表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/12

Section 1

 ひんやりとする感触を感じて目が覚める。

 

 ここは・・・?

 

 周囲は暗く何も見えない。

 真っ暗だ。


 多分石畳だと思うけど・・腹ばいになった形で寝ていたかんじか。

 冷たい感触が案外と心地よい。

 少なくてもこのような石畳は記憶にない。


 だから死後の世界だとは思うのだけど・・。

 

 こんなに暗いものなの?

 

 死ねば魂だけになるんじゃないのか。

 経験していないから知らんけど。

 

 ゆっくりと起き上がる。

 おお体が動く。・・体はあるようだ。暗くて自分の輪郭すら分からない。

 

 ここは一体どこなんだろうか。

 三途の川ではないのか。

 

 間違いなく飛び降りて死んだ筈なんだけど。

 どう考えても学校でない事は確かだ。

 

 はてなマークを頭の上に浮かべたい気分。

 

 声を出すにも・・あまりにも静かすぎて怖い。

 こんなに静かなのははじめてだ。



 ようやくか・暗闇に目が慣れてきたみたいだ。

 周囲が少し認識できてきた。

 

 ・・牢屋なの?

 足元は石畳。

 壁も石っぽい。

 天井は・・・分からない。・・高いのかな?真っ暗だ。

 僅かに光が漏れているように感じる箇所を凝視すると・・。

 どうやら扉のような気がする。

 

 開くのだろうか?

 

 立ち上がり、ゆっくりと歩く。

 

 ん?

 あれ?

 

 足が動く。どうして?

 不良共に足を捻じられて膝と足首の靭帯死んだんだけど。

 

 ああ、死んだら無しになるってヤツか。

 その証拠に肘の古傷までも痛まない。

 こりゃいいや。

 

 少しハイになってしまった。だって一生物の怪我だったんだよ。

 ちょっとくらい喜んだっていいいじゃない。

 なんか嬉しい。

 

 ゆっくりと扉に近づく。手触りで確認する。

 色や形状が分かる程明るくはないから無理。

 

 ・・ドアノブは無いか。

 押しても動かない。

 引くかスライドするかもしれないけどドアノブのようなものがないと掴めないし。

 

 おっ・・・あったかな。

 これが把手かも。


 力を入れて引っ張ってみる。

 結構重い。だけど俺の指力は結構強いんだ。

 このくらいなら・・。

 

 ズズズズという引きずる低音を出しながら扉が開く。

 身体が外にでるスペースがあればいいのでそこそこでやめる。

 

 扉の外を覗くとこの部屋?と同じ雰囲気だ。

 でも部屋?よりは少し明るいか・・・な。

 なんとなくだけど壁や天井がぼんやりと光っている感じがする。

 あ・・こっちは天井があった。天井は明るくない。壁や床と同じ材質じゃないんだろうな。

 天井が見えないのは意外と怖いかも。頭上って普通に見ないから何かあるのが分からないのは怖い。

 

 だからといって、このまま躊躇ってもどうしようもないか。

 周囲にも誰もいないし。誰かを探すにも移動するしかないよな。

 

 とりあえず部屋から出てみる。

 

 ・・・僅かにだけど空気の流れを感じる。

 

 ふむ。

 微妙に微妙な流れだけど。

 こっちが風上かな。

 

 警戒をする必要があるのか分からんけど風上方向に慎重に歩き出す。

 ・・そういや。上履き履いているな。

 死んだときの服装になるのかな?

 暗くてわからないけどブレザーを着ているみたいだし。

 松葉杖は持ってこれなかったんかな?いや、さっきの部屋にあったのかも。

 ま、普通に歩けるからいっか。

 

 それにしても広い。

 そして誰もいない。

 一体どこなんだ?ここは。

 死後の世界について調べておいたほうがよかったかも。ま、それが正しい情報かは分からんけど。

 

 もしかしたらあの部屋で待機していたほうがよかったか。

 お迎え的な誰かが来てくれるとかあたかも・・ね。

 なんて事を考え始めてしまう位に不安になってきた時に違和感。

 

 歩く足を止める。

 

 なんか・・・生物の息遣いがする。


 目の前の緩やかに曲がっている通路の向こうからだ。


 これは呼吸音なんだろうか?

 もしかしたら人間の呼吸じゃないような・・・。

 

 犬?

 ・・わかんない。

 

 もしかしたら地獄の鬼か?

 

 暗い通路から姿が見えてくる。

 

 暗くてよく判別できないな。

 もっとよく見えないかと集中したその瞬間。


 硬直してしまった。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ