている。少し太った印象を与えるショートカットの中年の女性。旦那の帰りを待ち続けているが、多くの人が旦那の死を確信しておりそれを言えずにいる。きちんとしなきゃいけないと思っているヒトで、ティオも転がり込んできたので、その傾向が強くなった。朝早くから被服の縫製の仕事をしていて夕方より少し前に帰ってくる。真面目だが家の周囲の雑草を抜くのを忘れがち。
ウルテガ(主人公の双子の弟)
ティオと双子で容姿は似ているが、陽気で楽観的、前向き。神契士になる。ティオを陰ながら援護するような行動を取る。精神的に強く、へこたれない。
リズ(勝気な女の子)
都市で生まれ、母に連れられてオルクテに引っ越した。色白のポニーテール。神契士の力をもつ。しかし母は神契士にしたくなかった。そのままニグにいた場合、神契士になるしかなかないが、平和なオルクテにいる限りは普通に村人になれる。ティオよりやんちゃで、勝気な性格。ティオとルルカが仲良くしている姿を見て、嫉妬する。努力するタイプ。後にイゼルグの子であることが分かる。クォーターハーフのマリフェル族。
リナ(リズの母)
ヴァーステイン王家の妃だった。片サイド編み込みのボブヘア。リズより少し色素が濃い。村の中でも一番の上品さを醸し出し、リズには無い可憐な雰囲気がある。亡国での身分は高かったが、オルクテ村では1村人でしかなかった。ニグに移り住んでからはイゼルグ近辺の秘書をしている。しっかり者で村でもやっていけるが、都会の方が肌に合う発言をしている。
クィラン(リナの隣の男 ♂)
お腹に古傷があり、神契士の力を失った。元ヴァーステインの戦士(身分は低い)。リズらが持ってきた うりぼう(イノシシの子供)を捌く。
ルルカ(幼馴染 ♀)
主人公と同年の女の子らしい女の子。丸型のショートカットの少女。ティオ、リズと共に遊ぶが、リズよりティオを気にかけているところがある。女子力高い。ティオより8cm身長が低い。
イゼルグ(ニグの総司令官 ♂)
神契士の代表でもあり、事実上の最高軍権力者。何でもできるわけでもないが、王と対立することもある。戦うこともあるが、実力も最高と言われている。同情しないが同情するようなことは言う。冷淡で理性的で悪人。実はハーフのマリフェル族である(この事が他者との心理的な溝を作っている)が、異星人エシタリアと牙人の女王マリフェル以外はこのことを知らない。エシタリアと密談し、牙人との戦争を誘引している。精神的に牙人となってからは、人前で力を発揮することを避けつつ、陰でニグ人を食うようになった。マリフェルの血を受け継いでいるが、総司令官になってからそのことに気づいた。
エコード(第21東門側辺部隊 隊長 ♂)
基礎と基本がしっかりしていて、身体能力も他の神契士より高い。皆に尊敬される。理想の神契士のように思われている。18歳。いつも鍛錬をしていたり、戦術を練るような姿が見られている。他者に認められることを望んでおり、そうでなければ自分の存在価値が無いと思っている。自己評価が低く、それが謙遜に見られることもある。神経質で責任感が強い。
カイン(第21東門側辺部隊 副隊長 ♂(リズの上司))
規則を重視し、特に規則にうるさい。イゼルグの言うことをしっかりと守る半面、その他のヒトからの進言を軽く見ることがある。坊主頭で筋骨隆々、頑固。ルクシの父親でもある。神契士技術は低いが、斧の扱いに長けていて、他の隊長に劣るとは言い難い。
キアン(第62西門援護部隊 隊長 ♂ 40歳(ティオの上司))
神契士に最も慕われる隊長。全隊長の中でも一番高齢(40歳)。部下に対して寛容ではあるが、他者に強く出られないところがある。経験豊富な分、経験を過信しすぎたりする。髪型はオールバックで、中背の筋肉質。
クーガル(第77飛迅独立部隊 隊長 ♂ 25歳)
かつて最速、最もスタミナのある戦士であり、身体能力向上でも最強であった(隊員に負けた)。やや細身の高身長で5分刈りの男。妻がいる。通常の神契士の1.2倍位の身体能力向上。しかし道具生成では多くの戦士に劣る。第77飛迅独立部隊は短距離でも長距離でも最速の隊であり、速いことが入隊条件となる特殊な隊。見張り台で任務に就き、周辺の牙人の動向を探ったり時には兵站を急襲する隊でもある。クーゲルには出世欲が無く、鍛錬方法と身体能力向上を極めようとしている職人気質。第77飛迅独立部隊は個々の判断が重視される場面が多く、それだけクーゲルが教育している。冷淡に見えるが、第77飛迅独立部隊の重要性を理解し、隊の安全のための判断を優先する傾向が強い。戦争時は兵站を襲うか行軍を遅らせて、戦争の継続を断念させる。最後の牙人戦争で部隊の3分の1を失って、立場を悪くしている。
ルージュ(第15西門守衛部隊 隊長 ♀(ウルテガの上司) 25歳)
最も神契士技術が優れていると言われることがある。身体能力向上に長けており、道具生成は群を抜いている。そのため怪力女と言われることがあるが、腕はどの隊長よりも細い。器用であり、装飾品を作って自身の武器や防具を飾る趣味を持つ。プライドが高くどこかヒトを寄せ付けない雰囲気がある。黒髪で緩くウェーブのかかった長髪。気品がある。軍の支給品を自分で削ったりしてデザインを変えたり、穴を開けて装飾品を付けたりするが、そのことをアジレラやその他のヒトに問題視されている。しかしやめようとしない。
アジレラ(親衛隊長 ♀ 40歳)
親衛隊は独立しており、イゼルグの指揮下にない王直属の部隊。親衛隊に入ることは誉れ高いことである。ステータスと言っていい。隊長クラスの戦闘力が必要。王宮内の警護、謁見の間での秩序維持、秘密警察の様な任務が仕事。イゼルグを追放するきっかけをつくった。以前から不審死が続いていたことがあり、原因調査の結果イゼルグらが浮上した。エコード、カインがかばったので結果的にイゼルグが犯人であるという確証に到達するのに時間がかかった。気難しく、王の言葉にさえ反発しそうだが、実際は自分のルールに厳格なだけ。ルージュの装飾品の趣味に嫌気がさしているが、イゼルグに従うだけのエコードやカインより見込みがあると思うようになった。
フランク大司祭(♂ 60歳)
ニグ王ウィリアムを小さい頃から知っている。ハゲた白髪のおじいさん。優しい口調で、無害な印象を与える。誰であっても決して不正を許さないが、分際をわきまえてもいる。清貧、品行方正。神の啓示を待っている。教会に朝から晩までいるのが普通。王宮に行くのは用事がある時だけ。結婚式、葬式、出産前の神契の儀、日々のお祈り、隊長クラスの任命式に出席などが仕事。
画家フロイ (♂ 40歳)
普通のヒト。初老。ニグは貧しいので、趣味で絵を描いている。専業農家。絵が売れるということは極めて稀。勅令が来てしまい、渋々受けた。農業よりは画家として生きていきたいと思っている。とは言っても、ニグ教の教えや貧しい環境を考えると絵の仕事が増えることは見込めないと考えている。
ラタセ (♂ 38歳)
政治部の新人。細身の短髪。若く見える切れ長の目。ニグの交易担当官。何を輸出するのか決める。(輸入品は希望を出すことができるが、決定権はカルアが持つ。)
エランガム (♂ 30歳)
第15西門守衛部隊 副隊長 → 隊長。責任感が強い。
牙人
知性の低いものがほとんどで、高齢になるほど知性が高まる。知性のある牙人ほど異能を多く使う(ニグ人に化ける)。繁殖力がニグ人より高い。同種間での争いの中で死ぬ個体が5割ほどいるが、それでも人より数が増えやすい。苦手な植物がある地域には住まないが、季節によってはそういったところに進出することもある(ティオの生活圏に季節はない)。ニグ人と比べて長寿(250歳)で単独行動を好み、疑り深く、腕力もある。ニグ人より個体差が大きく、平均身長は170cmだが±50cmはある。外見はニグ人に近いが、鋭く長い一対の犬歯と赤い瞳と黄色い縦に長い瞳孔、黒い目玉、前腕の黒剛毛、青白い肌が特徴的。筋肉質。ニグ人を喰らうことで繁殖力が上昇するとも言われている。衝動的な行動を取ることが多く、ニグ人の集落に紛れてもすぐに集落から離れることになりやすい。マリフェル族の祖先と思われる。滅ぼされたヒトの都市に住むのが大半。
ローブの牙人
深緑のローブを身にまとった牙人。変身能力を使い、ティオとウルテガに気付かれずに接近した。
指揮官の牙人
牙人にしては知能が高い。他の牙人を率いて戦うが、ティオの能力を過小評価して敗北した。
マリフェル族(マリフェル一族)
マリフェル、ディミエルを含む。皆、赤毛。イゼルグはニグ人とマリフェルのハーフ。
マリフェル ♀ 196歳
マリフェル率いる牙人の軍が150年で15の都市国家を滅ぼした。他の牙人を洗脳する能力と知性を向上させる力を持つ。牙人を進化させたような個体で少なくとも1族3体が現存する。牙人と良く似ていてヒトを喰らう。イゼルグはマリフェルの息子である。牙人は頭髪が黒色だが、マリフェルは赤で緩くウェーブがかかったロングヘアをしている。鋭い牙と赤い瞳は牙人と共通している。肘・膝から先は赤毛で覆われていて、黒い鋭い爪が生え揃っている。残忍で狡猾。怠惰なディミエルを不快に思っている。牙人を操る能力は死体となっても効果が2分ほど続くが、肉体の壊れ具合にもよる。首を落とすと死体は動かなくなる。
牙人強化魔術 … 牙人にバフをかける。結託して戦争ができるほど知性がアップ。通信機能付き。
魔術弾 … 拳の半分位の硬い物(2秒後に消える)が時速200kmで飛んでいく魔術。
ディミエル ♂ 97歳
マリフェルの息子であり、雌の牙人を従えてハーレムを形成して、牙人の館にいる。子ができないことを嘆いて見せているが、実際は言うほど困ってはいない。堕落した生活を送っている。マリフェルより牙人寄りの姿をしている。肥満で筋肉はあまりない。魔術に長けており、牙人を洗脳する力はあるが、マリフェルほどでもない。魔術は、牙人の洗脳、指を差して爆発物を発射する(200km/h。肉眼で見て避けられる程度)こと、地雷の設置が可能。地雷はティオの場合はノーダメージだが、普通の神契士では対物障壁があっても立ってられないダメージを負う。牙人の館は3階建てで、15名以下が暮らす建物(城や要塞ではない)。大抵、ディミエルの魔術で神契士はやられる。
魔術地雷 … 魔法陣が光った0.5秒後、爆発する。神契士を一撃で倒せる。
炸裂魔術弾 … 爆発物を時速200kmで飛ばす魔術。盾で防いでも吹き飛ばされるほどの威力がある。地雷より威力あり。
カルア人
エルフ耳、巻き角(キャラクターによって角の形状、色が異なる)、青い肌が特徴の種族。肉食というよりは、野菜食。強い魔力を持ち、空間転移が得意。魔力で身体能力を向上させられる。寿命は300歳前後。幼いカルア人は角が無いが、20歳頃から角が生えてきて、徐々に長くなっていく。角は邪魔だと言って、削ったり切ったりする人もおり、20年毎に削って整える必要が出てくるのが普通。
エシタリア=ウィングレイ(♀ 165歳)ゲートツリー研究者、外交官を兼任
黒い角。髪は青みがかった紫。賢い。危険な所にも顔を出す(度胸なのか、高い幸福感からくる錯覚か)。
ジルタニア=ランド(♀ 32歳)貿易担当者
薄黄色の短い角。カルアで輸出できる物をニグに供給する。あくまでカルアのための貿易をする。ニグの状況を把握しながら、商品、供給量を決める。初期は鉱石のみを輸入する。(野菜のカルスも輸入するが、許可を得ていない。)
オルタシア=アークス(♂ 95歳)軍人
灰色の角でティオより10cmほど背が高い。友軍として登場。短髪、ドライ、極めて冷静。熟練の兵士。戦闘の中でいろいろ学んで生かそうとしている。だからオルタシアはそこまで危険なところに飛び込まない。闘技大会の間に、対神術魔法を開発した。
キアルシア=アルド(♂ 105歳)
黄色の角で短髪で筋骨隆々の良くも悪くも何の変哲もない真面目な印象の軍人。カルア防衛軍 惑星セルア担当 第211調査歩兵中隊 中隊長。
デイルリア=ファム(♂ 35歳)
白色の短い角。若手のカルア軍兵士。瞬間転移が得意。オルタシアに勝とうと努力している。
竜人
神託があり、ゲートツリーの門から召喚された生物。硬いウロコに覆われていて、素早い。リザードマンみたいだけど、和装。少し魔力を持つ。竜人の眼は込められた魔力を見抜く。
竜人(♀)
ニグ人を襲い、略奪して去っていく。洞穴住居を作り、ニグ人の脅威となる。数は100程度。大脳が小さく、統制がとれない。ヒトとコミュニケーションもとれない。竜人は群れているようで個人主義。
ビームソード抜刀術が得意。カッコ良い。
難民。異空間から現れており、ニグの神は、それを教えてくれた。メスの体長は1.6±0.1m。
竜人(♂)
巨躯の竜人。メスがオスになることがある。オスはいつも一匹で、身長2 m近くになり、腕力・体力がある。メスの強化版のような存在。神契士が束になっても勝てない位、強いしタフ。
道具・植物
ラヴァンデュラ
ラベンダーみたいな植物。牙人は匂いを嫌うが、心頭滅却すれば火もまた涼し。嫌だけど、戦闘となるとまるで効果が無い。
アマスカリア
毒キノコ。ベニテングダケみたい。
ニグ紙
ガル-ロンという植物がある。その植物の枝と幹を集めて冷水に半日つける。乾燥させ、こん棒で粉々にし、ガルーロンの実をすりおろした水溶液に浸す。一晩つけたら混ぜ合わせて、紙をすく。適度に乾燥させたら紙になってる。
ゲートツリー
昔からゲートツリーは「近づくな。」とか、「異世界と繋がっている。」とか、「神隠しにあったヒトがいる。」と言われている。タオバブに似た雰囲気の木。自然界で異世界の門を開く場合、ゲートツリーに寄生する特定のヤドリギが空高く伸び、それが雷を呼ぶ。雷に打たれた時、近くにいた生物が異世界に飛び立ったり、異世界から知的生命体が来たりする。幹の太さが木の力の蓄積量を推測するのに役立つ。エシタリアはゲートツリーの研究者でもあり、本来の目的はこちらで、ヒトと牙人の星の統一は研究をしやすくするため(面白いというのもある)。
通門証
牙人が触ると黒くなる。誰のものでいつまで有効か分かるように文字が書いてある。有効期限は2週間。有効期限を過ぎると新たに発行してもらう必要があり、ニグに入るためには牙改めを受ける必要がある。ニグ紙にラヴァンデュラ水溶液を浸して作成する。親指サイズで安価。
矢
ニグでは、矢が10000本ほど用意されている(不足感あり)。しかし出来が良い物も悪い物も混在している。キアンの腹に刺さった矢の出来は悪かった(事故)。牙人も矢を作るが、ニグの方がやや上質。矢を射掛け、やってきた矢を相手に射る。だからニグにある矢は牙人が製作した物も含まれる。
結界子
イゼルグの使った20cm位のこけしみたいな形状の装置で、高さ10m程度の結界を作れる。カルアの技術で作られており、エシタリアからイゼルグに4つ渡された。結界子で囲われた場所を作る。結界子はそれぞれペアリングされていて、この結界子は最長20mまでの空間に結界を張る。ペアリングによって、2つの結界子で壁を作ることもできるし、5つの結界子を使って五角形に作ったりもできる。術者の魔力供給が断たれれば結界は無くなる。他に、(内側からも外側からも)結界子を破壊することができる。
結界子は、特定の(ペアリングされた)結界子まで結界を張るだけの装置。
戦争や洪水の際には、通常、結界子が破壊されないように、地中に埋めたりコンクリートを設置したりして守る。
投笛
第77飛迅独立部隊は、稀に投笛を使う。道具生成で生み出し、空高くに投げて音を発生させる。音色によって、自身の位置を知らせるSOSか、撤退を報せる笛か、決めている。
魔力銃
カルアでは一般販売されている銃(全然売れてない)。エシタリアが所持するのは、未開惑星担当者用の殺傷能力を高めた弾丸(一般販売されてない)を放つリボルバー。
オルタシアが持つ自動小銃は、発射音(120dB)が大きく、弾丸も大きく、貫通力もある。弾丸の初速は2400km/h(マッハ2程度)で肉眼では捉えられない。
優勝賞品
カルア人はベジタリアンなので、肉を賞品としない配慮がある。
ニグの賞品 … ニグの木の実の詰め合わせ。洋ナシ、サクランボ、ミカン、柿。
カルアの賞品 … 18金のメダル。カルアの文字で【第一回カルア・ニグ親善試合 優勝】と書いてある。
ゲート
鳥居のような木製の門で、。ゲートツリーで作られている。通電すると、異空間への膜ができる。通電していなくても、ゲートツリーが素材ゆえ、異空間から場所が確認できる。ゲート事件前の物は、丸太を利用しており、膜に渦が見える。研究開発後、心材のみの角材を利用しており、渦は無くなる。ゲートツリーの大きさから、ゲートのサイズが決まってしまう。
異空間トラック
エシタリアとニグ王の2回目の対話の段階で、試作品が初走行した。カルアからニグまでは、徒歩で丸一日かかり、体力勝負のところがある。カルアからニグへ行くのに3時間で行けるようになった。異空間でエンジンかけっぱなしにしておく必要があり、不便。さらに、試作品は異空間で組み立てる必要があり、それを解体しやすいわけでもない。通常のトラックと異なり、アムドゥライトをタイヤに配合する必要があり、その調整で開発に時間がかかった。闘技大会の際に、ver. 1.0のトラックが走った。ゲート事件(竜人出現時)の際には、竜人との戦闘後、トラックが放棄された(回収不可能、丸ごと捨てることになった。10年後には、待望の陸上・異空間両用トラックが開発されたが横幅・縦幅が大きく、門をくぐることができないことが問題となっている。荷下ろしが必要。そのまま倉庫まで走れると便利だが、それが実現できていない。
異空間バイク
異空間を徒歩で移動したくない時に使う。トラックと違い、荷物をあまり運べない。通常時、魔法陣を使って異空間バイクで移動できるわけではない。これもゲートがある時使えるが、非常時には人数をかけて、無理矢理に運用していた。
魔力鉱石
アムドゥライト … 電力を魔力に変換。
スキアスライト … 魔力を電力に変換。(テレビのリモコンなどで使用)
ベリトライト … 魔力を蓄積させ、閾値を超えると爆発(鉱石は小さくなる)。精製することによって銃弾の結晶部分を作る。
ザガンライト … 圧力を加えると、蓄積された魔力を爆発させる。
ビームソード
柄だけの状態が魔力の込められていない状態。鍔の向こう側(通常刃がある部分)には、柄ほどの長さの白い突起があり、それのおかげで鞘に納まる。柄に魔力を込めると光る刃が出現する。刃は魔力量で伸び縮みするが、76 cmを超えることはない(柄の性質で決まっている)。切れ味は鋭く、神契士の剣で受けることができるが、竜人♂の全力の一撃はティオの剣を砕くほど鋭い。
鞘は竜人が魔力を込めて手を掲げれば手に戻る(謎設定だけどカッコイイ)。鞘の末端には魔力を込めることで爆発する鉱石があり、それで加速して距離を詰める。
エシタリアのお気に入りのイス
半重力ボタンがある。マッサージチェアをスタイリッシュで簡素にしたデザイン。
ストーリー補足
1章のオルクテ村
オルクテ村のニーズとして、村の防衛を担当する人物が必要。ティオは村で唯一の神契士だった。そこに、リナ・リズ・近所のおじさん(元騎士)がやってきた。リズはよそ者でヴァーステイン王女の娘でもあった。(参考程度の強さ: ヒト < 牙人 ≦ 神契士 ≦ マリフェル一族)
ディミエル戦
ディミエルは、パジャマ姿の赤毛の牙人。
ディミエルは神契士をナメくさってる。ディミエルは事前に、ティオがやってくることをエシタリアから聞いていた。でもいつも通り、返り討ちにできると思っていた。ディミエルは最初の地雷で倒せると思っていたが倒せなくて驚いた。勝てると思って戦っているが、腕を落とされた段階で初めて死を意識した。
ウルテガと戦った牙人も一流の戦士。ウルテガは大金星。
ティオは負傷してビビった。ウルテガに一喝されて、「血塗れになっても負けない」という気持ちになった。
マリフェル戦
見張り台の兵を殺した段階で、マリフェルに知られた。マリフェルの魔術は通信機能があるため。マリフェルは、見張り台の兵に時間稼ぎをさせ、その間に一階で防備を固めていた。マリフェルに姿を寄せた大きな牙人は、マリフェルの提案を受け入れた。
ニグ牙人戦争
防衛しているだけでは、その内、壁を破壊されてニグが壊滅してしまう戦争。通常、要塞は壁で守っている間に援軍(他国)がやってきて、外敵をやっつけるのがテンプレ展開。外から侵略者がやってくるのが先か、中の食糧が尽きるのが先か。ジリ貧の暗い未来が待っている戦争。1年も、もたない。
イゼルグ司令官が真にニグのために牙人を打ち倒すのであれば、ティオの派遣をするのは当然。しかし、暗殺任務に特化した実力のある人物も幾らかつけたい。
ニグが勝利したのは、ティオの個人としての実力があったから。イゼルグやマリフェルの想定を上回る実力。
ニグ王
「あなたは神契士としての素質がありますか?」と聞かれたら、「秘密です。」と答える。実際は、神契士であるが、非神契士をかばうような発言をする。
賄賂
ニグ王ツァルギとラタセは、試供品をもらう。一品物(高級品)もお土産としてもらう。これらがワイロと捉えられるのは、不思議ではない。
巨躯の竜人(竜人 ♂)
第21東門側辺部隊を一人で壊滅させた後、一人でやってきたティオの実力を警戒した(恐れているが自身の恐怖を否定する精神状態)。黒雷一閃は、ティオの胴体を寸断するつもりで放ったが、右腕しか切り落とせなかった。しかし時間をかけてゆっくり倒せば良いと考えを切り替えて戦う。そこにルージュが現れた。ティオの右腕と、(ティオと同等の実力と勘違いして)ルージュに注意を払っていたら、ナイフが胸に刺さって、やられてしまった。
ニグ駐屯地・大使館
カルア軍の歩兵が暮らす駐屯地が作られる。大使館ができ、カルア人の旅行客が現れる。
ニグの未来
英雄ティオが廃墟などを新規開拓することになるが、新しくできる都市の運営は神契士が中心になるかもしれない。結果、神契士 vs 非神契士(or 神術士&カルア vs その他)の争いが勃発し、ニグが滅びても変じゃない。ニグ教典に『契約紋が無くても忌み子ではない。』とあるが、それがどれだけ有効かという議論が巻き起こる。それだけ、身体能力に差がある。事あるごとに神契士は、非神契士の能力の低さに不満を抱く。非神契士の暗い未来が待っている。