16歳冷血JK、転生したら働き者の長女になってました。
今日もまた1人で登校し、教室のドアを開ける。数人がこちらを振り向き、何やらコソコソと話し始める。また”あれ”だろう。自分の席に向かい、勢いよく椅子を引く。机の中から大量の紙くずがでてきた。周囲はそれを見てくすくす笑っている。今日もか__
別に何も感じない。以前ははもう少し、悲しいとか、怒りとか、そういう感情を抱けていた…いや、一度だってない。昔からそうだ。周囲からは「冷血人間」と煙たがられ、いつだって一人ぼっち。悲しくなかったし、1人のほうが好きだったから言い返すこともなく、私―柊琴音は十六年間生きている。こんな自分の生き方に、不満を感じたこともなかった。あのときこうしていれば、もっとこういう人間だったらー そんな儚い幻想は、抱くだけ時間の無駄だ。現実はそう甘くない。
紙くずをゴミ箱に捨て、席につく。私が特に反応を示さなかったのが面白くなかったらしく、周囲の生徒は顔を見合わせる。しかし、チャイムが鳴ったのを合図に、各々が急いで席についた。
昼休み、私はいつも屋上でお弁当を食べる。屋上には大抵誰もいない。何も考えずに食べ終え、その場で仰向けになる。真夏の空は雲ひとつなく真っ青で、吸い込まれてしまいそうな不思議な感覚に陥る。目を閉じて大きく息を吸う。吐き出した息は、ため息に近かった。あの大きな空に例え吸い込まれてしまっても、世界にはなんの変化もないだろう。私のような人間が1人消えたくらいでは。
「もういっそのこと、別世界で生きたほうがマシかな…」
気づいたらそう呟いていた。なにを言ってるんだ私。俗に言う転生?アニメの世界じゃあるまいし。まぁ、そんな事ができるのであれば、きっと楽だろうな―――
昼休憩の終わりを告げるチャイムが鳴った。次の教科は確か_そうだ、世界史だ。あの先生。授業遅れるとうるさいんだよなぁ。早く行こっと。屋上を出る扉をあけて、階段を降りようとした瞬間、足を踏み外した。身体がグラっと傾き、スローモーションのようになる。えっ、と声を上げるまでもなく、視界は暗転した。
『……おーい、おい、起きろよ。大丈夫か?』
【お兄ちゃん、そんな揺さぶらないであげて!】
『うるせーな。起きないのが悪いんだろーが。』
【あ、ほら目覚ましそうだよ!?】
…周囲が騒がしい。頭に声が響き、ズキズキと痛む。あぁ、もうちょっと静かにしてよ・・・って、
[…え?]
目を覚ますと、クリーム色の天井が見えた。―ここどこ?保健室じゃないし…っていうか確か私、階段で踏み外して…そこからの記憶がない。急いで起き上がってみる。どうやらベットに寝かされていたようだ。自分の服装を見てまた驚く。ツギハギだらけの布、というのが第一印象。え、制服のチェックのスカートはどこに?
恐る恐る顔を上げると、そこには2つの顔が。
『おい、大丈夫なのかよ。』【お姉ちゃん大丈夫?】
…ごめんなさい。私には兄弟がいた覚えがありません、というかあなた達誰です?―と言おうとしたのに、うまく言葉が出てこない。
ん?まてよ、なんだか頭の隅に引っかかるものが…
そうだ、この子たち、
[心配かけてごめんね、トーヤ、アミュ___]
―全く面識のない人の名前がふと思い浮かんだのはなぜ?というか、私声違くない!?
そんなことを思っているうちに、また視界は暗転していったのであった。
どうも、ゆずぽんずと申します。転生モノのお話は初挑戦です。文章が酷いことになっていると思いますが、生暖かい目で見守ってください(笑) この続きは不定期に投稿していくのでよろしくおねがいします。他の短編小説の方も投稿頑張るので、よければそちらも読んでいただければ幸いです。