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Section 5

 目が覚める。

 材質は分からないけど何かが掛けられているようだ。

 何故か体の痛みを感じない。さすが死後の世界だ。

 身体を確認するようにゆっくりと起きてみる。

 

 うん。大丈夫そうだ。

 

「やっと起きたようね。随分と長い事眠っていたわよ。緊張感がなくってよ」


 背後から声が掛けられる。

 ・・この声は。

 ゆっくりと振り返る。

 

 やっぱりあの女性だ。声の記憶だけはある。

 それにしても美しい女性だ。

 簡潔に表現すると肉付きの良いセクシー系だな。

 腰まで伸ばしている銀髪は細くキラキラと輝いている。電球埋め込んでいるんじゃないかな。

 切れ長の青い瞳は冷たい印象を与えるけど綺麗な瞳だ。

 でもゴミでも見るような目で冷ややかな印象を受ける。

 ・・俺にはそんなゾクゾクする趣味は無いけど。

 

 そして武装は解除していない。何気に槍の穂先は俺に向けているんだな。

 

 ・・・。

 

 この女性が俺をあのコボルトから助けてくれた人には違いない。


 だけど・・。

 助けられてこう思うのもどうかと思うけど。

 ・・・俺嫌われているんだろうな。

 ま、俺の第一印象も似たようなもんだけど。

 

 助けてくれたのは感謝だけどさ。

 この人死後の世界の管理者とかなんかだろと思う。じゃなきゃ普通助けないだろう。

 でもコボルトに襲われる前に助けるとかあったんじゃないだろうか。

 こっちは死後の世界の事は全く分からないんだ。また死ぬかと思ったよ。


 もう少しは対応ってもんがあるんじゃない?

 

 言葉にはしていなかったけど態度に表れていたのかな。

 槍を鼻先に突きつけられて冷たく言われた。


「色々文句を言いたそうね?わたくしも言いたい事は数多あるのよ。本当なこんなお役目も願い下げなの。できれば一人で行動してくれると助かるわ」


 うおっ。

 やっぱりこの女性嫌いだ。

 助けてくれたのは有難いけど。そこまでだ。この女性が言うように一人で行動しよう。

 元々一人で行動するのは慣れている。


 とはいえ親切にしてもらった事にはお礼を言わないといけない。

 俺に掛けられていた布にゴミ等がついていないかチェックしながら払う。

 自分方式だけどそれを畳んで槍の穂先に掛ける。手渡しは無理だろう。刺す気満々じゃね?

 未だに俺の目の前から槍をどかさない。仕方ないよね。

 というか俺よく頑張ったよ。自分をほめたいくらいだ。

 

 本当は相手の目を見てお礼を言いなさいと言われたけど。

 これ以上あの冷たい目で蔑まれると心のダメージが回復しない。


「先程は助けて頂きありがとうございました。言われたようにこれからは自分ひとりでなんとかしてみます。他の案内人を探してみますので貴方はご自由に行動してください」


 一礼をした後に扉を目指して歩き出す。丁度女性に背後を向ける形になる。もしかしたら俺を始末しに動くかもしれないけど。助けてくれたんだからそれはないだろう。

 そして扉の位置は起きた時に周辺を観察して分かっていた。

 最初に目をさました時と同じ部屋か構造が同じ部屋だ。ま、どっちかなんて今はどうでもいい。


 思った以上に堂々と扉を開けて通路?に出る事ができた。

 途端に通路が昏い事に気づく。

 否、もともとそうだったんだ。

 さっきまでいた部屋が明かるかった事になるか。

 それであの女性の容姿が判別できたのか。

 よく分からないけどなんらかの方法で明かりを灯す手段があるようだ。

 それくらい教えてもらったらよかったかなと、チラリと思ったけど今更だ。

 

 綺麗な女性だったけど、あの性格じゃなぁ。

 あちらも駄目だと思うけど、俺も駄目だ。

 

 さて・・・と。

 これからどうしますかね。

 こうなると閻魔様に直接会いに行くしかないんだろうけど。もうちょっと死後の世界調べておけばよかったな。

 

 本当どっちに行けばいいんだろうか。

 

 いやいや。今更でしょ。

 

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