将来なんて笑っとけ!
将来への不安って、どうしてこんなに重たいんでしょうか?大学生活を送る中で、何度も自分の進むべき道について考える瞬間があると思います。悠斗と真一もまさにその渦中にいます。外から見れば順調に見える悠斗も、将来に迷い、不安を抱えていますし、真一も自分の道を見失っているようです。
しかし、そこは彼らの特技、ちょっとしたユーモアとバカ騒ぎで不安を少しずつ笑い飛ばしていくことに。今回の話では、二人が社会や将来について真剣に向き合いながらも、その重さを軽やかに吹き飛ばしていく様子が描かれます。真剣だけど笑える、そんな第3話をどうぞ楽しんでください!
第三幕: 社会と未来への不安
キャンパスの芝生に座る真一と悠斗。遠くで学生たちが笑い声を上げながら通り過ぎていく。二人はそれを横目に眺めながら、ぼんやりと空を見上げていた。風がさわやかに吹き抜けるが、二人の胸にはどこか晴れないものがあった。
「悠斗、お前ってさ、本当に今のインターンで満足してるのか?」
突然、真一が問いかける。悠斗は一瞬ぎくりとしたが、すぐに笑顔を作って応えた。
「満足っていうか、まあ…順調にやってる感じかな。インターンも順調だし、上司にも期待されてるし…」
口ではそう言いながら、悠斗の目は少し迷っているように見えた。真一はそれを見逃さなかった。
「嘘くさいな。お前、いつもそうだよな。外見ばっかり取り繕って、中身はぐちゃぐちゃじゃねえか?」
悠斗は苦笑いしながら、うっかり持っていた缶コーヒーを落としそうになった。
「やっぱりバレてるか。お前には隠せないな、そういうの」
悠斗は少し沈んだように缶を見つめ、ぼそっと言った。
「正直さ、最近の俺、何が正しいのか分かんなくなってるんだ。上手くいってるように見えて、実はこれが本当に俺の望んでる道なのか、自信がないんだよ」
真一は悠斗の言葉に耳を傾けながら、自分も同じ不安を抱えていることに気づいた。
「それ、俺もだよ。将来なんて全然見えないし、そもそも何がしたいのかすら分かんねぇ。大学に入ったら何か見つかると思ってたけど、結局今もこうしてぐだぐだしてるだけだ」
悠斗はそんな真一の言葉に、少しだけホッとしたような表情を見せた。
「お前でもそう思ってたんだな。俺だけじゃなくてちょっと安心したけど、まあ、根本的な解決にはなってないよな」
二人は軽く笑い合ったが、笑いはすぐに消え、再び真剣な表情に戻った。芝生の上で揺れる影が、二人の沈んだ心を反映しているかのようだった。
その夜、悠斗は自分のアパートの部屋に戻っていたが、なかなか眠れなかった。ベッドに横たわり、天井を見つめる。
「本当に、このままでいいのか…?」
ふと、スマートフォンの画面を眺めると、SNSには同じインターン仲間たちが楽しそうにしている写真や、成功をアピールする投稿が溢れていた。悠斗はその一つ一つに「いいね」を押しながらも、胸の中に重たいものがたまっていく感覚を覚えていた。
「みんな順調に見えるけど、俺だけがこんなに迷ってるのか?」
思わず、ため息が漏れる。今の自分の道が正しいのか、このまま社会に飛び込んでいいのか、考えれば考えるほど不安が募っていく。
「俺、何がしたいんだろう…」
悠斗はそうつぶやきながら、やっとのことで眠りについたが、その夜は不安な夢ばかり見ていた。
翌日、大学の図書館で悠斗は真一と再び顔を合わせていた。二人とも、なんとなく疲れた顔をしている。
「昨日、全然眠れなくてさ」
悠斗が話しかけると、真一も同じようにうなずく。
「俺も。将来のこと考えると、なんかモヤモヤして眠れなくなるんだよな」
二人はしばらく無言で資料に目を通していたが、やがて真一がぽつりと言った。
「なあ、将来ってそんなに重要か?俺たち、今を楽しむことを忘れてないか?」
悠斗はその言葉にハッとした。確かに、将来のことばかり考えて、今の自分たちが何を感じているか、楽しんでいるかを忘れているような気がした。
「今か…。確かに、俺たちって、将来のことばっかり気にしてるよな。でも、今をちゃんと楽しんでるかって言われると…」
真一は思い切ったように笑い出した。
「将来なんて分からないもんだろ?それなのに、俺たちはずっとその不安に押しつぶされてた気がする。なんかバカバカしくなってきた」
悠斗もつられて笑った。
「お前がそう言うなら、俺ももう少し気楽に考えてみるかな」
二人はお互いの笑顔を見て、少しだけ肩の荷が下りたように感じた。
その後、真一と悠斗は少しずつ、将来についての不安を分かち合いながらも、今を楽しむことを意識するようになった。たとえば、インターンでのプレッシャーに押しつぶされそうな悠斗も、真一と一緒に無駄な時間を過ごすことでリフレッシュするようになった。
ある日、二人は大学のイベントで行われるフリーマーケットに参加することにした。特に理由はなかったが、悠斗が「ちょっと息抜きでもしようぜ」と誘い、真一も気軽に応じたのだ。
「将来ばっかり気にしてても、結局何も変わらないよな」
フリーマーケットで手に取った古い漫画本を眺めながら、真一がつぶやく。
「そうだな。今を楽しむっていうのも、悪くない気がする」
悠斗は少し気楽な顔をして、笑いながら答えた。
「未来なんてどうなるか分からないけど、今、この瞬間を大事にしてれば、なんとかなるさ」
真一の言葉に、悠斗は深くうなずいた。
それから少しの間、真一と悠斗は未来の不安を抱えつつも、その不安を軽くするために一緒に時間を過ごし、悩みを分かち合っていた。二人はまだ将来についての答えを見つけたわけではなかったが、少なくとも一つのことは分かっていた。
「俺たち、いつも考えすぎなんだよな」
悠斗が笑いながら言うと、真一も笑顔でうなずいた。
「そうだな。考えるのは大事だけど、時々は笑い飛ばさないとな」
社会や未来に対する不安が完全に消えたわけではないが、それでも今を楽しむという感覚を少しずつ取り戻しつつある二人。彼らはこれからも、悩みながら、迷いながら、そして笑いながら前に進んでいくことだろう。
「将来なんて、どうなるか分からない。でも、それが人生の面白さかもな」
真一がそう言い、悠斗もまた笑顔で答えた。
「そうだな。これからも、俺たち一緒に頑張っていこうぜ」
そして二人は、夕焼けに染まる大学のキャンパスを並んで歩いていった。
第3話、いかがだったでしょうか?真一と悠斗が抱える将来への不安や迷い、それをお互いに打ち明けながら少しずつ軽くしていく姿が描かれました。青春時代の悩みって、時に本当に重たく感じるものですが、仲間と笑い合いながら乗り越えていくのもまた青春の醍醐味ですよね。
「将来なんて、笑っとけ!」というタイトル通り、二人が悩みながらもそれを笑い飛ばす力を持ち続けている姿に、少しでも共感していただけたなら嬉しいです。
次回は、二人の未来への一歩がさらに進んでいく…かもしれません!お楽しみに!